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柔軟なカスタマイズ性
ケースを選ぶときに悩む要素はいくつもありますが、私の場合、静音かどうかが非常に重要な要素の一つになってきます。
単純な話で、静音の実現するためには、穴を全部塞いで密閉してしまえば音は漏れなくなります。しかし当然ながら冷たい風を送ること、ケース内の暖まった空気を外に出すことができなくなるので、冷却性は皆無になります。
逆に冷却性を重視するなら、穴だらけにしてしまえば、暖まったケース内の空気は、どこからでもいくらで外に出せますから冷えます。しかし穴だらけなのでケース内の音が全て外に漏れてしまい、静音性は皆無になります。
このように静音性と冷却性はトレードオフです。どちらかを重視したらどちらかが犠牲になるという、実にわかりやすい単純な関係です。
ケースは安い物から高い物までピンキリですが、良い物を買おうと思ったら1万円を超えるのが当たり前で、頻繁に交換するパーツでもないので、一度買えば中身は替えてもケースは何代もそのまま流用して使うなんてことも珍しくありません。そうすると自ずとケース選びは重要になってくるんです。静音性を取るか、冷却性を取るか。自作ユーザーには永遠の課題でした。
しかし550Dは、このトレードオフである関係にある静音性と冷却性を、ユーザーが自分で選んでセッティングできるようにしています。いくつかの穴を塞ぐか開くか、簡単にセッティングできるようにして、静音性重視なら穴を塞ぎ、冷却性重視なら穴を空ける。
今ではこういったケースも多く発売されるようになりましたがこれまでは希でした。
剛性問題なし
こういったケースでは、ネットのレビューで「ペラい」「ペラペラ」と言う表現で剛性を否定するような評価があるのですが、全てがそうとは言いませんが、この「たわむ」感じは敢えてそうしているのだと思います。
昨今のケースは裏配線できるのが当たり前で、できないケースを探す方が難しいです。たくさんのHDDを設置したりするとわかると思うのですが、裏に回す配線の数が多くなり、相当きつくなってしまいます。そうなるとこの「たわむ」ことが重要になってきて、きつくてもう配線できないと思っても、ある程度たわんでくれることで、押し込めば配線が収まってしまうんです。
勿論限度がありますから、ペラペラすぎるのは問題外ですが、この550Dというケースで言えば、たわむことによってキツイ裏配線も収まりますし、剛性も損なっていないと思います。
静音性抜群
静音は人によって感じ方が違うので、測定した数値を書いていこうかと思います。
計測機器はスマホで、「騒測定器」というアプリを使いました。スマホですから、専門の測定器ほど正確ではないにしても、同じ条件で同じスマホ、同じアプリで測定したので、参考数値にはなるかと思います。
以前使っていたP180との比較になります。
【Antec P180】(全面合計281db)
<ケースファン>
- 上面(12cmファン×1)
- 背面(12cmファン×1)
- 下段中(12cmファン×1)
- 計12cmファン×3
※CPUクーラー:簡易水冷
※アイドル時
- 前面 50db
- 背面 57db
- 上面 63db
- 左面 59db
- 右面 52db
【Corsair 550D】(全面合計215db)(-66db)
<ケースファン>
- 背面(12cmファン×2(サンドイッチ))
- 前面(12cmファン×2)
- 計12cmファン×4
※CPUクーラー:簡易水冷
※アイドル時
- 前面 38db –12db
- 背面 53db –4db
- 上面 42db –21db
- 左面 41db –18db
- 右面 41db -11db
全ての面で5cmの距離にて測定しました。
数値にしてもハッキリ変化が見て取れます。明らかにP180よりも550Dの方が静音性に優れています。
私はこのケースで組んだPCを寝室に設置していて、頭から距離2mほどのところに置いているのですが、体感でも静音になったことがハッキリとわかりました。以前は寝ているときに明らかに五月蠅いと感じていたのですが、今は寝ているときの五月蠅さは全く感じなくなりました。
折角静音になったので、より静音にするために、付属のケースファンを全てを静音ファンに交換しました。今では上記測定時より更に静かになり、寝ているときにPCが起動しているのかわからないほどです。あれ?今起動してるのかな?とたまに確認してしまったり、既にスリープから復帰しているのに、復帰させようとしてキーボードを押してしまったりします。
私が選んだ静音ケースファン
付属のケースファンで無音に近い状態にするのは不可能なのですが、市販の静音ケースファンと交換すれば、無音に近い状態までに持って行くことが可能です。私の場合、PCを頭から2mの距離に置いてあるのは先にも述べましたが、寝ているときに動いているのかわからないくらいまでの静音を実現しました。
ちなみに私が購入したケースファンは、LPVX12P、UCCLA12P、GELID Silent12 PWM、SY1225SL12Lです。マザーボードのファンコントローラーで回転数を制御していますけどね。UCCLA12Pだけは静音性で選んだのではなく、起動確認用の光のために買いましたが、それ以外は設置環境や個人の感じ方によって違うものの、ファンコントローラーで800回転までに抑えれば、ほぼ音は聞こえないと思います。
内部の作業しやすさ
PCを良く弄る人だと、ケース内の作業のしやすさというのも、ケース選びに当たり重要な要素になってきます。私もPCの自作が趣味で、しょっちゅう中身を弄るので、この辺もケースを見る点で大事です。
以前使っていたP180は良いケースではあったのですが、当時流行だった「チャンバー」という、電源部分の下部と、マザーボード部分の上部を分ける仕切りがあり、中身を弄る際、中身の見た目の広さとは違い、作業がかなりきつくなってしまっていました。チャンバーが流行った理由としては、上下のエアフローを別にすることで冷却効率が上がるとのことでしたが…完全に廃れてしまいましたね。
550Dは当然チャンバーはありません。内部の見た目そのままに広く使えるので非常に作業がしやすいです。今では当たり前ですが、HDDも縦置き型になっているため楽に入れ替えができます。
ただ一つ難点を言うなら、SATA端子が裏配線側にあり、その裏配線スペースがかなり狭いので、SATAケーブルにかなり無理な負荷が掛かることでしょうか。これを回避する特殊なSATAケーブルも出ているので、気になるならそちらに交換した方が良いかもしれません。私もこれを買いましたが、配線の距離の関係上、余裕を持った長さを選んだ方が良いです。裏配線をすると結構長さが必要になりますからね。数百円をケチって全く使えない物を買ったのでは目も当てられません。私も一回これやっちゃいましたが…。
今ではよく見るようになりましたが、このケースはツールレスです。ドライバーいらずでHDDの設置や光学ドライブの設置、マザーボードの設置ができます。とは言え、狭い場所での設置や、強くねじを締める場合、やはりドライバーはあった方が便利なので、長いドライバーを一本用意しておいた方が良いです。
唯一の弱点白色LED
完璧に見える550Dですが、私にとっては不満点が一個だけあります。それは電源ランプ、アクセスランプが眩しいということです。
昨今のランプにはどこもかしこもLEDを使っているので非常に明るいです。その中でもこのケースは白色LEDなので物凄く目立ち、物凄く眩しいです。光が突き抜ける感じが凄いんです。小さく物凄く眩しい懐中電灯みたいな感じです。寝る場所にPCを設置しているので、私にはこれがかなり鬱陶しく不満でした。
黒いビニールテープを光る場所に貼ってみましたが、光は抑えられるもののさすがに不格好です。どうせ光を完全に見えなくするのならばということで、結局マザーボードとケースを繋いでいる、ランプ関連のケーブルを抜いて完全に光らせないようにしました。
この550Dはセッティングによっては非常に静穏になり、LEDを完全に光らないようにしてしてしまうと、起動しているかどうかわからなくなるときがあります。光り物の派手なケースファンは好きではないのですが、敢えてケース内部に一個光るケースファンを取り付け、ケースの隙間から漏れる光で起動しているかどうかを判断できるようにしました。
私はASUSのマザーボードを使っているのですが、情報によるとASRockのマザーボードだと、この電源ランプやアクセスランプを切る設定ができるそうです。次はAsRockのマザーボードを買おうかなと揺れています。
こんな人にお勧め
- 静音性重視にするか、冷却性重視にするか決めきれない人
- 静音性重視も冷却性重視も両立したい人
- 良いケースを買って何代にもわたって使いたい人
誰にでも勧められるケース
550Dは誰にでも勧められるケースだと思います。
静音性重視の人。冷却性重視の人。どちらも購入してから自分でセッティングして決められます。
夏場は温度が高く不安だから、多少静音性が犠牲になっても冷却性重視で行こう。冬場は勝手に温度が下がるから、冷却性は考えずに静音性重視で行こう。こんな季節による使い分けもできます。
静音性重視にして良いのか、冷却性を重視して良いのかわからない人は、取り敢えずこれって買い方をしても、あとから自分でセッティングができるので問題ないと思います。
550Dは自作上級者から初心者まで、幅広く誰にでも勧められる万能ケースではないでしょうか。
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