目次
あらすじ
1987年01月14日放送。
五代君と響子さんが初めて本気の喧嘩をして、響子さんを庇った五代君が二階から落ちて骨折し、入院する話です。
やってはいけない改変がいくつも
実はこのアニメの話には、言いたいことが山ほどあります。
この回は、アニメオリジナルではないものの、内容的にそれに近い改変をしています。もっと具体的に言えば、響子さんの嫉妬深さ、ヒステリーを相当にカットしているのです。こずえちゃんのセーターに嫉妬しなかったり、「響子の」バッキャローの「響子の」をカットしたり。
これはやってはいけない改変でした。めぞん一刻はドタバタコメディではありますが、現実世界のお話で、みんな人間味のあるキャラクターです。うる星やつらやらんま1/2のように、SFでも現実離れした話でもありません。
そのようなめぞん一刻で、嫉妬しない女神のようなヒロインを作り出してしまうのは、本来の趣旨と違う気がするんですよね。まあこんなことを気にするのは、よっぽどのめぞん一刻中毒者だけなのでしょうけどね。
響子さんの人格が原作漫画と懸け離れていくターニングポイント
原作漫画の響子さんは、現実的な女性で、嫉妬もすれば激怒もするし、大声で喧嘩もするんです。ところが、アニメの響子さんは、嫉妬という面で言えば、原作漫画と差があります。嫉妬を表現するシーンが悉くアニメではカットされているんです。実はその響子さんの性格改変とも言うべき始まりがこの回なんです。
先にも書きましたが、こずえちゃんのセーターに嫉妬しないんです。これは響子さんの嫉妬深い本来のキャラを表現し、今後響子さんという人間味溢れる女性を積み重ねていくために、本来重要な第一歩なんですけどね。
亡き者にされた晶
アニメでは原作漫画の第68話の「宴会謝絶」の後半と、第69話の「駆け落ちクラッカー」が完全にカットされています。と言うことは、つまり五代君の親戚、晶がいなかったことになっているのです。
確かにストーリー上カットしても問題ないんですけどね。後にも先にもこの話にしか出てきませんからね。しかし、これも響子さんの嫉妬深い性格を表現する、わかりやすいエピソードだったので残念です。
実際問題適度な嫉妬をする女性は可愛いんですよね。響子さんの嫉妬も可愛かったり面白かったりして、話のエッセンスになっていたのですが、この回を機にそれがほとんどカットされてしまいます。
初めての大喧嘩
この回では、原作漫画だと五代君と響子さんが、初めて大喧嘩をするのですが、それがアニメでは、ほとんど喧嘩らしい喧嘩になっていません。
こずえちゃんのセーターに関する嫉妬がないのに、突然五代君が空に向かって「バッキャロー」ですからね。意味が分かりません。しかも、「響子の」がないので、誰に言っているのか分からず、それを聞いた響子さんも自分に言われたとは断定できませんから、大喧嘩どころか、碌に言い合いにもならず、微妙な空気になるだけのなんとも言えないエピソードとなってしまいました。
また、喧嘩も碌にしていないのだから、響子さんも落ちそうになったら、五代君を呼べば良いだけなのですが、そこで五代君を呼ばず、意地を張る理由が希薄になってしまっていました。
作画がおかしい?
今回の作画はどうもなにか微妙におかしかったですね。顔が崩れていて表情も豊かではなく、あまり変化がない感じでした。
好意なのか義務感なのか
三鷹さんが五代君の病室に訪ねてきたときに、三鷹さん曰く、響子さんは義務感、責任感で看病しているだけだと言っていましたが、確かにこの辺りの話では、響子さんは義務感なのか好意なのか、微妙なラインを行ったり来たりしている感じです。
こずえちゃんはすぐに登場
この入院では、原作漫画だと五代君はこずえちゃんにわざと入院していることを知らせず、思う存分響子さんに看病して貰おうという魂胆だったのですが、のちに同じ病室に入院してくる三鷹さんの策略で、こずえちゃんに知られてしまい、五代君の入院を知ったこずえちゃんが駆けつけるという流れでした。しかし、アニメでは、いきなり最初からこずえちゃんが登場して五代君の看病をしています。
突然こずえちゃんが来たときの五代君の戸惑い、響子さんの嫉妬、三鷹さんのしてやったりなどが面白い要素の一つだったのですが、この面白さも削られてしまい残念です。
三鷹さん、そこまでするなら…
三鷹さんは、五代君と響子さんになにか進展があり、急接近していると感じ、なんとわざとスキーで骨折して、五代君と同じ病院の同じ病室を指定して入院してきます。
三鷹さん…。そこまでするなら素直に一刻館の三号室に引っ越した方が良いのでは…。
原作漫画では
3話を詰め込むには無理がある
今回見て改めて感じましたが、アニメの1話に原作漫画3話詰め込むのは無理がありますね。これでも晶のエピソードはばっさりカットしているんですけどね。
めぞん一刻の原作漫画は、会話がポンポン軽妙に飛び出るので、1話の密度が濃く、読み応えがあるんです。そんな漫画ですから、それを3話詰め込むのなんて厳しいですよね。なのに、なぜか今回もアニメオリジナルの話をちょくちょく入れてきました。そりゃ苦しくなるわけです。
ちなみに、念のために書いておくと、アニメのめぞん一刻も大大大好きです。大好きな漫画がアニメになって色が付いて動くわけですし、声優はばっちり合っていますしね。両方好きだからこそ比較もしちゃいますし、別にこの比較も口角泡を飛ばして書いているわけではないので、大目に見て下さると有り難いです。
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