「理想のヒモ生活/日月ネコ、渡辺恒彦」レビュー ~異世界でヒモ生活~

今回レビューするのは、日月ネコ、渡辺恒彦さんの異世界でヒモ生活をする小説のコミカライズ『理想のヒモ生活』です。

 

それでは早速レビューを書いていきたいと思います。

 

未読の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。

 

あらすじ

月平均残業時間150時間オーバーの半ブラック企業に勤める山井善治郎は、気がつくと異世界に召喚されていた。善治郎を召喚したのは、善治郎の好みストライクど真ん中な、褐色の爆乳美女。「ようこそ、婿殿」と、いきなり結婚を申し込む、異世界の女王様に善治郎の出した結論は……。

 

長所と短所

  • ○異世界でヒモ生活を送る
  • △意外とヒモ生活ではない
  • ○ありきたりのハーレムにはならない
  • ○実際は政治もの
  • △主人公が平凡

 

感想

○異世界でヒモ生活を送る

簡単にストーリーを説明すると以下のような感じです。

 

ブラック企業に勤める主人公の山井善治郎が突然異世界に召還されてしまいます。そこでカープァ王国のアウラ王女からなにもしなくて良いからと求婚され、現実世界に疲れ切っていたので悩んだ挙げ句に承諾。タイトルにあるような理想のヒモ生活が始まります。何故善治郎が召還されたのかと言うと、150年前に駆け落ちしたカープァ王国王族の子孫だからです。王族の血を絶やさないため善治郎を見付けての召還なので、異世界ものにありがちな死んで転生ではありません。きちんと生きたまま異世界へ行きます。

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現実の世界の始末はどうしたかと言うと、求婚された後一旦現実世界へ戻り1か月後に再召還さるので、きちんと退職届を出し、親は既に他界していたのでお世話になった叔父さん叔母さんに海外に長期出張に行き、次はいつ帰ってこられるか分からないと挨拶をし整理します。ちなみに、異世界の惑星の配列によりこの1ヶ月の期間しか召還魔法は使えないため、この期間が過ぎたら30年後まで現実世界へは帰れないとのこと。

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また、一旦現実世界に戻ったときに1枚の絨毯のような魔道具を渡され、そこに乗る物であれば再召還の時に異世界に持って行けるとのことで、冷蔵庫やエアコン、TVやゲーム機などの家電製品を大量に持ち込んでいました。電気はどうするのかと言うと、業務用の水力発電機を持ち込み異世界に設置して賄うという用意周到さ。

 

そしてここからタイトルにもあるようなヒモ生活が始まります。

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と、まあストーリーの土台はこんなところです。

 

異世界ものは数知れずあり、あらゆるジャンルが網羅されている状況ですが、異世界に行ってヒモ生活を送る…しかも王女のヒモになると言うのはユニークなので手に取って読んでみました。ちなみに私が読んだのはコミック版です。メディアミックス展開が順調に進んでいますし、なろう発の異世界ものは次々アニメになっているので、いずれアニメ化もされるかもしれませんね。

 

△意外とヒモ生活ではない

タイトルに思い切りヒモ生活とありますが、あまりヒモ生活にはなっていません。善治郎は現実に疲れ切ってヒモ生活を送ることを目標にするのですが、ヒモの描写はあまりなく、ストーリーもすぐに政治に絡んでいく展開にとなります。

 

カープァ王国はこれまで男性社会だったのですが、王族の血筋が絶えそうになり、初めて女性のアウラが王座に就きます。善治郎はあくまで王女の夫というだけの存在で、表舞台ではなんの権力もない…はずなのですが、やはりそこは王族に取り入ろうとする貴族がいたり、公式の式典に王の伴侶として出席しなければならなかったりし、どうしても私たちがイメージしているヒモ生活とはなりません。

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いずれ政治劇になるのは仕方ないとは言え、せめてもう少しヒモらしい話を見たかったところ。駄目男の描写や、それでも夫を好きな駄目女のコミカルな話とかですね。この辺のヒモ話を見たいならドラマの『ヒモメン』がお勧めです。まさに私たちが頭に描いているヒモ男がおもしろおかしく描かれています。阿部寛さん主演の『結婚できない男』が好きならこれも面白いと思うはず。同じ男女の喜劇ですからね。ちなみに、ヒモメンの川口春奈さんは駄目男が好きな駄目女ぶりが凄く可愛いです。

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一応最初は部屋に家電製品を並べ、ソファーに寝転がってゲーム三昧の描写はあるのですが、これはほんのちょっとだけですぐなくなります。異世界ものはこれがあるんですよね。『転生したらスライムだった件』も「スライムに転生する?面白そう」と思って読み始めたのですが、少ししたら人間に変身出来るようになり、スライムとして活動することはほぼなくなってしまいました。タイトルのユニークな設定に惹かれたのに…。その後は結局異世界もの特有の俺つえーの国作り物語となってしまい…。つまらなくはないんですけどね。ただやはり、タイトルの売り文句に惹かれただけに、それに沿った話を見たかったのも事実。

 

と言うわけで、実はタイトルにあるように駄目男がヒモ生活まっしぐら…と言う話ではありません。王女の後ろでアドバイスをしたり、権力争いに巻き込まれて上手く立ち回ったり…そんな話です。

 

○ありきたりのハーレムにはならない

異世界ものに限りませんがハーレムもの多いですよね。1人の男性主人公に複数の女性が好きと群がってくる構図。しかし、この理想のヒモ生活はそんなことになりません。異世界ものはハーレムばかりの印象なのでこれは1つユニークな点と言えるのではないでしょうか。

 

ただ、男性が多い読者を考えると、不自然とは言えハーレムになるのは読者の夢でもあるわけで…。この辺りは好みによりますが、昨今多いハーレムものに飽きている方には良いのではないでしょうか。

 

何故ハーレムものにならないかの理由は、前述した政治劇であることも1つ理由があります。貴族や他国の王族も善治郎に側室を勧めたり、実際に籠絡しようと女性も近付いてくるのですが、女王とその夫に権力が分散したり、他国の王族との間に子供が出来るとなにかと面倒…と言うのが1つ。もう1つは善治郎がアウラにベタ惚れしていること。まあ、知らない人間が出会ってすぐにここまで愛し合うというのも少し変ではありますが…。

 

ちなみに、アウラの目的は王族の血を絶やさないこと…つまり子作りも大きな目的なのですが、性的な描写はあまりありません。初夜にそんな感じのことはありますが、それ以外だとイチャイイチャがある程度です。妾も取っていませんし、女性も体を使って誘惑なんてこともしてきません。

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今後どうなるかわかりませんが、取り敢えず私が読んだコミックの5巻までではハーレムの状況にはなっていません。ただ、側室候補は何人も出てきているので、いずれ誰かがなるのかも。原作の小説ではもっともっと話が先に進んでいるのでこの辺り分かっているのでしょうね。

 

○実際は政治もの

政治劇とは具体的にどんなことかと言うと、前述したように善治郎は権力がないとは言え、王女の夫であり血筋もれっきとした王族なので、そこに取り入ろうとする野心のある貴族の政略。逆にミスを誘発して伴侶の王女であるアウラの権威を貶めようとする敵。それら本心が分からないので腹の探り合い。儀礼上無碍には断れないので言葉巧みにかわしてピンチを切り抜ける。こんな感じのことが王宮で巻き起こります。また、他国との間では情報合戦に巻き込まれ、機転を利かせて自国有利に持っていったり、現実世界の道具をダシに譲歩を引き出したり。

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ただ、これらの政治劇はやはり政治劇メインの創作物に比べると温いです。結局都合良く善治郎有利に事が運びますし、そこには異世界もの特有の俺つえー成分が少なからずあります。武力でする俺つえーや、専門職ならではの知識でする俺つえーではないので、それほど鼻につく感じはありませんが、逆に言えば一般のサラリーマンが常識の範囲内の言動で俺つえーが感じられるので受け付けない人もいるかもしれません。

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この政治劇の温さは逆にメリットにもなります。難しい話や専門用語が延々と続くわけでもなく、しかめっ面したお偉いさんが悩みまくるわけではないので気楽に読めます。

 

△主人公が平凡

主人公は現実世界ではブラック企業に勤めていたただのサラリーマンです。知識も力も平々凡々で、特筆すべき所は本当になにもありません。ただ、王族の血を引いているので、魔力の潜在能力はある程度ある模様。まあ、この辺り主人公の能力が普通なのに異世界で無双するのはよくあることで良いのですが、見た目的にもモブキャラみたいなのはなんとも…。その平凡さを絵でも表していると言えばそれまでなのですが、もう少し個性があっても良かったかなと。

 

総評

異世界でヒモ生活を送ると言うユニークなフレーズに惹かれて漫画を読んだのですが、ヒモ生活はほとんど描かれず、政治劇になってしまったものの今のところ(5巻)面白く読めています。絶賛するような面白さではありませんが、良質な暇潰しにはなると言ったところでしょうか。

 

ヒモ生活ではなく政治劇と前述してきましたが、善治郎はあくまで女王アウラの影で表舞台には立たないので、ヒモ成分は少ないながら一応ずっと感じられます。異世界もので過剰な俺つえーや、ハーレムものに飽きた方は是非。

 

こんな人にお勧め

  • 異世界でのヒモ生活を読みたい人
  • 異世界の軽い政治劇を見たい人
  • 過剰な俺つえーに飽きた人
  • ハーレムものに飽きた人

 

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