目次
あらすじ
1949年、アメリカーー「スーパーマン」「ワンダーウーマン」に並ぶ人気漫画「ビリーバットシリーズ」を描く、ケヴィン・ヤマガタのもとに、彼が描くキャラクターと同じものを以前日本で見たという情報が入った。ケヴィンはその真偽を確かめるため日本へと渡るーー
いつもの浦沢直樹
良くも悪くもいつもの浦沢直樹漫画です。もっとはっきり言えば20世紀少年テイストまんまです。20世紀少年が面白いと思った人は合うでしょうが、つまらないと思った人には合いません。
読んでいる最中は面白い
YAWARA!やHappy!などのスポーツ漫画は別にして、この浦沢直樹さんは、読んでいる最中は面白いのですが、風呂敷の畳み方が酷いんです。世界を広げ伏線を至る所に散りばめ、「お、これはなにかあるんじゃないか」と思わせるのはとんでもなく上手いです。ただそれを回収しません。平気でほっぽり投げて完結させます。20世紀少年もそうで、結局黒幕は最初の方にチラッと出てきた、モブ以下のキャラでなんだそりゃと読者から総突っ込みを食らっていましたが、今回も同じ事になりそうです。
途中まで読んでいて面白いならそれで良いじゃないかとの意見もあるでしょうが、「終わりよければ全てよし」との格言があるように、逆に言えば終わりが酷ければそれまでいくら面白くても台無しって事でもあるんです。浦沢直樹さんはその典型で、いくら途中まで話が面白くても、最後が無理矢理なので、私の場合結局20世紀少年は全く印象に残っておらず、ストーリーももうほぼ忘れました。
BILLY BATの世界
BILLY BATの話をすると、またもや壮大に風呂敷を広げていて20世紀少年以上です。20世紀少年は基本、20世紀後半から21世紀初頭の話で、日本から世界へと広がっていった話なのですが、このBILLY BATは最初から地球規模の話で、紀元前からの話まであり、各時代に主人公がいる群像劇なので、20世紀少年以上に話に収拾が付きそうにありません。
また、今まで起こった歴史的でき事を預言や裏で操っているなんて、史実も入れてきているのですが、正直なところその書き方もどうなのかな…と思ってしまいます。予め現実で起こったことに絡めて、それを預言した話や陰謀を描いているので、作者は何も考えずともストーリーの骨子はもうでき上がっています。そこになんかややこしい陰謀だったりを絡めているだけなので、どうも釈然としません。
上手く言えないのですが作者が考えているストーリーを読んでいると言うより、歴史の裏でささやかれている陰謀論を纏めて改変した物のように感じてしまいます。
コウモリが見える
このBILLY BATの話を大雑把に言うと、人類は古代からコウモリ(の形に見える何か)が周波数が合う人には見え、語りかけてきて、それは人類のこれからの歴史など、万物の事象を知っている神か悪魔かって話です。人類の歴史を古代から操ってきたってコウモリみたいで、目的は今のところよく分かっていません。更に、並行世界の話や時間を遡る話なども出てくるので、物凄く話は壮大です。壮大だからこそ、また浦沢直樹さんは最後は放り投げるんだろうなと思うんです。
ディズニー
この作中のBILLY BATと言う漫画、そしてそこから広がるアニメ、遊園地。世界中にBILLY BATランドがあるとの事を考えると、現実世界のディズニーをモデルにしていますね。また、BILLY BATの偽物は抹殺されるとの話も、ディズニーが偽物を絶対に許さないとの事をイメージさせます。
読んでいる最中は面白い
前段でも書きましたが、たちが悪いのは浦沢直樹さんの漫画は読んでいる時は面白いんです。ストーリー運びが上手いと言うか、漫画の見せ方が上手いと言うか。ただ、20世紀少年でまざまざと酷いた風呂敷の畳み方を見せられているので、読みながらも「でもなあ…どうせ全部放り投げて終わるし…」と思ってしまうんです。面白くなければそもそも興味もわかないですし読まないんですけどね。
纏めて読みたい
BILLY BATに限らず浦沢直樹さんの漫画は、連載中に読まない方が良いと思います。私の場合はつい読んでしまいましたが…。今までも散々書いてきたように、終わり方が酷いことになる可能性が高いので、完結してから読むのがベストだと思います。更に言えば、時代があっちこっちに飛び、なおかつそれが不定期にちょくちょく起こるので、一回読むのを休止してしまうと、よっぽどこの漫画が好きで覚えていない限り、ストーリーは大分忘れてしまい、今何の話をしていて過去に何の因縁や伏線があったのか、綺麗に忘れていることが珍しくありません。
実際に私も今回BILLY BATを読んだ時には、前に読んでいたことを忘れていたので最初から読み直しました。前読むのを止めた時は、9巻まで読んでいたのですが、10巻から読み始めても何の話かさっぱりわからなくなっていました。
お勧めなのかどうか微妙
ここまで不満ばかり書いていると思われるかも知れませんが、そんなことはなくて、悔しいですが読んでいる最中は面白いんです。ただ数多く散りばめられた伏線は十中八九回収されません。それを覚悟で今面白ければ良いんだ、終わり方はどうでも良いという人は読んでみて下さい。逆に予想を裏切って複線を綺麗に回収したら凄いんですけどね。
ただ、どこかで聞いたような陰謀論だったり、歴史の闇を「それっぽく」、「格好良く」、「お洒落に」描いている上辺だけのストーリーの感じもするので、纏めるとしてもご都合主義になる予感はします。
こんな人にお勧め
- 浦沢直樹漫画が好きな人
- 読んでる最中面白ければ良いと思う人
- 終わり方がどうなっても納得できる人
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