みどころ
- 松本さんの当時の背景
- クイズ番組初参加&社会人同士の決勝戦
- 優勝賞品
放送日時
日本テレビ本放送:1983年11月10日
はじめに
遂に最終回になってしまいました。とは言っても33年前の番組なのですが…。33年前の番組の再放送なのに名残惜しいと感じてしまうほど面白いのは本当に凄いことです。時代を感じさせない作りとか番組ではありませんからね。映画やドラマや漫画でも時代を感じさせない物はあるのですが、このウルトラクイズは真逆で、もろに時代を感じさせます。時代を感じさせると懐かしいと思う面もあるのですが、逆に古臭く感じる方が大きくなり、マイナスに作用する場合が多いと思うのですが、それでも物凄く面白いんです。素人参加者がメインになるので、その時代を思い切り反映し、髪型やファッション、背景に映るアイテムなどから時代を感じさせます。しかし、れでいて今見てもこれだけ面白いというのは信じられません。
放送内容
少し前に尿管結石で帰国者を出してしまったため、予定より挑戦者が常に1人少ない状態で続いていたので、今回は残り5人からとなります。
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通常なら準決勝は4人で行い2人脱落するパターンなのですが、ここも挑戦者は3人と寂しいです。また、これはだいぶ後になってからわかったことなのですが、唯一残った松本さんのお父さんがこの番組収録中に亡くなるでき事もあったそうです。ここで帰国していたら番組的にはかなり不味いことになっていました。それを踏まえて見ると松本さんの笑顔になんとも言えない気持ちが…。
そんなこともあり、今週は5人からのスタートで少し人数的に寂しいのですが、なにはともあれこれで最終回です。
第10チェックポイント「早押しクイズ/ナイアガラ」(5人→4人)
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オープニングはやはり高島忠夫さんと石川牧子さんのスタジオパート。そして最後のルート紹介。
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このルート紹介はこれから始まる冒険にワクワクドキドキするのですが、最初は東京からニューヨークまで紹介するのでたっぷりと時間が掛かるのですが、週が進むにつれ、その週最初のチェックポイントからの紹介になるため段々と短くなります。それが最終週ともなると凄く短く、今回だと4つのチェックポイントを紹介して終わってしまいます。このルート紹介が短くなっていく様は、段々と話が進んでいき、終わりに近付いていることを感じさせます。最終週なんて「もう残るもこれだけなのか…」と一抹の寂しさを覚えた記憶があります。
今回のチェックポイントはナイアガラの滝。このような雄大な自然をバックに知識を競うクイズが行われるなんとも不思議な感じ。また、このようなシチュエーションではウルトラクイズ恒例の『大声クイズ』が思い浮かぶ方も多いかと思いますが、この頃はまだそのクイズ形式は発案されておらず、次回第8回から登場するようです。そこからはバラマキクイズ同様定番のクイズ形式になります。
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女性で唯一残った松本さんは、所持金を5万円しか持っていっていなかったため、脱落した富井さんと田村さんに借りたそうです。この所持金を見ると、長いこと勝ち残るとは本人も思っていなかったみたいですね。
このチェックポイントのクイズ形式ですが、単純な早押しクイズで、+3ポイントで勝ち抜け、誤答で-1ポイントというシンプルなもの。前述したように、このような大自然をバックにしたチェックポイントだと、この後の回になると大声クイズが多くなるのですが、決勝などと全く同じ早押しクイズでした。なんの仕掛けもないクイズなので、クイズに強い人がそのまま勝ち上がっていきます。そして、やはりここで一抜けするのは機内ペーパーテスト1位の横田さん。機内ペーパーテストは完全にクイズ知識の実力が出るので、運要素の強い一次予選の○×、二次予選のジャンケン、第1チェックポイントのグゥァムを抜けると、ほぼ決勝近くまで残りますね。
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ここでは問題で手塚治虫さんに関するクイズが出ていました。漫画家生活40周年とのこと。この頃はまだご存命だったんですね。ちなみ当時55歳でした。また、亡くなった年は1989年なのでこの6年後で享年60歳です。早くに亡くなってしまったんですね。
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罰ゲーム:霧の乙女号船上で“人間ワイパー”
ここで脱落したのは、コンピュータールームの小林完吾アナにいつも敗者予想で挙げられていた石間さんでした。残っている挑戦者の中で正解率がずっと最下位したからね。それでもここまで粘ったのですが遂に負けてしまいました。
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ここでの罰ゲームは、遊覧船『霧の乙女号』の人力ワイパーになること。瀧に近付く遊覧船なので、水しぶきが激しいためワイパーが必須なのですが、その役割を今回脱落した石間さんが人力でやるとのもの。
霧の乙女号(英語:Maid of the Mist)は、ナイアガラの滝を遊覧する観光船である。
遊覧船はレインボーブリッジの近く、ナイアガラ川の流れが緩やかになる場所から出発し、アメリカ滝、ブライダルベール滝の横を抜けて、カナダ滝の水煙が巻き上がる滝つぼまでを行き来する。船はカナダ側、アメリカ側のどちらからでも出ており、それぞれの出発地点と同じ場所に戻る。すべての乗客には霧の乙女号の青いポンチョが配られる。
第11チェックポイント「新・落下傘バラマキクイズ/オルバニー」(4人→3人)
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ここで遂にウルトラクイズ恒例のバラマキクイズです。とは言っても少しバラマキとは違い、『パラマキ』になっています。パラシュートにくっつけて落とすのでパラマキととのこと。ただクイズの問題用紙をばらまくのと、パラシュートにくっつけてばらまくのとなにが違いがあるのか謎ですが…。まあとにかくいつもの、大空を飛ぶ飛行機から問題用紙をばらまくあのバラマキクイズです。
前述もしたように、ドクターストップで帰国してしまった人が1名出たため、本来の予定より1人少ない状態で常にクイズが進行していったのですが、今回はそのクイズ形式からも人数の少なさが特に際立ってしまいました。本来は大空を翔る飛行機から広大な土地にばらまかれる問題用紙を走って拾いに行く壮大な物なのですが、参加人数はたったの4人なのでそのスケール感が上手く出ていなかったように思います。また、準々決勝でこのバラマキクイズが行われること自体も珍しく、他の回ではもっと早い段階の人数が多い状態でやっているんですよね。個人的にはそちらの方がスケール感があって好きです。
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そして今回、松本さんのお父さんが亡くなってしまったと前述しましたが、このチェックポイントの前日に訃報を知らされたそうです。スタッフは帰国を薦めたそうですが、帰国せずに頑張った方がお父さんも喜ぶはずと言って残ったとか。ちなみに、松本さんのお父さんは出発前から病気で状態は芳しくなかったそうなので、交通事故とかの急死ではないようです。このことを踏まえてこの時の松本さんを見ると、笑顔に力なく乾いて見えますね…。
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クイズの話に戻りましょう。このバラマキクイズで何が一番面白いかいうと、必死で長い距離を走って問題用紙を拾ってきて、福留さんが封筒を開けると外れだったときでしょう。この外れだったときの福留さんの「これをなんと読む!」は頭に残っている人も多いと思います。
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興味深いクイズとしては、『日本でTV放送が始まって今年で何周年?』というもの。正解は30周年。1983年放送なので、1953年にTV放送が始まったんですね。30年って結構すぐですよね。ガンダムが37年前。映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が31年前。そう考えると「30年前にTV放送が始まりました」との時間感覚は不思議な感じがします。
ここでは横田さんが思いの外苦戦していました。機内ペーパーテスト1位なので、クイズ知識は間違いなく1番なのですが、このような体力要素を入れられると厳しいみたいですね。松本さんが2問正解してリーチが掛かっていて、次に答えることができれば抜けるとのところまで追い詰められたのですが、そこで誤答をしてしまい、後ろで並んでいる横田さんにチャンス到来。そこで横田さんが抜けるとのギリギリの戦いでした。
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罰ゲーム:複葉機によるアクロバット飛行体験
ここでは前日お父さんが亡くなったことを知らされた松本さんが脱落しました。クイズ正解率で見ると、松本さんだけ他の3人に比べて一段落ちるので妥当ではあるのですが、やはりお父さんが亡くなったショックはあったのでしょうね。また、ここで落ちて良かったのかもしれません。他の回では、家族にこれ以上の参加を反対されたり、仕事の都合上これ以上休めないなんて状況の人が、わざと落ちているんだろうなと思わせるシーンもありましたが、今回の松本さんはそんな様子はなく全力で勝ちに行っていたみたいです。
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福留さんは敗者になった松本さんに「帰って親孝行すんだぞ」と言っていましたが、お父さんが亡くなったことを知らないで見ると単なるねぎらいの言葉に聞こえるのですが、背景を知ってから聞くと色々深い物がありますね。
さて、罰ゲームですが、アクロバット飛行する飛行機に同乗するとの物。これは罰ゲームと言うよりご褒美に近いような気がします。この回はあまり過酷な罰ゲームはないみたいですね。のちにもっと過激化するのですが…。
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第12チェックポイント「早押しビンゴ通過クイズ/ボストン」(3人→2人)
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ここボストンの準決勝のクイズ形式も面白かったです。挑戦者が1から50までの好きな数を25選び、5×5のビンゴカードのマス目を埋めていきます。そして早押しクイズに正解したら、好きな数字を言ってそのマス目が塗りつぶされ、縦横斜めどこかが一列揃ったら勝ち抜けクイズを行い、そこで正解すると勝ち抜けです。また、ここでは他2名の挑戦者にも解答権があり、勝ち抜きを阻止することもできます。準決勝クイズで良く出る通せんぼクイズに似ていますね。
ここではクイズ前にスタッフが挑戦者が書いたビンゴカードをセットとして作っていましたが、この作業も大変そうでした。また、自動でビンゴカードが反転する仕組みではないようで、ビンゴカードの裏にスタッフが待機して人力で反転させていたみたいです。
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ここでは、町の人々がなにかイベントをやっているとのことで野次馬で観客になっていましたが、この人たちにとってこれって何に見えるんでしょうね。当然ウルトラクイズはアメリカでは放映されておらず知っている人は皆無でしょう。ただ、ぱっと見クイズ番組をやっていることはわかるはず。それに言葉は分からなくても、音やリアクションで正解して喜んでいる様子、誤答してガッカリしている様子もおそらく伝わっているでしょう。ただ、この番組が日本で視聴率30%を超える国民的番組だってことは知らないでしょうね。
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ここでは横田さんが福留さんの「ぐっすり眠れたか?」との問いに対して「バタンキュー」でしたと言っていましたが、このような言葉の端々に時代を感じずにいられません。髪型やファッションは映像で常に映し出されているので慣れてくるのですが、急に当時ならではの言葉や死語が出てくると「おおっ、あったあったそんな言葉」と吹き出してしまいます。
このクイズ形式はビンゴの数字の並びで運要素もあるにはあるのですが、基本的にクイズが強い人が抜けるシステムだと思います。しかし、さすがにここまで来る挑戦者は異次元のクイズ知識ですね。情報が氾濫する今の時代に生きていてもさっぱりわからない問題に皆軽々答えていきます。それでいて当時の彼らは20代中盤ですからね。やはり凄いです。
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ここで興味深かったクイズは、「巨人の選手の背番号を全部掛けるといくつ?」とのもの。正解は0。背番号0がいるので、他にどんな番号があろうと答えは0以外あり得ないんですね。いやあ面白い問題考えますねえ。こういう洒落た問題があるのもウルトラクイズの特徴です。
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罰ゲーム:美大生の絵のモデル
ここで脱落したのは今井さんでした。
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罰ゲームは美術大学で絵のモデルをすること。そしてこの辺りはウルトラクイズならではですが、ちょっと罰ゲームの絵を撮影してハイ終了とはしないんです。イグアスでもそうでしたが、平気で2,3時間放置します。これはウルトラクイズスタッフのブログでもそう書いてありました。そして今回もその例にに違わず、福留さんやスタッフが立ち去った後、隠しカメラでその様子を撮影して3時間モデルをやらせていたみたいです。
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決勝「早押しクイズ/ニューヨーク」(2人→1人)
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遂に決勝まで来ました。長かったような短かったような。
ここではいつもヘリを使い、今は亡き貿易センタービルをかすめながら移動するのですが、バックに流れる007のBGMに福留さんの良い意味で煽るMCがたまりません。ここで見ているこちらはテンション上がるんですよね。ウルトラクイズは使われるBGMもシーンにマッチしていて素晴らしかったです。
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ここまで来るとこの素人の2人はもはや英雄なんです。つい1ヶ月前までは名前も顔も誰にも知られていないその辺の一般人だったのに、ウルトラクイズが放送され最終週になる頃には、インパクトのあるキャラや決勝に残る人は知名度抜群のアイドルになってしまいます。これもウルトラクイズの凄さの1つです。
今回のウルトラクイズで決勝に残った2人は供に社会人です。横田さんが25歳で旅館の若旦那。渡辺さんが29歳の会社員。回数を重ねると大学のクイズ研が勢力を増し、社会人の活躍が難しくなるので新鮮です。また、更に驚くのがこの2人はクイズ番組初挑戦だということ。クイズ番組初挑戦の社会人がウルトラクイズの決勝戦へ進出する。これはウルトラクイズが目指していたものであり、視聴者が自分を重ねて夢を見られるものでもあります。ウルトラクイズの魅力は何かといえば、その大きな1つに『自分も行けるかもしれない』との希望があることだと思います。そのような意味で歴代最高視聴率なのも頷けます。
今回決勝の舞台になったのはパンナムビル屋上。船の上だったり色々なシチュエーションで決勝をやっていますが、ビルの屋上は目下の景色が凄いんですよね。
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決勝はこれまでのお祭り感は一切なくなり完全真剣勝負の空気に変わるのがたまりません。クイズ形式に一切余計な物はなく、10ポイント先取の早押しクイズ。そして完全がチンコの1対1。福留さんのMCも茶化したり笑わせたりすることは一切なく、徹底した真剣勝負の空気作り。
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この決勝では中盤まで横田さん、渡辺さんで競っていたのですが、中盤以降は機内ペーパーテスト1位の実力からも分かるとおり自力の差が出てしまい横田さんが優勝です。決勝は意外と差が付くことが多い気がするのですが、それらに比べれば競っていたかなと思います。
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今回敗者となった渡辺さんには罰ゲームはないのですが、以前の記事でも書いているように、賞賛される優勝者をただ眺めるだけで、一切声を掛けられず放置されることこそが罰ゲームといって良いでしょう。
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優勝賞品:カナダ産ログハウス (カナダ西部のカムループスで贈呈。土地も与えられず、丸太を自分で切って組み立てなければならなかった)
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さて、優勝者横井さんの罰ゲーム…もとい優勝賞品ですが、先週告知されたように家一軒プレゼントでした。…が、プレゼントされたのはログハウスの材料となる高級丸太のみで、自分で作りなさい、土地も自分で用意しなさいというもの。ログハウス作りを教わっては板のですが、1本の丸太をなんとか加工したところで終了。またしてもどうにもならない優勝賞品でした。
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これも散々以前の記事で書いているのですが、「優勝しても賞品なしかよ~」と思われるかもしれませんが、実はこのウルトラクイズの優勝賞品ってここまでの1ヶ月のアメリカ大陸を巡る大冒険なんです。挑戦者は皆口を揃えていいます。「人生が変わった」、「自分のちっぽけさに気付いた」、「価値観が変わった」、「人生のピークはここだった」…と。この一ヶ月に及ぶ大冒険は普通できませんからね。何十年とたった今も、ウルトラクイズの同窓会が行われたりしているようですが、そのことからもこの冒険がいかに特別な物かがわかります。
放送を見終わって
やはり社会人が勝ち上がっていく様はドラマがあって面白いですね。福留さんもスタッフも、基本的にこのように社会人の悲喜こもごもの人間ドラマを織り交ぜながらのクイズ番組を目指していたそうで、後にクイズ研が跋扈する状況は少なくとも喜んではかったようです。今回、そのクイズ研とのワードは遂に1度も出てきませんでした。ファミ劇再放送でこの第7回の次に古い回は第11回なのですが、このときはクイズ研が跋扈しており、クイズ研とのワードも頻出だったので、ここまでクイズ研の存在どころか言葉すら出ないことには驚きました。本当に一言もクイズ研という言葉は誰の口からも出なかったんです。この後の3,4年で一気にウルトラクイズの状況は変わったようですね。
大学のクイズ研を悪者だとは思っていないのですが、終盤の『クイズ研ばかり』になってしまうのはちょっとね…とは思います。大学生の場合、時間もあって自由が効くので、あくまで遊びの延長で参加できるんです。覚悟が軽いというか…。一方社会人の場合、勝ち進むと2週や3週会社を休むことになるので、それこそ人生賭けた選択肢を迫られたり、人生を賭けた戦いになるんです。この重みの差は如何ともし難いです。社会人の家族や会社のプレッシャー、葛藤、そして導き出される選択なんかの重みは大学生には出せませんからね。福留さんやウルトラクイズスタッフが求めていたドラマ性ってここなんです。決してクイズ研が悪いと言っているわけではないんです。時代の流れとして必然だったのでしょう。そこは理解しています。
しかしやはり面白すぎる…。今のバラエティを全否定するわけではないのですが、余計な装飾や大仰なテロップがないだけで、ここまでその『番組内容』に没入できるのかと、自分でも毎回驚きます。今だと、スタジオにお笑い芸人、アイドル、誰だか知らないモデルがひな壇に座り、ことあるごとにスタジオにシーンは移り、あーだこーだ下らないことを言うでしょう。また、ワイプで常に端っこに芸能人の大袈裟に驚いた顔、「え~~~~」、「うそ~~~~」などスタジオの声、ここで笑えよと指示されているようなでかでかとしたテロップ。そして肝心のシーンでCMへ行く山場CM方式。これ本当に内容に集中できないんです。料理で例えると、折角美味しいマグロの刺身があるのに、マスタードやマヨネーズ、ごまやその他訳のわからない調味料がドバッと掛けられている感じ。素材の良さが全くわからなくなるんです。
この頃のバラエティは、余計な装飾を付ける技術がないだけだったのかもしれませんが、そのおかげで番組の内容そのものにとことん没入することができました。特にテロップとワイプを始めたのは功罪の罪の方が確実に大きいと思います。
と、今のバラエティの愚痴になってしまったのですが、とにかく元の良さを際立たせるシンプルな作りは素晴らしかったです。
総評
本来、クイズって生活に何の役にも立ちませんよね。生きる上で別に必要ではありませんし、仕事上必要なことも普通ないでしょう。しかし、そんな一見すると『無駄なこと』に情熱を掛けられ、世界中を巡る冒険ができるというのは余裕がなければ無理です。また、見て楽しむ方も同じで、何の糧にもならないことに熱中して楽しむことができるこの余裕に感謝です。本来役に立たないことにこれだけのめり込むことができる自分が置かれた立場って恵まれているんだなあと感じました。
ウルトラクイズは権利関係のクリアが、完全に素人中心の番組なのでかなりハードルが高いとは話に聞いているのですが、他の回も見たいので頑張って欲しいです。個人的にはおそらくギリギリ記憶にあるであろう9回、10回あたりを切に見てみたいと思います。
今回の第7回は見た記憶が一切なく、キャラが強かった岩瀬さんの記憶もないので、おそらく今回が初見だったと思います。33年前の番組を初見だったのにここまで面白く見ることができました。ウルトラクイズのフォーマットはずっと変わっていないので、フォーマットに対する懐かしさ、面白さはあっても、この回へのノスタルジーから来る懐古的加点要素は私の中にはなかったと思います。それでもこれだけ純粋に見て楽しいと思えるウルトラクイズはやはり凄すぎます。
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それではまたいつか、他の回が放送されるその時に会いましょう。
関連リンク