目次
掲載情報
掲載雑誌
- ビックコミックスピリッツ 1984年4月15日号
アニメでは
- アニメ化なし
時系列とでき事
- 1984年3月 五代裕作、音無家へ泊まる
この頃のでき事
- 4月1日 - 三陸鉄道が開業(国鉄の特定地方交通線から第三セクターに転換した初の鉄道)。
- 4月1日 - 東京芝浦電気、東芝へ社名変更。
- 4月1日 - 西日本銀行(現:西日本シティ銀行)誕生(西日本相互銀行が高千穂相互銀行を吸収合併した上で、地方銀行に転換)。
- 4月4日 - フジテレビの時代劇『銭形平次』(主演:大川橋蔵)がこの日の放送をもって18年、888回の放送に終止符。
- 4月6日 - 初代銭形平次の名優、長谷川一夫が死去。
- 4月16日 - ダイハツ工業が「ラガー」を発売。
- 4月19日 - 長谷川一夫と植村直己に国民栄誉賞が贈られる。
- 4月22日 - イギリスがリビアと国交を断絶。
- 4月27日 - 福岡市地下鉄2号線(現・箱崎線)延長部(呉服町駅 - 馬出九大病院前駅間)が開業。
- 4月27日 - 読売新聞社(銀座)跡地にプランタン銀座が開業。
あらすじ
家庭教師をする郁子ちゃんが、無事本命の女子高に合格したので、そのお祝いに響子さんと音無家を訪れた五代君。そのまま音無家に泊まることになり、これは惣一郎さんの謎の顔を見るチャンスだと思い、夜中に悪戦苦闘するのですが…。
みどころ
- 五代君の悪戦苦闘
はじめに
ずっと偶然写真が破損していたり、汚れていたりして、惣一郎さんの顔は読者にとっても謎だったのですが、遂に惣一郎さんの顔が見られる!と期待に湧いた回でした。まあ結局お約束通りまたしても見られなかったんですけどね。
郁子ちゃんの女子高は響子さんの女子高とは違う
郁子ちゃんが第一志望の女子高に合格したお祝いで音無家へ行くのですが、この時の郁子ちゃんの制服を見ればわかるように(この画像ではわかりづらいですが)、郁子ちゃんの通う女子高は響子さんの母校であり、音無老人が理事を務めるあの女子高ではありません。てっきり響子さんと同じ女子高で、音無老人が理事を務める女子高に行くのかなと思ったら違うんですね。
一見制服は同じように見えるのですが、ネクタイ部分を見て頂ければわかるように、響子さんの通っていた桜ヶ丘女子高はリボンで、郁子ちゃんの合格した女子高は普通のネクタイになっています。
もしこの時、郁子ちゃんが桜ヶ丘女子高に通っていたら、八神との絡みも見られたんですよね。五代君を奪い合うような話を見たかったわけではなく、この2人が絡むと一体どう言う会話になるのか見てみたかったです。
郁子ちゃんは五代君が響子さんを好きなのはとっくに知っており、静かに応援している立場なので、そこに邪魔しに来る八神にはある程度敵対心を燃やし排除しに動くでしょうからね。
また、今回個人的に好きなポイントとして、五代君の白昼夢を見て不思議がる音無老人とお母さんに対し、郁子ちゃんが「時々こうなるのよ」と言っていたところがツボです。郁子ちゃんは五代君の白昼夢のことを知っており、こういうものなんだと理解していて、それでいてもう慣れてしまっているんですね。
惣一郎さんの顔
惣一郎さんの顔は今まで一切出てこず、読者も五代君もわからないままだったのですが、この「偶然写真が汚損して見られない」との「ネタ」はこの先「どうするんだろう?」、「ずっと続くのだろうか?」、「いつかは見られるんだろうか?」と、読みながらも疑問だったのですが、今回「惣一郎さんの顔」とのただ1点にスポットが当たった回ですら、結局いつもの通り見られなかったので、読者は「ああ、これはこういうお約束なんだな」とハッキリわかった回でした。
いつかは惣一郎さんの顔を出すつもりで引き延ばしているのか、それともずっと出さないつもりなのかわからなかったのですが、今回で読者にもハッキリ「これはお約束ですよ」と提示されました。なので、この話もアニメ化して欲しかったんですよね。惣一郎さんの写真が見られないのは、このめぞん一刻のお約束だってハッキリ作者が読者に示した回ですからね。
五代君の悪戦苦闘
このめぞん一刻は日常のなんでもない話をテーマにしている事が多く、今回もただ惣一郎さんの写真を見るとのなんでもない話だったのですが、その過程でホーム・アローンのような、またはピタゴラスイッチのような仕掛けで、五代君は惣一郎さんの写真を見られないところが非常に面白いです。高橋留美子さんはこういうところが凄いと思うんです。
目の前にある惣一郎さんの写真を見るだけなのに、暗くて見えない、電気は家人に気付かれるので不味い、マッチを付けようとしては折れる、マッチを探し台所に行って食器を落としそうになって汚したので洗う、そうしているうちに朝日が出てきたのでマッチが探しやすくなる、明るいならそのまま見られるじゃないか、音無老人起床、そして惣一郎さんの写真汚損。これだけの流れがたった5ページの間に収められ、そしてきちんと落ちる。流れるようなテンポが素晴らしいです。
総評
今回のハッキリと惣一郎さんの写真に焦点を当てた話ですら、いつも通り写真は汚損して見られなかったので、これはもう最後まで見られないんだなとわかった回でした。
正直なところ、惣一郎さんの顔は見てみたいとの気持ちはあるのですが、これは謎のままで良かったんだと思います。私はガッツリ五代君に感情移入して読んでいたので、ヒロインの響子さんはまさに私のヒロインでもありました。そのヒロインの元夫の顔を見たいのかどうか…。これは非常に複雑ですが、見たところでなにがどうなるわけでもないですからね。それに夢中でここまで読んでいれば、読者それぞれの中に、自分が思う惣一郎さん像ができているので、惣一郎さんってそれでいいんじゃないかなと思います。
また、顔がわからないとは言え、髪型が天然パーマであることや、顔のハッキリした輪郭まで、黒塗りとは言えわかるように描いてあるので、これだけでもだいぶ惣一郎さんの「顔の様」を絞れるんですよね。
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