ジョジョの冒険第二幕「ジョジョの奇妙な冒険 Part2 戦闘潮流/荒木飛呂彦」レビュー 評価はまだありません

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長所と短所

  • ○少年漫画の王道ストーリー
  • ○頭脳戦

 

はじめに

第一部のカラーが読みやすくて感激したので続いて第二部も読破。今回も今更なのですが折角なので感想を書いておきます。

 

今回は第一部が全5巻だったのに対して第二部は全7巻。若干第一部より長いです。そしてこの第二部の主人公ジョナサン・ジョースターは、第二部、第三部、第四部と三作連続で登場します。前の主人公が次の物語で脇役として出るパターンは、今でこそよくあるのですが、当時は中々無かった、もしくは自分が経験していなかったので新鮮で驚いた記憶があります。

 

あらすじ

Part1『ファントムブラッド』から50年後、1938年のニューヨークから物語は始まる。Part1の主人公ジョナサン・ジョースターの孫である、ジョセフ・ジョースター(通称「ジョジョ」)が新たな主人公となる。

 

かつてジョナサンと共に吸血鬼ディオ・ブランドーに立ち向かったロバート・E・O・スピードワゴンとストレイツォは、メキシコで石仮面と共に謎の生物「柱の男」を発見する。石仮面の作り出した吸血鬼以上に強力な生命体である「柱の男」の存在にスピードワゴンは戦慄するが、彼の横でストレイツォはディオとの戦いを通じて吸血鬼の力への憧れを持つに至ったことを打ち明けると、自分に石仮面を用いて吸血鬼化する。その際、スピードワゴンは殺害されたという情報が、ジョセフとその祖母にしてジョナサンの妻であるエリナ・ジョースターに伝えられる。

 

ジョセフの素質を危険視したストレイツォは、ジョセフを追ってアメリカに現れる。ストレイツォを生まれつきの波紋呼吸法と戦略で撃退したジョセフは、スピードワゴンの消息を追ってメキシコに向かうが、彼と「柱の男」はルドル・フォン・シュトロハイム率いるナチス・ドイツの部隊によって身柄を確保されていた。シュトロハイムによってサンタナと名付けられた「柱の男」は、覚醒してまもなく高い知能と戦闘能力を一同に見せつけ、基地を壊滅させる。波紋を用いて対抗できる唯一の存在であるジョセフも、シュトロハイムの自爆にすら耐えきったサンタナを太陽に曝し、石化させるのがやっとだった。

 

サンタナとの戦闘後、ローマにも3体の「柱の男」がいることが判明する。ジョセフとスピードワゴンはローマへ飛び、かつてジョナサンに波紋を教えたウィル・A・ツェペリの孫にあたるシーザー・A・ツェペリと合流する。シーザーは修行を積んでいたためにジョセフ以上の波紋戦士としての実力を有していたが、ローマで復活したワムウ、エシディシ、カーズらはサンタナ以上の実力者で、シーザーでも歯が立たなかった。ジョセフは巧みな戦略でシーザーとスピードワゴンからワムウたちを引き離し、さらに彼の性格を利用して「時間があればもっと強くなれる」とハッタリをかけることで生き延びるが、その際に逃げられないようにとエシディシとワムウから「死の結婚指輪」という時間制限付きの毒薬を埋め込まれる。

 

頭脳戦が本格的に開始

ジョジョの奇妙な冒険と言えば、限定能力同士による頭を使ったバトルが特徴なのですが、その礎がこのパートで確立したと思います。第一部も頭脳戦の片鱗は見せた物の、全5巻でディオとの戦いが始まるのはおおよそ3巻からで描く時間が短く、また頭脳戦そのものも洗練されていなかったのですが、この第二部からは頭脳戦…と言うか『ずる賢く勝つ』ことがメインの位置付けになりました。

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柱の男は超人的な能力を持っていて、何百年、何千年と生きているので知能も高く、ただの人間であるジョジョとの能力差は歴然です。そこでどうするのかと言えば、ずる賢く敵の裏を掻いた戦い方でジョジョがその差を埋めるんです。これがこの第二部の頭脳戦の基本線になっています。個人的には第三部から始まるスタンドによる頭脳戦の方がより洗練されていて好きなのですが、この第二部も圧倒的不利な状況を波紋という能力一点突破で挑む頭脳戦のスタイルは好きです。

 

絵柄は相変わらず北斗の拳

絵柄は第一部に続き相変わらず北斗の拳ですね。筋骨隆々の男たちばかりです。これは基本的に第三部まで続きます。突然第四部から中性的なキャラになり、ファッションもゲイっぽくなるんですけどね。

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ストレイツォ裏切る

第一部では味方だったストレイツォが今回は冒頭で裏切りました。そこから石仮面の謎、柱の男の話になっていくのですが、第一部では、石仮面はただ人知を超えた謎で、都合良く吸血気になる道具との位置付けだったのですが、この第二部では石仮面の謎が完全に明かされます。こういう物はただ『人知を越えた謎です』でもアリと言えばアリなんですけどね。きちんと最初からここまでの話や構成を考えていたんですね。

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思えばストレイツォは第一部では影が薄く見せ場もあまり無かったのですが、このために出したキャラだったんですねえ。こういった考えられた伏線と回収は大好きです。

 

ジャンプは人気が無ければ容赦なく打ち切ることは有名な話なので、下手をしたら第二部をやり切れなかった可能性もあったわけで…。その辺のジャンプとの契約というか連載期間はどうなっていたのでしょうね。実際、私が小学生の頃ジャンプでジョジョを読んでいたとき、周りで話題になることはほとんどなく、不人気のバロメーターである掲載順も常に最後尾でした。これはジャンプ編集部が第二部終了までは確約して我慢したってことなのでしょうかね。だとしたら英断ですね。なにせ今現在も続く日本を代表する誰でも知っているタイトルにまで成長したのですから。

 

ナチスドイツ

この第二部の時代は1938年。第二次世界大戦が翌年に勃発。ナチスドイツが台頭していた頃で、思い切りそのナチスドイツを登場させていました。そう、あの良いキャラのシュトロンハイムです。ナチスドイツはその性格上、悪者として描かれる場合が多いのですが、このジョジョではナチスの将校シュトロンハイムが味方として活躍。まあ共通の敵である柱の男がいたからこその共闘関係だっただけではありますが、これもちょっと珍しいですね。

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柱の男

今回の話は石仮面の謎、そして石仮面を作った柱の男との戦いがメインとなるのですが、この辺りの謎をきちんと解明したのは良かったのです。柱の男も何者でどこから来て何故そうなったのかも描かれていました。全7巻で第一部の石仮面の謎、柱の男の謎、柱の男との戦いを全て収めているので、非常にコンパクトで密度が高く展開がスピーディでだれることがありません。長ければ良いってものではないお手本みたいなパートですね。今ならこの話の内容だと軽く15巻くらいは行きそうです。

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この柱の男のキャラも一番格下のサンタナから始まり、ワムウ、エシディシ、カーズと言う流れを見るとドラゴンボールのサイヤ人編に似ていますね。最初に雑魚のラディッツが来て、その後強いナッパとベジータが来る。ラディッツが雑魚だと分かるくだりや驚きなんかの展開も、このサンタナからエシディシ、ワムウ、カーズへと戦っていく柱の男と被ります。

 

ジョジョのキャラ

第一部の主人公、ジョナサン・ジョースターはイギリス紳士であり高潔で真面目なキャラだったのですが、今回の第二部の主人公である孫のジョセフ・ジョースターは、不利となれば逃げますし、すぐにふざけますし、相手を騙すことが得意ですし、表向き紳士とは真逆の性格でした。同じ血筋でありながら、ここまで真逆の性格にガラッと変わるのは面白いですね。

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少年漫画の王道満載

この第二部は実に少年漫画です。少年漫画の王道がこれでもかってくらい詰め込まれています。

 

普段はふざけた態度を取る物のいざとなると頼りになる主人公。修行で強くなる過程を描く熱い展開。圧倒的な力の差を持つ敵を知恵と勇気で次々と倒していくバトル。一人一人敵を弱い順に倒していきラスボスへと繋がるストーリー性。一緒に戦う個性豊かな仲間と師匠、そしてその秘められた過去。思いつく限りの少年漫画の王道ストーリーを詰め込んでいる感じです。言うのは簡単ですがこれを無理なくストーリーの中に組み込むのは中々難しいと思うのですが、それを7巻で全てやりきりました。

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少年漫画のお手本のようなストーリー展開とキャラで、少年漫画とはなんぞやと言われたら、これを紹介すれば問題無いってくらいテンプレに当てはまっている気がします。

 

総評

このパートは少年漫画の王道であり、それでいて誰にでも理解できる程度の頭脳戦もあり非常にバランスの良いパートです。細かいところを見ると、まだまだこの辺りの頭脳戦は大雑把なところがあるのですが、連載当時の少年ジャンプは完全に少年向けだったのでこのくらいでちょうど良かったのかも知れませんね。小学生が読んでも十分理解できる程度の『ずる賢さ』がメインで、第三部以降のルールや盲点を突いた細かい頭脳戦ではありません。第三部のスタンド登場から一気に頭脳戦の要素が強くなった感じがあり、個人的には第二部までと第三部以降は、スタンド要素を省いてもまるで別物の漫画だと思っています。

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こんな人にお勧め

  • 少年漫画の王道を読みたい人
  • 頭脳戦を読みたい人

 

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