漫画全話レビュー「めぞん一刻 第149話「ラブホテル事情」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1987年1月29日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1986年10月7日 五代裕作、こずえちゃんに電話をする
  • 1986年10月10日 一の瀬花江、響子さんを迎えに行く
  • 1986年10月11日 音無響子、 帰宅途中こずえちゃんからラブホテルの件を聞く

 

この頃の出来事
  • 1月1日 – 中国・北京の天安門広場で学生数百人がデモ。
  • 1月5日 – 日産自動車がパイクカーの「Be-1」を期間限定で発売。
  • 1月17日 – 日本初の女性エイズ患者を神戸市内で確認、同女性は確認3日後に死亡するも、100人以上の男性と性交渉していたことが明らかになり、同市を中心に「エイズ・パニック」が広がる。
  • 1月21日 – 『タイガーマスク』、『あしたのジョー』などで知られる、漫画原作者の梶原一騎が死去。
  • 1月27日 – 関西国際空港着工。

 

あらすじ

朱美さんとラブホテルから出てきたところをこずえちゃんに目撃された五代君。誤解を解こうとこずえちゃんに電話しますが話を聞いてもらえません。五代君はこずえちゃんと別れたと一の瀬さんに聞いた響子さんは、一刻館に帰ることを決意。しかしその帰路、こずえちゃんと偶然会ってしまい…。

 

 

みどころ

  • 響子さんとこずえちゃんの会話

 

はじめに

前回、こずえちゃんに朱美さんとラブホテルから出てきたところを偶然目撃され、完璧に振られた形の五代君。それを知った響子さんが、一刻館に帰ることを決意するも、途中でそのこずえちゃんに会ってしまい、またしても曲がった話を聞き、朱美さんの煽りもあってグチャグチャになる回です。こずえちゃんにさえ会うことが無ければここで解決だったんですけどね。めぞん一刻がそれを許してくれるわけも無く…。

 

良い人のまま別れたい

五代君は、昨晩朱美さんとラブホテルから出てきたところをこずえちゃんに見られてしまい、誤解されてしまったので、翌日すぐに職場の銀行へ電話をして誤解を解こうとするのですが、こずえちゃんは無言で電話を切ってしまい話を聞いてくれません。話を聞かない、誤解する、誤解したまま話が進むなんてのはめぞん一刻のお約束ですが、さすがにあの状況では話を聞くも何も無いのかも知れません。ラブホテルから出てきた瞬間を目撃ですからね…。

 

ここでは一の瀬さんと朱美さんが鋭いことを言っており、良い人のまま別れたいなんてムシが良い、どうせまた別れ話するんだろと。確かに五代君はこずえちゃんとは終始このスタンスで、自分が嫌われても別れたいとのところまでは行かなかったんですよね。また、ここで誤解を解いて仲直りをしてもまた別れ話をするわけで、これではこずえちゃんもわけがわからなくなってしまうでしょう。とは言え、嫌われたくない、良い人のまま綺麗に別れたいとの五代君の気持ちはわかります。ただ、ここで本当に一の瀬さんや朱美さんの言うとおり、このまま別れていたら、一生引っ掛かるくらい最悪の別れ方になってしまうわけで…。結果的に誤解を解き、そしてお互い納得して別れたのは良いことでした。

 

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そして、ここで重要な役割をしたのが二階堂でした。アニメでは二階堂の存在は無いので四谷さんになっていましたね。ここで五代君への恋愛アドバイスをしているのは、一刻館の女性陣、一の瀬さんと朱美さんと言うのもしっくりきます。基本的に真面目な恋愛話やアドバイスの場合、一刻館の女性陣である一の瀬さんと朱美さんが担当し、男性陣の四谷さんと二階堂は出てきません。と言うか、恋愛のアドバイスに四谷さんと二階堂がいたら変ですし、出来るわけ無いですし、アドバイスでは無くギャグになってしまいますからね。このようなところは適材適所で役割があり、役割が無いと思ったら、一切絡ませない思い切りの良さがあります。

 

言葉が足りない

経緯はどうあれ、こずえちゃんと別れた形になった五代君。そのことを知らせ、帰ってくるように説得に言った一の瀬さんですが、このとき茶化したり、誤解を誘発させる人がいないふたりきりの状況なので、思い切って事細かに経緯を説明すれば良かったんですけどね。それをせず、ただ五代君とこずえちゃんが別れたと知らせただめ、またしても響子さんは勝手に勘違いし、「私のことを話して別れたのかしら」と思い込んでしまいます。

 

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また、一刻館に帰宅途中、偶然こずえちゃんと会って喫茶店でラブホテルの件を聞くのですが、ここでもこずえちゃんの言葉や説明が足りず、響子さんが誤解をしてしまいます。何回も書いていますが、めぞん一刻の勘違い黄金パターンのひとつである、「お互い思っていることは違うのに、途中まで会話が成立してしまい、途中であれ?おかしいなと気付くパターン」ですね。

 

こずえちゃんはずっと朱美さんのことを指して話しているのに、たまたま会話中に朱美さんとの固有名詞が出なかったため、響子さんは自分のことだと思っていたのですが、最後の最後に朱美さんと言われたことにより、「え?」となってしまいました。このパターンは、少し前の「出たとこ勝負」での響子さんと律子さんの会話と全く同じパターンなのですが、今回はギャグ要素は無く、シリアスな勘違いとなってしまいました。

 

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めぞん一刻はこのようなめぞん一刻ならではの勘違いパターンがいくつかあります。パターンを確立させた強みで、いくつかのパターンから話の子細を少し変えたり、ギャグで落としたり、シリアスなまま終わらせたりと、応用することで、面白い会話の応酬、勘違いの様子を無数に描けるようになっています。

 

朱美さんは軽い

前回、どこかの誰かとラブホテルでよろしくやっていた朱美さんですが、今回響子さんの一刻館帰還を祝した前日の宴会で、五代君にブチュっとキスをしていました。勿論冗談で。五代君と朱美さんがキスをするのはこれで2回目です。

 

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思い返せば、五代君は高校2年の時に付き合った彼女と、歯と歯がぶつかるようなキスをしたと過去に語っています。五代君が女性と付き合ったのはこの時だけだと思うので、ファースとキスが高校の彼女、2番目が朱美さん、3番目が響子さんとなります。風俗のトルコ風呂に坂本と行った話はあったのですが、恐らく性風俗でキスは無いと思うので、作中の五代君のキスはこの3人で終わりだと思います。朱美さんの占める割合かなり高くないですかね…。キスだけで言うわけでは無いのですが、やはりこの五代君の数少ない女性遍歴に占める朱美さんの重要度を考えると、朱美さんの目もあったのかなあなんて思ってしまいます。

 

おわりに

今回、やっと響子さんが一刻館に帰る決意をしたのに、運悪くこずえちゃんに会ってしまったことで、一転風雲が立ちこめてしまいました。三鷹さんが退場し、こずえちゃんも半ば脱落し、あとは五代君とくっつくだけなんですけどね。

 

この辺りは次から次へと勘違いからの怒り、対立、和解と解決が襲ってきます。また、こずえちゃんは今まで暫くの間出てこなかったのですが、ここに来て急激に出番が増え、五代君と響子さんを引っ掻き回します。実はこのこずえちゃんのこの出番の急激な増加は、「こずえちゃんを退場させるため」でもあります。五代君と響子さんを引っ掻き回すことは勿論なのですが、以前にも書いているように、めぞん一刻の主要キャラにはほぼ全員に退場シーンが用意されているので、言ってみればろうそくが消えかける前に、最後の炎が激しく燃えるかのごとく、こずえちゃんが出まくるんです。さすがに暫く出ていなかったこずえちゃんを、2,3回出して退場ですではね…。要はこずえちゃん退場の前振りです。

 

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