ギャグ色が強い大人×子供「ヒナまつり/大武政夫」(第1~10巻)レビュー 評価はまだありません

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あらすじ

芦川組の若手ホープ・新田の部屋に落ちてきた奇妙な楕円形の物体。それが全ての始まりだった!物体のなかに居たのは、無表情な少女・ヒナ。強力な念動力で新田を脅し、ヒナは新田家に住みつくことに。かくしてヤクザとサイキック少女の危険な共同生活が始まった!

 

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長所と短所

  • ○ストーリー性がある
  • ○笑える
  • ○脇役が魅力的
  • ○脇役だけの話が面白い
  • ○続きが気になる
  • △萌え要素はほぼ無い
  • ×絵は上手くない

 

はじめに

つい最近『銀のニーナ』を読んで中々面白かったので、同じような系統として各所で名前が挙がっているこの『ヒナまつり』を読んでみました。銀のニーナの名前を出したことでも分かるように、これも大人×子供のハートフルコメディです。…と言うかコメディよりギャグに近いですね。

 

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このような大人×子供の組み合わせで、『無邪気な子供に振り回される大人』と言うジャンルはある程度確立されていますが、その同じ系統の『よつばと!』、『ばらかもん』、『銀のニーナ』などと比較しながら感想を書いていきたいと思います。

 

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ヤクザ×謎の超能力少女

このヒナまつりの話をざっくりと説明すると、ある日突然主人公・新田(ヤクザの若手)の部屋に、楕円形の物体が現れ、その中に謎の超能力少女・ヒナ(13歳・中1)がおり、そこから奇妙な共同生活が始まる…との物です。

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基本的な関係性としては、前述もしたようなよつばと!、ばらかもん、銀のニーナと同じく、父(保護者)と子の関係です。しかし設定からも分かるように、ヒナは謎の物体の中にいた謎の人であり、それでいて超能力(主に念動力)を使えるので、そこはいわゆる日常系とは一線を画します。

 

ヒナの超能力に頭を抱える新田だったり、ヒナの超能力を利用して組の中で信頼を得ていく新田だったり、基本的に『ヒナに振り回される新田』を中心に話が進んでいきます。また、ヒナを追ってくる者も新たな登場人物として出たりと、一般的な大人×子供のハートフルコメディとは違い、確実に話が進んでいき、そこにはストーリーが明確に存在します。

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萌え系でも日常系でもない

大人×子供との触れ合い漫画の場合、どうしても子供の方に萌え要素が入ってしまうのですが、このヒナまつりはそういった漫画ではありません。勿論、そう見ようと思えば見られるのですが、その成分は極めて少ないです。ヒロインのヒナの性別が男の子でも成立してしまうような話やシチュエーションが多く、一応ヒロインという立ち位置上、性別は女の子になっているだけと言った感じです。

 

萌え要素で言えば、銀のニーナ>ばらかもん>よつばと!>ヒナまつりの順だと思います。主人公のヒナは中1なのですが、4,5歳のよつばと同じくらい女の子を感じません。

 

絵は上手くない

最初の1巻を読んだとき正直絵が好みではありませんでした…。お世辞にも絵が上手いとは言えないと思います。漫画の絵柄はその漫画が面白ければ、読んでいるうちにどんな癖のある絵柄でも見慣れてくるものです。例えば『賭博黙示録 カイジ』なんてそうですよね。内容を知らない人にあの絵を見せたら、とてもじゃないですが面白い漫画であるなんて信じて貰えないでしょう。ところが1度読み始めて面白ければ、その癖のある絵柄ですら『作風に合った味のある絵だな』となってしまいます。なので、このヒナまつり程度の微妙な絵はすぐに慣れてしまいました。

 

ヒナまつりはコメディよりもギャグに近い笑いが多くあるのでその作風にも合っていて、上手すぎない絵が逆に笑いのあるシーンとマッチしていると思えてきます。

 

笑いの要素が強い

前述もしましたが、コメディと言うよりは若干ギャグ寄りに近い作風だと思います。大人×子供のハートフルコメディだと、よつばと!然り、ばらかもん然り、銀のニーナ然り、私が見てきた漫画では癒やしに比重を多く割いているように思います。ところがこのヒナまつりはこれらとは違い、超能力を持つヒナに振り回される主人公・新田、そして困り果てる新田の気持ちなど知らずに好き勝手するヒナを笑いの軸とするギャグ漫画に近い作風です。

 

ヒナまつりのような笑いの色が強い漫画でも勿論ほっこりする癒やされる話はあって、それまでは新田のことを気に掛けていなかったヒナが、困っている新田に悪いと思い気を遣う話なんかもあります。このような話はギャグの色が強ければ強いほどそれまでの落差で良い話に見えてしまいます。振り幅ってやつですね。こち葛でたまに少年時代の良い話を入れてくると、余計に良い話に見えてしまうあの現象です。

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この辺りのヒナが暴れて面白い話とほっこりする話のバランスが良い感じなんです。ただヒナが身勝手に新田を振り回しているわけではなく、元来た世界で人間らしい感情を育めなかったヒナが、新田と一緒に生活をしているうちに徐々に人間らしくなっていく様だと言うことが分かります。この部分って実は他3作品と真逆なんですよね。他3作品は、大人が子供に癒やされて変わっていく様子が描かれているのですが、このヒナまつりは子供のヒナが大人の新田と触れ合い変わっていくんです。とは言っても、新田も父性に目覚めたりと他3作品と同じく、子供によって変わっていきますし、肝心のヒナが変わると言ってもどこか人間味の無い根本部分は変わりません。

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続きが気になる

ヒナまつりは前述もしたようにストーリーがあり、なおかつヒナの正体と言うしっかりとした縦軸の話が1本通っているので、読んでいて先が気になる漫画でもあります。これまで挙げてきた他の大人×子供のハートフルコメディの場合、基本的に1話完結であり、そうではない場合も『先が気になる』ような作りになっていないのですが、このヒナまつりはヒナを追ってくる者がいたりとストーリーの先も気になってしまいます。読んでいてワクワクすると言う点では、これまで挙げてきた他作品より上だと思います。

 

脇役が個性的で魅力的

同じ系統の漫画として他に3作品を挙げてきましたが、これらと最も違う点は脇役のキャラの濃さかも知れません。

 

よつばと!はよつばが完全に主人公で中心なので脇役は本当の意味での脇役であり、綾瀬3姉妹も良いキャラなのですがよつばを食うほどではありません。銀のニーナはニーナの可愛さが最も魅力なので、こちらも脇役がニーナを食うことはありません。ばらかもんはこのヒナまつりに少し似ていて、村人などの脇役が沢山出てきてキャラも個性的なのですが、やはりなるや半田先生を食うところまではいきません。ところがこのヒナまつりは脇役が豊富で、かつ非常にユニークで濃いので、脇役だけでも話が成り立ってしまうんです。脇役だけで1話使うことをするのは、これまで挙げた4作品の中でこのヒナまつりとばらかもんだけです。ばらかもんは脇役だけの1話があるとしてもあくまで例外としてなのですが、このヒナまつりは脇役だけの1話が定期的にあり、それでいて全く違和感がありません。

 

いくつか例を挙げると、同級生の三島瞳。三嶋は優等生でヒナの世話係のような立ち位置になし崩し的になってしまうのですが、ヒナに巻き込まれているうちに何故かバー『リトル・ソング』の最年少の13歳のバーテンダーに収まってしまいます。優等生でなんでも真面目にそつなくこなす三嶋は、そこで色々な人と出会い、頼まれた他の仕事もこしていくうちに、各業界の社長や政治家、ヤクザともコネができ、中学を卒業する頃には会社を立ち上げてしまいます。しかしこのことは同級生や家族には秘密にしていて、偶然バーに訪ねてくる担任教師、不審な行動を取る三嶋を訝しく思い尾行する同級生などとコミカルな話が展開していきます。

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また、ヒナをどこかから追ってきた同じ能力者のアンズ。アンズはヒナに敗れて元の場所へ帰ろうとするのですが、そのために必要な『玉』の故障で帰れなくなってしまいます。身寄りも知り合いもいないアンズはここからホームレス生活が始まり、同じホームレス仲間と必死で生きていく様、ホームレスから抜け出して中華料理屋の夫婦に引き取られて生活していく様など、前述もした三嶋同様、アンズが主役の話が散発的に何話もあります。正直、13歳の女の子がホームレスに身をやつす姿は可哀想で見ているのが辛かったのですが…。

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役割分担としては、我が儘娘が父親を振り回すもまんざらではない父親と言うメインパートがヒナと新田。完璧超人独特の滑稽さをコメディチックに描いているのが三島瞳パート。生活に苦労しまくるものの健気な娘とのパートがアンズ。このような役回りになっています。

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このように、脇役が個性豊かでキャラが濃いので、他3作品と比べても脇役の魅力という面で言えば、このヒナまつりは頭1つか2つ抜けている印象です。

 

総評

大人×子供のハートフルコメディとして一応同じ括りでよつばと!、ばらかもん、銀のニーナを挙げてきましたが、じゃあどれが一番面白いのかと聞かれると…このヒナまつりは矛盾するようですがこの3つとは少し系統の違う漫画なので比べられません。例えるならリンゴとミカンを比べるような物でしょうか。

 

大まかなジャンルとしては『大人×子供のコメディ』で括れるのですが、ヒナに超能力がある非現実的な設定であること、そしてそのストーリーが進むことが他の物と大きく違うんです。大人×子供の日常系コメディかと思いきや、しっかりと謎やストーリーがあるので先が気になる漫画でもあります。

 

「日常系は何も起こらなくてちょっと…」と言う人や、少し変わった大人×子供のハートフルコメディを読みたい人にはお勧めです。

 

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