今回レビューするのは、めぞん一刻の第2話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
響子さんに恋人がいるのかどうか気になる五代君。朱美さんに男がいると聞き、知っていそうな賢太郎に聞き出そうとするも、なんと惣一郎さんとは犬のことでした。その後、響子さんが管理人に就任して初めてのクリスマスパーティーを茶々丸で開催。五代君はなんとか響子さんにプレゼントを渡そうとするのですが、ことあるごとに邪魔が入ってしまい…。
みどころ
- 五代君のゲスさ
- 響子さんが管理人に就任して最初のクリスマスパーティー
- 大人と子供では同じ言動でも意味が変わる不思議さ
初登場人物
- 茶々丸のマスター
感想
ドタバタコメディ開始
前回の第1話は主要登場人物の顔見せや世界観の紹介だったため、ストーリーは本格的にここから開始です。既に住人の関係は全て説明済みという、実に効率的な第1話だったので、ここからはなんの説明もなく話しが進められます。
漫画だと第1話は22ページほどなのですが、そこで住人の一の瀬さん、一の瀬さんの息子の賢太郎、四谷さん、五代君、朱美さん、そして響子さんと犬の惣一郎さんの6人と1匹を紹介済みで、なおかつ関係性も性格も全て読者に提示しているという効率の良さには驚きます。
五代君の白昼夢が初期は多い
今回、五代君が都合の良い妄想をし、壁や電柱にぶつかる白昼夢が最初にありました。これはほぼ初期の五代君しかやらない笑いのネタです。後半はラブコメからラブストリーへ変化するので、白昼夢ネタがほぼなくなりました。
白昼夢で壁や電柱にぶつかるネタはこの後も頻繁に出てくるのですが、これが結構ストーリーに絡んで来るところもユニークです。ただ五代君の抜けている様を表すだけではありません。
惣一郎さんはバカ犬である
賢太郎が一生懸命惣一郎にお手を促していましたが、響子さんはそのような訓練やしつけは一切してないと言っていました。惣一郎さんの生態が徐々に分かってきます。そんなバカ犬を何故さん付けして呼ぶのか、大事にするのか。惣一郎さんになにかあるのではないかと視聴者は勘ぐり始める切っ掛けになります。
惣一郎さんは四谷さんにシロ。一の瀬さんにコウタロウ。朱美さんにミケ。どんな名前で呼ばれても反応しており、バカ犬が更に強調されています。響子さんはそんな惣一郎さんに、「あなたの名前は惣一郎でしょ!」と怒っていました。その後屋根の修理中にも「惣一郎さん、私の気持ちを察して欲しいわ」と言ったり、ところどころ、名前に拘りがあることや、惣一郎さんとの名前がただのおかしな名前というわけではないことが仄めかされています。
四谷さんは何者なのか
惣一郎の名前のシーンでは四谷さんが仕事に言っただの帰ってきただの言われていました。一の瀬さんも「一体なんの仕事してるんだろうねえ」と言っていたとおり、住人も誰も仕事のことを知りません。
四谷さんの職業や年齢など、パーソナルデータは全く分からず、そのままめぞん一刻は終わってしまうので、めぞん一刻ファンの間でも何者なのか冗談で議論になることがあります。
四谷さんの出自は同作者が1年前に描いた『ダストスパート』の『背古井唯安』なる人物です。作者自身も背古井唯安を思い出して描いたことは認めています。だからと言って四谷さん=背古井唯安ではありませんが、四谷さんがそうだったらなんて考えると面白いですよね。
背古井唯安(HCIA)は日の丸シーアイエーと言う諜報機関のエージェントです。四谷さんがふらっと一刻館から出て行ったとき、実は諜報活動をしていたと考えると面白さが増すかもしれません。顔も格好(背広)も喋り方も全く同じです。
初期の五代君は結構ゲス
朱美さんが前の管理人はなにもしてくれなかったと愚痴を言い、響子さんが雨漏りが酷い屋根を直すのですが、思わずうたた寝してしまい、落ちそうになる響子さんを助けようとする五代君。ここまでは五代君良い人なのですが、その後偶然抱きつく格好になったのを良いことに、響子さんの胸を触ってしまいビンタされます。
現実だと結構致命的で取り返しが付かないほどの好感度ダウンです。この後も初期の五代君は暗闇に乗じて響子さんを押し倒そうとしたりしますし、結構ゲスな部分が見え隠れします。
一刻館住人は集りのプロ
屋根で修理中の響子さんに向かい、「好きやで~」と言う五代君。これを見ていた朱美さんは、それを秘密にする代わりにカップラーメンをただで貰います。四谷さんと朱美さんはこんな感じで、五代君の弱みにつけ込んでことあるごとに食料を集っています。簡単に弱みを見せてしまう、弱みがバレてしまう五代君。そこにつけ込む住人たちの構図もめぞん一刻です。
このとき、五代君は19歳で朱美さんは24歳です。しかも、セクシーな格好でその辺をうろちょろしており、見た目も悪くないのに、五代君は朱美さんに好意はなかったのでしょうか。あまりにもオモチャにされからかわれたりしているため、恋愛対象としては見られない状態だったのか…。女性としては十分見ていたんですよね。四谷さんと一緒に覗いたりしていましたし、スケスケのネグリジェに狼狽したり。まあ、それは性欲であって恋愛ではないのでしょう。
しかし、一刻館のプライベートのないことには驚きます。一応各部屋に鍵はあるのですが、五代君の部屋は何故かいつも鍵をかけておらず、四谷さんも朱美さんも、果ては響子さんまでノックすらせずに入ってきます。このあと出てきますが、響子さんの部屋もほぼフリー状態で、一の瀬さんなんかノックもせずズカズカ入って来ます。
一刻館に済んだらニートや引き籠もりにはならないのでしょうね。一刻館に居たところで引き籠もれないのですから。ただ、一刻館の住人は仲が良すぎるので、その輪に入れなかったら厳しい気がします。求人の『アットホームな会社です!』みたいな。その輪の中には入れれば楽しいのでしょうが、どうしでも合う合わないがありますからね。この楽しい物語の中に入ってみたいなと妄想することはありますが、私は多分馴染めません。
惣一郎さんに関する誤解
第1話であった、四谷さんと五代君の会話のすれ違いに続き、ここも会話のすれ違いがありました。今回は厳密に言うと、情報を知っている者と知らない者の間での誤解です。誤解はめぞん一刻の面白さの肝なのですが、この誤解をこの細分化するとこの手の誤解もめぞん一刻は多いです。
今回は犬の名前である惣一郎さんを知っている者(五代君以外)と知らない者(五代君)の差です。実はこの時点で、犬の惣一郎さんの名前は五代君以外、一刻館住人は全員知っています。知らない五代君だけが賢太郎の罠に引っ掛かってしまいます。
賢太郎に惣一郎さんについて教えてもらおうとする五代君。賄賂として賢太郎に朱美さんや四谷さんが求めてくる賄賂と同じく、カップラーメンを渡すのですが取り合って貰えず、賢太郎が要求してきたのは現金500円でした。賢太郎が大人びていて現実主義者だということも、こんな小さなやりとりから見て取れます。こうやってキャラの性格ができ上がっていくんですね。
逆に、大人の四谷さんや朱美さんがいかに子供じみているのか、大人げないのかもわかります。ちなみに、このとき賢太郎は9歳の小学校4年生。小4に500円は結構大金ですよね。
賢太郎に惣一郎さんは犬の名前だと教えて貰ったのですが、その後響子さんは惣一郎さんに向かって「あなたは私の大事な人の名前を付けたのだから…」と独り言。五代君と同じく、視聴者も大した意味はないのかなあと思った矢先、やっぱり惣一郎さんの名前は恋人などから取っているのかとここでわかります。
クリスマスプレゼントを渡せない五代君
Bパートに移ると漫画の3話クリスマスパーティーの話になります。響子さんに渡すために買ったブローチを響子さんに渡そうとするのですが、その度にタイミングが合わなかったり、賢太郎に先を越されたり…。五代君の優柔不断さが良く現れています。
賢太郎との対比は面白いです。子供の賢太郎はなんの裏の意図もないので、素直に好きな管理人さんにクリスマスプレゼントを渡します。管理人さんが好きだともストレートに言えます。何故ならそこにそれ以上の意図もないですし、その後相手になにかを求めるわけでもないからです。
一方、大人の五代君は、1つ1つの行動に意味があり、好きと言えば男女の関係を望んでいることになり言えません。同じ言葉で同じ気持ちで同じ行動なのに、子供の賢太郎はできるのですが、大人の五代君はできない。子供のときに言えてたことが、大人になると意味が変わる、または重くなって素直に言えないことってあるんですよね。
スナック茶々丸初登場
今回、初めて一刻館の次に重要な場所となるスナック茶々丸が登場。同時にめぞん一刻の良心であるマスターも登場。そして、そこで朱美さんが働いていることも判明。
ここではまたまた会話の妙があります。席の並びは商店街のおっちゃん、響子さん、四谷さん、五代君。五代君は四谷さんに席を替わろうと言うのですが、当然四谷さんは1度目は拒否。しかし、その後商店街のオッチャンが響子さんに絡んでいるところを見て、話を変えて今度は席の並びを商店街のオッチャン、四谷さん、響子さん、五代君に変更。五代君の交渉術が功を奏しました。
最初の「四谷さん席を代わって下さい」との要求と、2度目の「四谷さん席を代わって下さい」の要求は言葉は全く同じです。しかし、言葉は全く同じなのですが、その内容がガラッと変わる面白さ。このような『同じ言葉なのに意味が変わる』こともめぞん一刻でたまに出てきます。響子さんの母親・律子さんが出てきたときに一の瀬さんが言う「納得しました」や、八神が言う「弱虫」。1度目と2度目で意味が変わるんです。これもその回になったら詳しく触れたいと思います。
クリスマスプレゼント渡せず
響子さんは真面目で、一刻館をいつまでも空けておけないとの理由で午後9時に帰宅。五代君も2人きりになってプレゼントを渡すチャンスだと思い、思ってもいないであろう、「帰って勉強しなきゃ」と回りに言い訳をして一緒に帰宅…なのですが、おねむになった賢太郎も一緒に連れて帰ることに…。9歳ですからね。昔は夜9時と言ったら子供は寝る時間でした。
そんな五代君にチャンス到来。間違って五代君の部屋に入って来た朱美さんが、五代君の部屋を占領してしまったため、今夜は響子さんの部屋に避難することになります。夜中3時に女性の部屋に入るイベントが発生。同じアパート…と言っても、こんな特殊な環境でなければあり得ない状況ですが、このようなイベントは別に住んでいる三鷹さんには絶対起こりません。これだけでも五代君は物凄いアドバンテージです。連載中、読者はいつか三号室に三鷹さんが入ると思っていたそうです。
一刻館の部屋は和室にキッチンも付いているワンルームです。これを見る度に、油飛びとかキッチン汚れが凄そうだなと思ってしまいます。油汚れって結構遠くまで飛んで色んな所がべた付きますからね。臭いも部屋に充満するわけで…。
結局五代君は、響子さんの部屋でプレゼントを渡そうとするも、賢太郎がトレイと間違って管理人室に入ってきてタイミングを逸して失敗。最後は「明日こそこれを…」と渡す決意をするのですが、ご存じの通りそれは敵わず。なんとこのブローチは来年のクリスマスに持ち越して話が続きます。
めぞん一刻の登場人物は数字にゆかりがある
非常に今更で、めぞん一刻好きには常識なのですが、当然新規ファンはいると思うので、一応ここでめぞん一刻の登場人物の名前の法則に付いて解説しておきます。小見出しの通り、主要登場人物は姓のどこかに数字が入っています。以下列挙していきます。
- 音無(千草)響子(管理人室(0号室))
- 音無惣一郎
- 音無郁子
- 一の瀬花江(1号室)
- 一の瀬賢太郎(1号室)
- 一の瀬氏(一の瀬花江の夫)(1号室)
- 二階堂望(アニメでは登場せず)(2号室)
- 三鷹瞬
- 三越さん(アニオリキャラ)(数話だけ3号室)
- 四谷さん(4号室)
- 五代裕作(5号室)
- 五代ゆかり(五代君のお婆ちゃん)
- 六本木朱美(6号室)
- 七緒こずえ
- 八神いぶき
- 九条明日菜
- 千草律子(響子さんの母親)
- 千草氏(響子さんの父)
全てに数字が入っていますよね。音無の無は0です。旧姓千草は1000です。それ以外はきちんと1から順に9まであります。そんなわけで、前述したように、見ている最中、読者はいついか三号室に三鷹さんが入り、五代君と火花バチバチするのかなあなんて思っていました。
原作漫画では
総評
今回は漫画の2話と3話ですが、単純にそこをアニメ化したわけではなく少しミックスされています。例えば屋根の上でクリスマスプレゼントを渡してしまおうか悩んだり。屋根修理の話と、クリスマスの話は完全に別個で独立していたのですが、アニメでは混ざっています。アニメではこのように、話を混ぜてしまうことが多々あります。
今回から本格的にめぞん一刻の世界が動き始めました。これまでも書いているように、世界観やキャラがしっかりしており、現実的な舞台とキャラなので、あとはこの装置を動かすだけでどんどん話が面白く転がっていきます。勿論、高橋留美子さんだからこそではありますが、まるで本当に一刻館がどこかにあり、そこで登場人物たちが動いているようです。
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