バラエティ全話レビュー「第13回 アメリカ横断ウルトラクイズ 第4週」 5/5 (1)

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みどころ

  • バンジージャンプ
  • 遂にアメリカ大陸上陸
  • トマト戦争

 

放送日時

日本テレビ本放送:1989年11月16日(木)19:30~21:00

 

遂にベスト10の戦いへ

ウルトラクイズも折り返し地点の第3週を過ぎ、遂に今回で第4週です。既に挑戦者の数は10人に絞られているので、ここからはベスト10の戦いになっていきます。ここからは毎チェックポイントごとに落ちる人数が、1人か多くて2人になるので、緩やかに人数が減っていき、ジワジワ人数が絞られるため、1人1人の挑戦者の個性が非常に色濃く番組に出ることになります。

 

アメリカ大陸横断

今回のウルトラクイズは、直接アメリカ大陸に渡らず、最初にオーストラリアとニュージーランドを経由したことにより、なんと第4週目でアメリカ大陸に初上陸となりました。

 

時代を感じる舞台

今回出てきたバンジージャンプと言い、トマト戦争と言い、時代を感じますね。今でこそバンジージャンプは誰もが知る有名なレジャーですが、この頃は後ろでバンジージャンプをしているにも関わらず、バンジージャンプの問題に中々答えられない一幕もありました。いかにこの時代、バンジージャンプが世間に認知されていないかを如実に表しているでき事です。

 

また、村おこしのトマト戦争ものちに有名になりましたが、この時はほとんど日本で知られておらず、そんなおかしな祭りがあるのかと驚いた記憶があります。

 

このように、クイズの問題自体だったり、チェックポイントで行われている事などで、時代を感じることが、今週は多かったように思います。

 

放送内容

第9チェックポイント「地獄のお叫びクイズ/ショットオーバー」(10人→9人)

勝ち残り条件:2ポイント獲得

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ここはウルトラクイズ恒例の大声クイズです。それぞれのキャラクターに合わせた言葉をスタッフが考え、それを叫ばせて規定の音量に達したら解答権が得られるとのクイズ形式。秋利さんは長戸さんに帰って欲しいと漏らしていたため「長戸帰れ!」だそうです。これはもう既にこの頃から長戸さんがクイズに強く、仲間内で驚異と見られていたって事ですね。

 

また、前回の記事でも触れましたが、ニュージーランドのこの時点で、女性は全員落ちてしまい、男性ばかりになってしまいました。絵的に寂しいです。

 

大声で叫ぶ言葉は、恒川さんの場合、「小学生のアイドル!」との言葉でした。これは素直に、小学生に人気とのことだったのですが、今だと何か違う意味になりそう…。

 

さて、クイズ本番に話は変わりますが、ここから急にレベルが跳ね上がった印象を受けました。この中に入ったら、とてもじゃないですが、1問も正解する自信がありません。そもそも早押しが早い…。この第13回は、ウルトラクイズ史上最も激戦と評判なのですが、その最たる理由が来週のボルチモアの準決勝なのは言わずもがななのですが、ここからの挑戦者のレベルの高さもその一因ですね。突然前週からレベルが跳ね上がって目が丸くなってしまいました。

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しかしこの高難易度も、ある程度出題して答えられそうにないと、明らかにレベルを下げた問題になるので、その辺は柔軟に対応していたんでしょうね。この頃になると、最初の方に抜ける挑戦者のレベルはかなり凄いです。

 

そして今回落ちた1人は加藤さんでした。ドラマ性の面でも社会人に残って欲しかったのですが残念です。そして罰ゲームは勿論後ろで行われているバンジージャンプです。

 

この後の裏話番組で言っていましたが、ウルトラクイズに出発する直前に、フランスでバンジージャンプの紐が切れて死者が出る事故があり、この罰ゲームをどうするか長い会議になったそうです。結局、バンジージャンプを飛ばせる直前で罰ゲームは終わりとの事になりました。

 

今でこそバンジージャンプは誰しもが知っているレジャーですが、当時はバンジージャンプとの言葉すら認知されておらず、どれだけ安全なのか、危険なのか、それすらわかっていませんでした。この罰ゲームは、今私たちがバンジージャンプに感じる恐怖とは、比べものにならない恐怖だったと思われます。

 

当時のバンジージャンプがいかに認知度の低く、危険だったと思われていたかを良く表すシーンがありました。福留さんがバンジージャンプを直前で中止させて言った一言。「いかにウルトラクイズでもそんなことはするわけないw」。バンジージャンプってこう思われていたんです。勿論、今完全に安全なのかと言われれば難しいところですけどね。

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また、今だから話せる裏話ブログで萩原さんが書いていましたが、ウルトラクイズの罰ゲームのモットーは、「スタッフができないことは挑戦者にやらせない」だったそうなので、このバンジージャンプを飛ばさせなかったのもそういう理由からでしょう。

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第10チェックポイント「クイズ わたしがママよ/ロサンゼルス」(9人→7人)

勝ち残り条件:2ポイント獲得後子供の母親を当てる

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遂にここでアメリカ大陸西海岸に上陸です。ここではクイズの前に、「見せます!!ウルトラクイズの舞台裏」との、ちょっとしたドキュメンタリーのようなVTRを流していました。これはウルトラクイズの表舞台ではなく、裏方のスタッフはどういう事をしているのかを見せるVTRなのですが、実はこれがのちの罰ゲームの伏線になっているんです。まあそれはともかく、この舞台裏だけでも十分面白く、これだけで2時間番組ができちゃいます。

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萩原さんのブログでも、ウルトラクイズのあとに放送する番組でも、華やかな舞台が用意されている挑戦者とは裏腹に、スタッフがろくに睡眠も取らずに準備しているとの話は知っていたのですが、やはりこれだけ大所帯で、スケジュールがぎっしり詰まっていて、なおかつ1ヶ月の海外行脚ともなると、想像を絶する大変さだったようですね。気楽に番組を見て楽しんでるだけの私ですが、今更ながらに頭が下がります。

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ここでのクイズは、これもウルトラクイズ恒例の「私がママよ」クイズです。通常の早押し問題に2問正解したら、小さな子供が描いた似顔絵を見て、本当の母親は誰かを当てる回答権が得られ、ここで正解すれば勝ち抜けです。これもいわゆるクイズ研落としですよね。クイズ知識だけではなく、芸術性や感性なんかも大事になってきますからね。

 

ここも前チェックポイントと同じく早押しクイズなのですが、やはり挑戦者のレベルが高いです。クイズ研究会が多いので、問題の途中でバンバン回答しに来ます。ただこれにも一つ弊害があって、知識がある、早押しが早い、問題の予測もできるので、問題途中で早とちりして回答して間違ってしまうことがあるんです。実は福留さんは、この早とちりの誤答が嫌いだったそうです。萩原さんのブログを読むとよくわかるのですが、毎回スタッフは苦労をして裏を取り、捻った問題を約1万5千問ほど作っていたそうです。その苦労を知っていた福留さんは、このような早とちりで問題を読み切れずに誤答されると、問題が死んでしまうので嫌がっていたんですね。そしてその福留さんの感情の一端が垣間見えるシーンが今回ありました。恒川さんがこの「問題途中の早とちり誤答」をしたとき、かなり怖い福留さんの「そんなことは問題になりません…早とちりです」との、明らかに怒ったテンションでの一言がありました。この福留さんはテレビの前で見ているだけの私でも怖かったです…。

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そしてここでの脱落したのは、恒川さんと正木さんの2名でした。

 

罰ゲームは、クイズ前に放送された舞台裏が伏線になっており、荷物の撤収、積み込みを手伝うとの物。いかに大変かは、舞台裏のVTRでわかっていますよね。この罰ゲームがいかに大変かをわかって貰うために、先ほどの舞台裏VTRは必要だったんですね。ここで脱落者が2名だったのは、この罰ゲームが大変だって事も理由に挙げられると思います。

 

恒川さんは、罰ゲームの荷物積み込みが終わって一段落したあとに泣いていましたが、こういった感情って一端落ち着いてから襲ってくるんですよね。お葬式でもそうで、準備に追われているときは、色々やらなければならないことがあり、頭も体も休まる暇が無いので、余計なことを考える余裕がないのですが、お葬式が終わって一息つくと、そこで一気に悲しみが襲って来るなんて経験がある人は多いんじゃないでしょうか。おそらくそんな感じなんでしょうね。

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また、更にその先のことを考えると、同じ志を持ってワイワイガヤガヤ賑やかにこれまでやってきたのに、帰りは寂しく飛行機で1人、2人で帰るんですよね。そこには友人もおらず、周りを駆け回るスタッフもおらず、その寂しさは更に引き立ち凄いんでしょうね。ちなみに、この時運んだジュラルミンケース1個の平均的な重さは22kgだそうです。これは本当に大変でしょう。

 

第11チェックポイント「トマト戦争 遠すぎた塹壕/ツインレークス

勝ち残り条件:2ポイント獲得

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このトマト戦争は非常に印象に残っています。人口17人の過疎の村おこしが世界中に知られた最たる例ですね。

 

ちなみにこの裏話でひとつ面白い事があって、用意したトマトが朝凍ってしまっていて、このままでは危ないと思ったスタッフが、必死で手で揉んで解凍して柔らかくしたそうです。しかし、それでもこのトマト戦争を見ると、当たると凄く痛そうな音がしています。更に投げる村人の容赦のなさ。結構本気で投げています。

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そしてこのツインレークスは標高3,000mとのこと。富士山山頂と変わらないじゃないですか…。ここでトマト戦争をくぐり抜けながら走り、その先にある早押しボタンを押して解答する。かなりハードな早押しクイズです。標高3,000mですし、走っている最中はトマトが四方八方から飛んでくるので、走っている間に問題を忘れたりしてしまいます。

 

ここで落ちたのは関根さん1人でした。関根さんは体力的に限界でバテていたように見えました。そりゃあ標高3,000mですからね。下手をすれば高山病になってもおかしくない標高で走って考えて答えての繰り返しで、しかもその合間には四方八方からトマトが投げつけられるわけですから、心が折れても不思議ではありません。

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罰ゲームは、トマトを当てられたときの悶絶演技。そしてそのまま担架に運ばれ、救急車の乗せられ退場していきました。

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贔屓の挑戦者

ここまでウルトラクイズを見ると、もう誰しもが贔屓の挑戦者ができているんですよね。その辺にいるただの素人、ただの兄ちゃん姉ちゃんなのにです。たかがと言っては失礼ですが、よくある素人参加型のクイズ番組ですよ。それでここまで素人の参加者に肩入れしてしまう。頑張れと思ってしまう。こんなクイズ番組は古今東西見たことがありません。

 

クイズ研についてぶっちゃけトーク

このウルトラクイズの本編放送後に、毎回30分のウルトラクイズ裏話番組「今だから話せるウルトラクイズ丸秘証言集」を放送しているのですが、ウルトラクイズ好きの間で良く議論になるクイズ研についてかなりぶっちゃけていました。

 

萩原さんのブログでは、決してスタッフはクイズ研を嫌ってはいないと書いているのですが、今回の番組の中では、それとは逆にハッキリと「鬱陶しい」と言っていました。これはどちらが正しいって物でもないんでしょうね。今週の舞台裏でも出てきたように、スタッフ総勢48人いるのですから、全て同じ考えのわけはないですし、そもそも0か100で好きか嫌いの二択ってわけでもないですからね。クイズ研のこの部分は好き、この部分は嫌いなんてスタンスも人として当たり前でしょう。実際小倉さんはクイズ研に対して肯定も否定も両方していました。

 

クイズ研の存在

ここでウルトラクイズでのクイズ研の存在について書いておきたいと思います。

 

このウルトラクイズはクイズの強さや知識量だけが魅力の番組ではなく、それぞれのドラマ性やキャラクター、または旅番組の要素も魅力の重要な要素でした。そんなバラエティに富んだウルトラクイズにクイズ研ばかりになったらどうなるか…。単なる知識勝負のごくありふれたクイズ番組になってしまうんですね。

 

ウルトラクイズの参加資格は18歳以上だったので、クイズ研=大学生でした。大学生は基本的に18歳から22歳。浪人や留年を考えても18歳から24歳ってところでしょう。長戸さんがまさにこの時24歳でしたね。大学生であり、年齢も似たような層になり、クイズばかりに強いクイズ研が大勢を占めてしまうと、絵的にもキャラクター的にも似たり寄ったりになってしまい、ウルトラクイズの特徴であるドラマ性や、バラエティに富んだ作りがやりづらくなってしまうんですね。この辺の考え方は、私たち視聴者もスタッフも同じような認識だったみたいです。しかし、だからと言ってクイズ研は悪ではありません。クイズが好きで勉強して練習し、参加資格に合致するクイズ番組に出ているわけですからね。それにクイズ研を締めだしてしまうと、今度はレベルが低くなり、クイズ番組の根本が揺るぎかねないので、この辺の葛藤はあったみたいですね。

 

今週はチェックポイントは3つ

今週行われたチェックポイントはたったの3つでした。1週間で行われるチェックポイントとしては少ないです。いかに一つのチェックポイントに時間をかけたかって事ですね。

 

第13回はウルトラクイズ史上最も激戦と言われているので、このように前半を駆け足で、後半をじっくりゆっくりとの構成にしたんでしょうね。

 

遂に来週は最終週です。ウルトラクイズは1回だけの特番ではなく、4週、5週に渡って番組が続くので、ここまで約1か月世界を駆け巡る冒険を見てきたわけですが、それも遂に最終回です。アニメやドラマでは、最終回は感慨深くなるのが当たり前ですが、素人参加型のクイズ番組で、この最終回の感慨が襲ってくると言うのは実に不思議な感じです。

 

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