目次
あらすじ
変身ヒーローに憧れる中学生(関東地方の某県私立の仲額中学校)の広野健太は、学校からの帰宅途中、頭上に突如現れた異空間から落ちてきた、謎の美少女とノートを連れ帰ってしまう。そしてそのノートに自作のヒーロー「ウイングマン」を書き込んでしまう。しかしそのノートこそ、書き記されたことを現実にすることのできる「ドリムノート」だった。本物の変身ヒーローになる能力を身につけてしまった健太は、ドリムノートと共に現れた、異次元世界ポドリムスから来たというこの美少女・あおいと共に、三次元人の奴隷化とドリムノートの強奪を企むポドリムスの独裁者・リメルの差し向けた怪人、シードマンやゾウジンゲン達と戦っていくことになる。
長所と短所
- ○ヒーロー願望の夢が叶う
- ○ちょっとH
- ○最後が切ない
はじめに
今回レビューするのは、桂正和さんの漫画『ウイングマン』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ヒーロー願望の夢が叶う
久々に…と言うか、子供の頃読んで以来、それも連載終了後に単行本で読んで以来なので、多分読んだのは2回目です。ほぼ完全に話を忘れていました。
ヒーローに憧れる、本気でヒーローになりたいと思う、学校の名物広野健太13歳が、異次元人のアオイさんと出会ったことから、本当にヒーローに変身できるようになってしまう…とのストーリーです。後年、桂正和さんは大人向けと言えるヒーロー漫画の『ZETMAN』を執筆しますが、この『ウイングマン』は完全に少年向けの純然たるヒーロー漫画でした。
少年向けなので、さすがに今読むと漫画として幼い感じはしますが、これはこれで1つのジャンルとして確立していて、今も戦隊ものなんてTVでやっていますからね。更に言えば、この連載が始まったとき、桂正和さんは21歳です。大学生の年齢ですよ。それで当時漫画雑誌で覇権を取っていた少年ジャンプで週刊連載し、のちにアニメ化するんですから凄いです。
1人で戦うことや、敵の変な形、ポドリアルスペースで天地逆さまになった異空間ができるこなんかを見ると、作中でも名前が出てきましたが、ヒーロー物と言うより、『宇宙刑事ギャバン』っぽいですね。
面白いのは、ウイングマンと言う本物のヒーローが公衆の面前どころか、TV番組にまで出ちゃっているところです。大抵、このようなヒーロー物は一般人には秘密にしなければいけないのですが、ウイングマンである広野健太自身がヒーローに憧れ、学校でも自前の衣装でヒーローごっこをする名物男のため、本当に変身して怪人と戦っている広野健太を見ても、「ああ、またあの広野健太のヒーローごっこか」と思ってしまうんです。これはユニークな設定でした。
変身してヒーローになれることは一応秘密ではあるのですが、このように公衆の面前で変身して戦っても、誰も本物のヒーローだとは思わないので、戦う場面が無限に広がるので面白かったです。それこそ前述したように、TV番組で戦ったり、大都会の公衆の面前で戦ったりできるんです。それでも本物のヒーローだとは誰も思わないのでパニックにも騒ぎにもなりません。
さらに便利ななんでもありのアオイさんの異次元パワーのディメンションパワーがありますからね。人の記憶を消すことができますし、壊れた建物を瞬時に直すこともできます。異次元って便利だな~。
ちょっとH
桂正和の漫画の特徴ですがちょっとHな描写が多いですね。服が破れて胸がはだけたり、パンチラだったり。今は随分この辺りの表現を少年誌でできなくなりましたが、当時はこれが当たり前だったんですね。更に、アオイさんは16歳、美紅ちゃんたち同級生は13歳ですが、それでも当然のようにサービスシーンがあります。今では考えられません。ただ、少年誌の中にこのようなちょっとHな漫画が1つ2つあって、読者の少年がドキドキしたのも事実。
ちなみに、ウイングガールなんてあったのは完全無欠に忘れていました。アオイさんと美紅ちゃんだけが、ウイングマンと戦う物だとばかり思っていました。アオイさん、美紅ちゃんは勿論、ヒーロー部の桃子、新聞部の久美子まで変身して戦うとは…。4人も一緒に戦う女の子がいたなんて…。一応、アニメも漫画を読んだあと見たのですが、アニメはウイングガールは出てくるものの、ずいぶん後になってからで存在感はほとんどありませんでした。
最後が切ない
ここからネタバレあり。
最後はインパクトのある終わり方なので覚えていましたが、やはり切ないですね。アオイさんが死んでしまったので、それまでドリムノートに描いてきたウイングマン関連の事柄を全て消し、全てのページにアオイさんが生き返ると書く。そんなことは本来無理なことなのにやってしまったため、当然ウイングマンの変身能力は消え、皆の記憶からもアオイさんは消え…。何故かアオイさんと出会ったときに時間は戻り、広野健太とアオイさんがすれ違って終了。
広野健太は美紅ちゃんを好きとずっと言っていたのですが、最後はやっぱりアオイさんが好きと気付いていました。アオイさんとくっつくと良かったんですけどね。ちなみに、最後に皆の中からアオイさんの記憶がなくなって別れることはアニメも同じなのですが、それまでの展開やラストシーンはかなり変わっていました。漫画の終わり方の方が情緒があって好きです。
ネタバレここまで。
総評
子供の頃は勿論、大人になってもどこかしらにヒーロー願望ってありますからね。ウイングマンのように、本当に変身してヒーローになりたいとの物もあれば、スポーツ選手で大成したヒーロー、なにか世のため人のために役立つヒーロー。色々なヒーローの概念がありますけどね。そんなヒーロー願望は大人になるにつれ、恥ずかしくて表に出すことはなくなるのですが、中学生になっても恥ずかしげもなくヒーローに憧れる広野健太のヒーロー願望が叶う話が童心に返ります。
こんな人にお勧め
- ヒーロー物が好きな人
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