漫画全話レビュー「めぞん一刻 第143話「戸惑いロマンス」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1984年11月10日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1986年9月23日 五代裕作、こずえちゃんとのキスを響子さんの目撃される

 

この頃の出来事
  • 11月1日 – 日本国有鉄道が分割民営化を控えて最後の大規模ダイヤ改正実施。福知山線の全線電化が完成し、東海道新幹線で100系新幹線の本格導入開始。
  • 11月1日 – 道路交通法改正、自動車の一般道路におけるシートベルトの着用が原則義務化。
  • 11月1日 – 和歌山県で真理の友教会女性信者7人が教祖の後追い自殺。
  • 11月1日 – 新潟県新潟市などで電話市外局番が3桁化され「025」となる(本州日本海側では初の3桁市外局番)。
  • 11月1日 – 鐘紡がカネボウ食品を吸収合併(1993年にカネボウ食品本部がベルフーズと合併し、カネボウフーズとして再独立)。
  • 11月3日 – レバノンの雑誌がレーガン政権のイランへの秘密の武器輸出を報じて、イラン・コントラ事件が発覚。
  • 11月11日 – キヤノンが「マルチメディアホンMMP-10」を発売。
  • 11月12日 – 福岡市地下鉄箱崎線の延長部(箱崎九大前駅 – 貝塚駅間)が開業し、全通する。
  • 11月15日 – 三井物産マニラ支店長が誘拐される(三井物産マニラ支店長誘拐事件)。
  • 11月15日 – 伊豆大島の三原山が噴火(11月21日午後4時15分に大規模な割れ目噴火が発生し、全島民が島外に避難する)。
  • 11月25日 – 三菱銀行有楽町支店で現金輸送車の3億3000万円強奪事件(有楽町三億円事件)。
  • 11月27日 – 日本共産党幹部宅盗聴事件が発覚。
  • 11月28日 – 国鉄分割民営化関連8法成立。

 

あらすじ

銀行の先輩にプロポーズをされたこずえちゃん。翌日、五代君に相談へと一刻館を訪れるのですが、キャバレーへの泊まり込みでおらず、響子さんと一緒にキャバレーへと訪ねます。しかし、明後日が保母試験だと知り、五代君に心配を掛けまいと相談は保留するのですが、別れ際五代君は騙し討ちでキスをされ…。

 

 

みどころ

  • こずえちゃんの騙し討ちキス
  • 五代君とこずえちゃんのキスを目撃する響子さん

 

はじめに

今回はこずえちゃんがプロポーズをされ、その相談に五代君に会いに行き、そしてこずえちゃんとのキスを響子さんに目撃される話です。

 

 

今までの記事でも書いてきましたが、基本的にこずえちゃんは響子さんをライバルだと気付いておらず、響子さんも対抗心を燃やすに燃やせない状況だったのですが、今回、五代君とこずえちゃんのキスを目撃したことにより、今までに無いほどこずえちゃんへの嫉妬を爆発させ対抗心を燃やします。

 

ちゃっかりしてるこずえちゃん

こずえちゃんは冒頭、銀行の先輩にプロポーズをされていましたが、プロポーズをされるほど親密ってことは、少なくともデートやキスくらいはしているんでしょうね。いくらこずえちゃんがねんねだとは言っても、このときこずえちゃんは22~23歳ですからね。それなりのお付き合いはあったと思います。しかし五代君がキャバレーに泊まり込んでいることは知らず、たまには会っていた物の、最近はなかなか会えなかったようです。こずえちゃんとは付かず離れずの微妙な距離だったみたいですね。

 

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響子さんとこずえちゃん

今回、響子さんとこずえちゃんが一緒に五代君が住み込んでいるキャバレーを訪れます。こずえちゃんは昨日銀行の先輩にプロポーズされたことを相談に。響子さんは一刻館の住人に持たされた手土産を渋々持って行く(体の)ため。響子さんは理由無く会いに行くことすらしないんですね…。このスタンスは五代君に取っては本当大変と言うか、ここまで素直じゃ無いと、確かに五代君は響子さんを落とすのは大変だなと…。

 

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一方こずえちゃんは昨日プロポーズされたことを相談に行くのですが、この頃あまり会えず、五代君からもろくに連絡をしていなかったそうですが、よくそれで気持ちが持つなと。

 

鋭い飯岡さん

今回訪ねてきた響子さんに、飯岡さんはズバズバ物を言っていました。五代君のお弁当を作った人が響子さんであること、五代君の本命が響子さんであること、それが逆にプレッシャーになっていることなどを一瞬で見破っていました。鋭いです。めぞん一刻は朱美さんを筆頭に、水商売の人は鋭く、そして遠慮無くズバズバ物を言う人が多いです。高橋留美子さんの水商売の人を見る目なんでしょうかね。

 

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しかし何故この三角関係の緊張する場に飯岡さんは堂々とドカンそ座っていられるのか…。

 

騙される五代君

こずえちゃんと五代君は5年近く付き合っている(?)のですが、今回初めてキスをしました。キスすらしていないのに、五代君と付き合っている、自分のことを好きだと思っているこずえちゃんも特殊ですが…。単純なこずえちゃんの騙し討ちでキスをされてしまったのですが、この五代君の騙されやすさ、そして騙されてキスをされる流れは、そっくりそのまま次々回響子さんも同じことをやるので、その伏線でもありますね。

 

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また、このとき偶然響子さんがこの現場を目撃しており…。このときの五代君や響子さんの目が点になっている目の描き方や表情がなんとも言えず好きです。高橋留美子さんが描く人物の普通の表情も好きなのですが、このようにデフォルメされた漫画チックな表情も好きです。呆然とした心境、滑稽な状況がよく現れていると思います。実写では出来ない手法です。現実と全く同じに描く必要はありませんからね。デフォルメって大事です。

 

デフォルメ(名・他サ)〔フランス déformer〕
実際の形を、芸術的に変えて表現すること。変形。〔デフォルマシオン(フランス déformation)は、デフォルメの名詞形〕

三省堂国語辞典 第七版 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2014

 

この騙されやすさを見ると、物語が終わった後の五代君も苦労するんでしょうね。そして八神を思い出すと、八神は肉体関係を全く求めてこなかったと言うか、考えすらしていなかったので助かったのですが、八神がずるく迫っていたら、多分こうやって騙されていたんでしょうね。八神はストレートすぎて、騙すとかそういうレベルでは無く、下着でアタックのような剛速球でしたからね。変化球で五代君を攻めたらきっとこうやってキスくらいは騙し討ちで出来たのかなと。

 

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おわりに

めぞん一刻は今まで、ラブコメとは言えキスすらろくにしませんでした。朱美さん切っ掛けで、五代君と響子さんは事故によるキスをしたことが1回。この前の三鷹さんと明日菜さんの偶然のキスが1回。そして今回。

 

中学生の初恋物でも高校生の恋愛物でも無いのに、これって結構異質と言うか本来無理があります。もう五代君は25歳、響子さんは27歳、こずえちゃんは23歳(誕生日の関係で五代君とこずえちゃんは±1歳の可能性あり)ですよ。ところが彼らがキスすらしないことに不自然さが全く無く、なんの疑問も違和感も覚えずにこれまで読めてしまいました。この辺りも高橋留美子さんの上手い作風作り(コメディとラブコメの上手いバランスや世界観)、キャラ作り(五代君素人童貞、響子さんが惣一郎さんに操を立てている、こずえちゃんねんね、など)なんでしょうね。

 

しかし…それももう終わりです。五代君の目標は響子さんとの結婚ですから、人として当たり前のキス、抱きたいなんて欲求がここから出てきます。

 

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