プリズン・ブレイクを学園物にしたら「監獄学園 -プリズンスクール-/平本アキラ」(第1~16巻)レビュー 評価はまだありません

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あらすじ

東京都郊外にある私立八光(はちみつ)学園は由緒正しい全寮制の女子高・・・・だった。本年度から理事長交代によって教育方針が変わり、男子が入学することになったのだが、入ってきたのは主人公の藤野清志他、たったの5人。女子1000人に対して圧倒的少数の男子どもを待ち受けるのは、はたして天国か地獄か。男共の下心がうずきまくる仰天ハイスクールコメディ始業!!

 

東京都郊外にある全寮制の元女子高・私立八光(はちみつ)学園へ入学したキヨシたち男子生徒5人。女子だらけの楽園状態に夢はふくらむはずだったが、そこで待っていたものとは・・・・。「アゴなしゲンとオレ物語」「俺と悪魔のブルーズ」の平本アキラが贈る、誰も見たことがない、愛と笑いとセクシーの牢獄高校コメディ始業!!

 

 

プリズン・ブレイクの舞台が学園に

断言できるのは、プリズン・ブレイクが好きな人は、まず間違いなくこの監獄学園にはまれる要素があります。

 

 

大まかなあらすじを書くと、この学園は異常に監視体制が厳しく、風紀を乱す生徒には徹底的な罰が与えられます。今年度入学してきた5人の男子生徒は、当初から目を付けられており、女子の風呂を覗こうとして学園の懲罰房(プリズン)に入れられてしまいます。監視するのは裏生徒会と呼ばれる、学園で絶大な権力を持つ組織なのですが、この監視役を頭を使ったり機転を利かせ、あらゆる手で騙し、脱獄してやろうというのが主な筋なです。

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こう読むとどう考えてもプリズン・ブレイクですよね。なおかつ日本の学園が舞台であり、高校生の攻防であり、エロが売りであることからも、どうせ大したことはないくだらない漫画なんだろうと思われるかもしれません。実際私もこの漫画の存在は知っていたのですが、あらすじを読めば読む程、プリズン・ブレイクのパクリであり、エロを前面に押し出したくだらない漫画だと思って敬遠していました。

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しっかりと頭脳戦や駆け引きがある

取り敢えず読んでみるかと思い立ち読んでみたら…これがかなりしっかりした漫画だったんです。脱獄物として完成度が高いんです。勿論、エロは随所に押し出しているのですが、頭の使い方や工夫の仕方、監視役を騙す方法やチームプレイなど、本家プリズン・ブレイクに遜色ないほどしっかりしています。

 

また、プリズン・ブレイクにはない要素として「馬鹿馬鹿しさ」があります。これがプリズン・ブレイクとの差別化になっており、ただのパクリではなくなっている所以です。そもそもパクリを言い出したら、脱獄物は古今東西あるネタです。たまたまプリズン・ブレイクが大ヒットして知名度があるので、その後の脱獄ネタは全てプリズン・ブレイクと比較されてしまいますが…。

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例えばプリズン・ブレイクでは、主人公のスコフィールドが、練りに練った作戦で相手を騙し、脱獄の準備をするのですが、この監獄学園の場合、「ウンコを漏らしたふりをして相手を欺く」、「小便を漏らしそうなのでトイレに行かせてくれと騙して下準備をする」。こんな馬鹿馬鹿しい戦法で脱獄を進めていくんです。

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しかもただ馬鹿 馬鹿しいだけではなく、その事によってされる準備や作戦はきちんと理に適っているので、ウンコを漏らすふりをする事すら格好良く見えてしまう、実に不思議な監獄学園ワールドができ上がっています。

 

そしてこれは漫画の強みでもあるのですが、実写ではできないような表現やアクションが可能なため、こういった馬鹿馬鹿しい作戦の他にも、アクロバチックな方法や、生身の人間ではできないような表現も盛り込まれていて、監獄学園でしかできないような脱獄方法が次々と出てきます。その例の一つが主要登場人物のアンドレです。あのキャラを人間で表現するのは不可能です…。現在、アンドレが壊れてしまい、人の言葉を理解しない獣のようになっているのが残念ではありますが。

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エロ満載

これは前述もしてきましたが、この漫画は本当にエロ満載です。個人的には特に漫画やゲームにエロは求めていないのですが、事実として凄くエロイです。少年漫画の域を出ています。エロが露骨になっていて、チラリズムとか可愛い物ではなく、ド直球のエロになってしまっているので、いつ社会的に非難されてもおかしくないのが不安ではありますが…。

 

エロはこの漫画の一つの特徴なので別に良いのですが、このエロがなくても十分面白いです。

 

女性の暴力

先日の「四月は君の嘘」のレビュー(全てが薄っぺらい「四月は君の嘘/新川直司」レビュー)で、「女性の男性への暴力をギャグとするのは安易で嫌い」と書きましたが、監獄学園はまさにその女性から男性への暴力がオンパレードなので、前と言ってることが違うと思われるかもしれませんので、少しその辺の説明をしたいと思います。

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監獄学園は女性から男性への暴力が常態化しているので、ここに嫌悪感を感じる人もいると思います。私は何故これが、四月は君の嘘と違い平気だったのか説明すると、これは「性別を強調した暴力」ではなく、刑務官と囚人という「関係性から来る暴力」だからです。

 

私の中では性別を強調した暴力よりも、圧倒的に関係性から来る暴力の方が強いと感じたので、結果的に性別を強調した暴力に、関係性から来る暴力が上書きされ、性別を強調した暴力のイメージがほぼ消えました。ただここは個人の受け取り方の問題なので、関係性から来る暴力で上書きでない人、性別を強調した暴力の方を強く受け取ってしまう人は、この監獄学園を読むのは不快に感じるかもしれません。

 

結論を簡単に書くと、私は「女性から男性への暴力」というより、「刑務官から囚人への暴力」と受け取ったんです。

 

絵がとんでもなく上手い

絵が上手くて衝撃を受けたのは久々です。最近で思い出せるところだと、「百舌谷さん逆上する」の絵が上手くて驚いた漫画です。これももの凄く絵が上手くて、人物の絵が上手いだけではなく、アングルや構図、魚眼レンズのような歪んだ構図も上手くて、読みながらも話以外に「絵が上手いな~」とたびたび感心してしまいました。絵だけにお金を払えると思った漫画です。

 

そこで作者のことを調べたら、美術大学の造形学部卒業と知りなるほどなと納得しました。下から見上げるアングルや、魚眼レンズのような歪んだ構図がもの凄く上手い訳が分かりました。百舌谷さん逆上するも監獄学園も物の捉え方、見方、アングルが独特なんです。

 

そしてこの監獄学園も百舌谷さん逆上する同様、絵が上手すぎて驚いた漫画です。前述したようにアングルや構図の上手さも勿論なのですが、人物がリアル志向で、昨今流行の目が異常に大きい「萌え絵」とは対極にあるので、それも好きな要素の一つになっています。また、陰影の付け方も上手くて、平面の絵でも立体感が凄く、シリアスな場面の味付けとしても非常に効果的です。昔で言えば、北条司さんや桂正和さんなんかの系統です。

 

1部が至高、2部は…

監獄学園は現在、第2部の女性編に突入しており、主人公の清志(きよし)はいるものの、それ以外の囚人は女性(裏生徒会)で占められています。この第2部もそこそこ面白いのですが、なんと言っても面白いのはその前の男子生徒5人が囚人になっていた第1部です。

 

監獄学園が始まって少しの間、学園の紹介や登場人物のキャラを見せる、いわゆる前振りの段階で読むのを止めてしまいました。漫画でも映画でもそうなのですが、この前振りはのちの展開を豊かにするために、どうしてもカットできない場合が多いので、本来前振りで切るべきじゃないんですけどね。特に興味もなく読み始めたので、この時は途中で切ってしまいました。しかし、のちにその前振りを超えて、本編の脱獄物になるところまで読んだのですが、そこからは面白くて一気読みしてしまいました。

 

本当はこの1部で終わっても良かったと思うのですが、人気がある漫画の宿命で、そこは雑誌の売り上げもかかっているので、作者の好きに止められません。第2部は囚人が女性になっただけで、やっていることは第1部と同じですから、当然新鮮さや驚きは第1部より少なくなり、面白さも当然落ちてしまいます。映画の続編にありがちなパターンに完全に陥っています。しかし元々が面白いので、面白さが落ちるとは言っても、それでも面白いんですけどね。

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プリズン・ブレイクが好きなら1度読んでみて欲しい

最初にも書きましたが、プリズン・ブレイクが好きな方で、エロと馬鹿馬鹿しさに抵抗がないなら1度読んでみて欲しいです。エロを前面に押し出しているので、そこにばかり注目が集まりがちですが、脱獄物として非常に良くできている話です。

 

きちんと頭を使った作戦だったり、あらゆる手で相手を騙したり、予定外のことが起こったときの機転の利かせ方など、脱獄物として抑えるべき所は全て抑えています。

 

7月からアニメ化するとのことで、折角なので好きな監獄学園のレビューを書きましたが、エロ抜きにしても実は結構本気でお勧めできる脱獄物なんです。エロや馬鹿馬鹿しさ満載なので、それ込みで冗談半分であり、くだらなくて笑える物として勧めてるんだろうと思われるかもしれませんが真面目にお勧めです。

 

ただアニメはどうなるんでしょうね…。まず一つ不安なのはエロ表現。エロは別になくても面白いのですが、エロもこの監獄学園の特徴の一つなので、これがなくなると監獄学園ではなくなるのもまた事実。地上波でやる以上、漫画通りにはどうやっても無理だと思いますが…。

 

もう一つは漫画の絵の上手さを再現できるのかという点。本当に漫画の絵は上手いので、毎週放送のテレビアニメであの緻密な絵や描き込んだ陰影が再現できるのか…。これも難しい気がします。

 

こんな人にお勧め

  • プリズン・ブレイクが好きな人
  • 脱獄物が好きな人
  • 頭を使った駆け引きが好きな人
  • 絵が上手いな漫画が好きな人

 

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