ハラハラドキドキでは前作超え「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」レビュー 評価はまだありません

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あらすじ

無事現代に戻ってきたマーティ。彼は2015年から帰ってきたドクに、未来の息子がトラブルに遭っていることを告げられ、将来妻になるジェニファーを連れ、3人で未来へと飛ぶ。ところが、老いたビフにタイムマシンを盗まれてしまい、それが原因で1985年のヒル・バレーは、ビフが牛耳る荒廃した街へと変貌。マーティたちは、街を元の姿に戻すことができるのか!?

 

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PART2はすれ違い劇

実は細かい部分を観ると、前作のPART1から大分映画の観せ方が変わっているんです。

 

前作はタイムトラベルを主題に置いて、過去でここをこう弄ると、未来のここがこう変わるとの、絶妙のタイムパラドックスに焦点を当てた作りになっていました。しかし今回はPART1の世界に再びマーティが戻ることによって、PARAT1の自分や両親、ビフたちとのすれ違い劇に焦点が当てられているんです。

 

簡単に言うと、PART1はタイムパラドックスの面白さ。PART2はすれ違いの面白さですね。例えるならPART2はスパイ映画の様相を呈しています。しかしただのスパイ映画ではありません。そこには勿論タイムトラベルやタイムパラドックスの話もふんだんに絡み、なおかつPART1の世界と驚くほど緻密にリンクして、PART1のシーンが山ほど出てくるので、PART1を観た者としては、終始ニヤニヤしっぱなしなんです。

 

そして更に驚くべき事は、本来続編を考えていた訳ではなく、後付けのPART2なのですが、最初から続編を考えていたんじゃないのかと言うくらい、ストーリーの隅から隅まで整合性が取れているんです。「PART1のあのシーンは、このPART2のこれがあったから成立したんだ!!」なんてシーンがいくつもあるんです。しかし冷静に考えると、PART2は後付けで作った訳なんですよね。ストーリーの整合性の取れ方が異常なんです。これはもう脚本の妙と言うしかありません。

 

ある意味前作を超えたかも知れないとタイトルに書いたのは、このすれ違い劇のハラハラドキドキ感なんです。PART1は勿論物凄く面白かったのですが、すれ違いによるハラハラドキドキ感に焦点を当てるとPART2の方が上なんです。

 

今回も伏線に小ネタが満載

今回も前作に続き、伏線や小ネタが一杯です。タイムトラベル物はタイムパラドックスが重要なテーマになることが多いので、こう言った伏線や小ネタを探すのも楽しみの一つです。今回もその一部を紹介します。

 

デロリアンのナンバー

PART2では、と言うかPART1の最後からデロリアンのナンバーが変わっています。未来から帰ってきて変わったので、未来の公道で走るためにナンバーを取得したのでしょう。

 

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左がPART1のデロリアンで、右がPART1のラストシーン以降のデロリアンです。ナンバーがバーコードみたいになっていますね。

 

ジェニファーは別人

PART2では、マーティの恋人役だった役者さんが、クローディア・ウェルズからエリザベス・シューへ変わっています。この時期、PART1のクローディア・ウェルズの母親が癌と診断されたため、役者業を休業していたためです。私はこのことを暫く立ってから知りました。そのくらい違和感がありませんでした。

 

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ちなみに上の画像で、左がPART1のクローディア・ウェルズ。右がPART2のエリザベス・シューです。

 

ジョージも別人

ジェニファーと同じく、マーティの父親役だった役者さんも、クリスピン・グローヴァーからジェフリー・ウェイスマンに変わっています。こちらの事情はよくわからなくて、制作者側はクリスピン・グローヴァーがもっと高いギャラを要求してきたからと言っていますが、クリスピン・グローヴァー本人は他の役に挑戦したいからで、制作者側の言い分は違うと言っています。まあどちらにしても別の役者さんに変わりました。しかしこちらも全く違和感なし。キャスティングが絶妙です。とは言っても、このPART2ではほとんどジョージが映りませんでした。

 

ウィルソン3世市長
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2015年カリフォルニア州ヒル・バレー市の市長は、1985年に市長を勤めていたウィルソンの孫でした。

 

ドクの寿命は30年延びた

ドクはこの未来で、若返りクリニックにてオーバーホール(手術)をして貰い、寿命が30年延びたと言っていました。皺を伸ばし、血液を全て入れ替え、脾臓と大腸も交換したそうです。110歳までは生きそうですね。

 

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実はこれもちょっとした伏線になっていて、PART3でドクは運命の人クララと出会うのですが、年齢不詳とは言え、もうドクは結構な年齢のはず。それなのに伴侶を貰い、子供まで設けていましたが、若さの秘密はこれだったんですね。なので子供の成長もしっかり見届けられるくらいは生きられるんです。

 

2015年でもドクが壊した足場はそのまま
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これも非常に細かい演出なのですが、1955年でマーティーを1985年に送り返すために、時計台で奮闘したドクですが、この時ドクは時計台の足場を壊しています。この壊れた足場は、1985年でも、そしてこの2015年でもそのまま壊れたままなんです。細かいですね。こういうのがタイムトラベル物であるとニヤッとしちゃうんです。

 

のちのロード・オブ・ザ・リングのイライジャ・ウッドが
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80'sカフェで出てくる2人組の子供のうち片方は、のちに大ヒットするロード・オブ・ザ・リングの主人公イライジャ・ウッドです。上の画像だと左側の赤い服の子ですね。ちなみにこれがイライジャ・ウッドのデビュー作です。

 

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スポーツ年間購入はドクのせい?
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マーティは未来の2015年でスポーツ年鑑を購入し、1985年に戻ってから小遣い稼ぎをしようと試みますが、ドクに未来を変えることになるからやめろと怒られます。ところが実はマーティがスポーツ年鑑を購入した要因のひとつに、ドクの発言があったのかも知れません。勿論直接的な原因は、2015年で募金の声を掛けられた時の会話からなのですが、PART1でもドクはワールドシリーズについて言及していたんです。

 

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PART1でデロリアンのタイムマシン実験を行った際に、「未来に行ったついでにワールドシリーズの結果を知りたい」とマーティに言っているんですね。PART1の記事でも書きましたが、PART2は後付けの制作だったのですが、結果的にこれがPART2の伏線になっていたんです。

 

マーティ一の息子も娘もマイケル・J・フォックス
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PART2で出てくる2015年のマーティの息子も娘もマイケル・Jフォックスが演じています。当時何の情報も知らないで初めて観たとき、さすがに娘には違和感感じたんですよね。

 

伊藤富士通さん
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マーティが会社をクビになるシーンですが、マーティの上司が日本人の伊藤富士通と言う名前の人でした。

 

当時の日本のバブルまっただ中で、東京23区の土地の値段で、アメリカ全土の土地を買えてしまうほどの好景気でした。アメリカの会社や土地も買収しまくっていたため、日本人設定にしたのでしょうが名前が変ですね。ちなみにこの頃、アメリカの会社を買収しまくる日本に対するバッシングが凄くて、日本車を破壊するパフォーマンスなどが日常茶飯事でした。

 

TO BE CONCLUDED
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PART1の時は、ソフト化されたときに「TO BE CONTINUED(次回作へ続く)」とネタ的な意味合いで入れられ、話題になりましたが、今回の最後は「TO BE CONCLUDED」。厳密な意味は「次回で完結」です。細かいですね。

 

始まり方が最高にわくわくする

今回、PART1から後付けの続編とのことで、どういった始まりになり、どういったストーリーになるのか興味津々だったのですが、完全にPART1からの続きから始まりました。

 

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この始まり方も素晴らしくて、空を飛んで消えてしまうデロリアンをビフが見て、「なんだあれは…」ってシーンで始まるのですが、ここまでバック・トゥ・ザ・フューチャーを観てきた者なら、「これがのちにとんでもない伏線になるぞ!」と察しが付くんです。この引っ張り方が素晴らしくて、「どうなってしまうんだ!」ってこれから始まる冒険を予感させ、ワクワクで一杯でした。オープニング数分だけでここまでワクワクできる映画って中々ありません。見せ方が上手いです。

 

散々悪いビフを見せられてきましたからね。1955年をマーティが改変して大人しいビフになってしまいましたが、このビフの反応を見ると、やはり内部には悪いビフが眠っていることも感じられ、また反撃食らいそう…ってみんな思ったんじゃないでしょうか。最も見られちゃいけない人に見られてしまいました。

 

それは2015年10月21日水曜日の午後4時29分

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このPART2の未来は…そう今年の2015年なんですね。2015年10月21日水曜日の午後4時29分、マーティたちは来るんでしょうか。

 

お約束再び

このバック・トゥ・ザ・フューチャーはお約束の演出が心憎いばかりなのですが、今回もPART1と被せたお約束がありニヤッとしてしまいました。

 

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PART1でも、カフェの中でビフと揉めて、その後カフェから飛び出て逃げるマーティ、追いかけるビフ。街中をスケボーもどきで遊んでいる子供からそれを奪い、取っ手を外してスケボーにして逃走。追い詰められるもなんとかしのぎ、ビフは肥やしへ突撃。この一連の流れがまたしても2015年の未来で、60年の時を経て、ビフの孫グリフとの間に行われていました。今回は肥やしへ突っ込むのではなく、裁判所に突っ込んでいましたけどね。

 

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しかもただトレースするだけではなく、60年の時を経た変化も表していて、空中に浮くホバーボートだったり、それにより池の上に浮かび身動きの取れない困難だったりを入れて、少しずつ変えているんですね。同じように見えて少し変わっているところなんかも、実に心憎い演出です。

 

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そしてPART2最後のシーンでは、またもやビフが馬糞に突っ込み、デロリアンが雷に打たれて消失の演出。特にデロリアン消失の演出が面白くて、PART1で雷は希望の事象で、1985年に送り返してくれる、まさに神だったのですが、今回のPART2最後では、救いの神だった雷が、今度は逆にデロリアンを消失する絶望を起こしてしまいました。

 

空飛ぶデロリアンを再び目撃するビフ

伏線の項目でも書きましたが、1985年でビフは空飛ぶデロリアンを見て驚いていましたが、この複線の回収がマーティがスポーツ年鑑を買った直後のシーンです。ビフ老人は30年前に空飛ぶデロリアンを見たものの、その後なにもなかったのですが、30年の時を経て再び空飛ぶデロリアンを見て不審に思い、マーティJrが二人いることも目撃したビフ老人は、ここで初めて行動に移すんです。

 

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30年前に空飛ぶデロリアンを見ていなければ、ここまでビフ老人は怪しく思わなかったでしょう。30年前に目撃している事実がここで重要な要素になっているんですね。

 

そしてこの時、ドクとマーティはスポーツ年間のことで議論になっていましたが、この部分をビフ老人に全部聞かれていたんです。1985年に戻るとか、未来を変えることはいけないとか、スポーツ年間で儲ける云々とかその辺を全部…。30年前に空飛ぶデロリアンを見られたことが、こんな風に影響を与えてくるんです。面白い。

 

自分に会うと宇宙が消滅する?

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ドクは時間を超えて自分同士が会うと、時空連続体を破壊してしまい、宇宙が消滅してしまう、運が良くても銀河系の破壊だと言っていましたが、ジェニファー同士が会っても何も起こりませんでした。この場面は、「気絶するかも」予めとドクが言っていたので良いのですが、のちのドク同士が会う場面が少し不思議なんですよね。

 

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PART2のドクとPART1のドクが会った時なんて会話までしていますからね。お互いに自分と認識して、初めてタイムパラドックスが起き、時空連続体の破壊で宇宙が消滅するんでしょう。

 

落ちぶれたマーティ

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2015年のマーティが住む場所はヒルデイル。ここは1985年のジェニファーを警察が送り届けたときに言っていたように、犯罪多発地域で治安が悪く、成功者が住むような場所ではありませんでした。この一件からだけでもマーティが決して成功した人生を歩んでいないことが分かります。

 

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またジェニファーが送り届けられたマーティの家では、風景映す画面にノイズが走っていて故障中でしたし、マーティJrがフルーツを取った機械も思うように動かなかったり、壁掛けテレビが斜めになっていたり、家の中が荒んでいる様子が至る所に見られました。それ以外にも、簡易結婚式場で式を挙げた写真があったり、まあ色々ねえ…。

 

そしてこの時にマーティが30年前…つまり1985年のあの年に、腰抜けと呼ばれ頭に血が上り、交通事故を起こしたことが、マーティの両親ジョージとロレインの会話から分かります。マーティはこの事故で手を怪我して音楽をやめていたんです。これものちに物凄い重要な意味を持ってくるんですよね。その後、マーティはニードルスの違法な誘いに乗ってしまい、それが上司にばれてクビになってしまうのですが、この時出てきたFAXの紙一枚ものちに重要なアイテムになってきます。こういう細かいところまで計算され尽くした脚本はたまりません。

 

荒んだ1985年

2015年から無事(?)帰還したマーティ一行ですが…どうも様子がおかしい。そのおかしい雰囲気が画面で表現されていて、壊れた車だったり、今までなかった鉄格子だったり、異常に多い落書きの量だったり、野犬だったり。この辺で今までの1985年とは違うぞと言うのがわかるんです。それはもう北斗の拳の世界並です。

 

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禿げ頭のストリックランド先生も変わっていて顔に大きい傷跡が…。学校も閉鎖されていますし無茶苦茶です。そしてビフ・タネン博物館まで…。親切にもビフ・タネンのカジノ・パレス入り口で、ビフが如何にして成功したかのVTRを流していたので、マーティは自分のスポーツ年鑑が使われたことを知るのですが、ここでも伏線があって、PART3に出てくるビフの先祖ビフォード・タネンの姿が映っているんですね。今見ればこれが伏線だって分かりますが、初めて見た時はこのあとにビフォード・タネが出てくるなんて知る由もないので、ただの何でもない映像に過ぎないんです。しかし二回目に見るとこの映像が意味がわかるんです。

 

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しかしこのVTRでは「アメリカ一の大金持ち」と言っていたので、今で言うとマイクロソフトの元CEOビル・ゲイツってところですかね。そしてマーティの母ロレインとは1973年に結婚したと、同VTRでも語っていましたが、と言うことはロレインもビフも1938年生まれなので35歳の時ですね。ビフはマドンナなんかと浮き名を流したって事になっていますし、ロレインがジョージと死別後の結婚なので遅かったんでしょう。

 

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しかしこの1985年は酷くて、ママがビフと結婚しただけではなく、ジョージはビフに殺されていますし(1973年3月15日享年24歳)、ママはビフの命令で豊胸手術していますし、肝心のマーティはスイイスの学校に厄介払いされています。

 

この辺の「過去を都合良く弄りすぎると余計酷くなる」ってパターンは、タイムトラベル物の王道ですね。

 

ドクによるタイムパラドックスの説明

このPART2では、黒板を使ったドクによるタイムパラドックスの説明がありました。

 

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この説明は凄くわかりやすくて、過去を弄るとそこから違う可能性の世界へ分岐して変わってしまうとの事。シュタインズ・ゲートの世界戦の設定と似ているのですが少し違います。とにかくこの荒んだ1985年Aができてしまった時点で、今から2015年へ「戻って」も、荒んだ1985年Aの未来(2015年A)でしかないので、ビフ老人がタイムマシンを強奪するあの2015年α(1985年αの未来)ではないんです。

 

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1985年Aに変わってしまった以上、もうどうやてもあの2015年αには行けず、ビフ老人のタイムトラベルを阻止することはできないんです。今を変えるには既に分岐した世界になってしまった以上、「分岐する前」に戻るしかないんです。つまり、2015年αのビフ老人が1955年のビフにスポーツ年鑑を渡すところです。

 

ところがこの「スポーツ年間を渡すところ」も阻止してはいけないんです。これを阻止してしまうと、「目的を終えて2015年αに戻るビフ老人」がいなくなってしまうので、2015年αにデロリアンが戻らず、その結果マーティたちは1985A年へ戻れなくなり、「今の自分たち」が存在しなくなってしまうんです。2015年αのビフ老人が1955年のビフにスポーツ年鑑を渡し、無事に2015年αに帰るフラグを立て、そこからマーティはスポーツ年鑑を奪い返さないと駄目なんです。複雑ですねえ。

 

一回纏めておくと1985年(無印)が、マーティがデロリアンで1955年へ行く前の世界。1985年α(アルファ)が、マーティが1955年から戻ってきて、ジョージとビフの立場が逆転した世界。そしてこの1985年αの未来で、マーティJrが犯罪者になることを阻止したのが2015年α。ビフ老人が1955年の自分にスポーツ年鑑を渡し、アメリカ一の金持ちになった世界が、この荒んだ1985年A。その未来が2015年A。こんな感じですね。

 

ちなみに1955年へ戻るとき、デロリアンの時間を設定する部分の調子が悪いことを示唆していて、1885年に勝手に設定されてしまっているシーンがあります。勿論これものちの伏線ですね。

 

この世界は世界一本道説なのか並行世界説なのか

これはタイムトラベル物で必ずぶち当たる問題です。世界は何かのでき事で分岐する度に、無数に並行する世界ができていく並行世界なのか、それともいくら歴史を弄っても世界は一本道なのか。

 

結論から言えばこのバック・トゥ・ザ・フューチャーは後者の世界一本道説を採用しています。それは色々なでき事やドクの説明からわかります。

 

新聞やマッチ箱の文字、お墓の文字がマーティたちが世界を弄る度に変化しましたが、このバック・トゥ・ザ・フューチャーの世界が並行世界ならこんなことは起こらないんです。いくら歴史を弄っても、影響が出るのは分岐する別の世界線での話であって、マーティのいた1985年には何も影響がないはずなんです。マーティやドクの持ってきた新聞などの文字が変わると言う事は、それはイコール世界一本道説だってことなんです。

 

またマーティが1985年に戻ってきた時に、ジョージとドクの立場が逆転した世界だったり、ビフがアメリカ一の大金持ちになっている変化を認識できました。これは並行世界説ではあり得ません。並行世界説だと自分の世界は変わりませんからね。シュタインズ・ゲートの場合、その並行世界を行き来できてしまうのが主人公の特殊な能力だって事になっていたので、並行世界説の物語でも、世界の変化を認識できていました。これは特殊な例です。

 

そして決定的なのが、ドクは荒んだ1985年Aでジェニファーを外に放置してきて心配するマーティに、「世界が元に戻ったら迎えに行けば良いから何も問題ない」と言っていました。

 

もう一つついでに並行世界ではない証拠を挙げると、ドクが壊した時計台の足場ですね。並行世界の設定なら、「足場を壊した世界」が別にあり、足場を壊したことは「この世界」に影響がないはずなのですが、マーティが行く世界全てで時計台の足場が壊れていました。これは世界線が一つである事を示しています。

 

ここからは想像ですが、マーティ、ドク、ジェニファー、ビフ老人は、デロリアンでタイムトラベルをした時点で、世界の理からはみ出て、世界の変化が見えるようになってしまったんでしょう。

 

1955年のビフにビフ老人がスポーツ年鑑を渡して、2015年に戻っても世界が変わっていなかったのは、タイムライン的に、マーティがビフからスポーツ年鑑を取り戻すことの方が先か、そっちの方ができ事として強かったので、2015年まで影響が出なかったのか…。ここは唯一説明が曖昧になってしまうところです…。変わっていない世界に戻ってきたビフ老人は、何も変わらない未来でビックリしたでしょう。世界が変わっていれば、バック・トゥ・ザ・フューチャーの設定では、マーティが1985年αや1985年Aに戻った時のように、変化を認識できますからね。

 

更に根本的なことを言えば、何かする度に世界が無数に分岐し、それが並行して存在する世界なら、「タイムパラドックス」なんてそもそも起こらないんです。それこそ「なんでもあり」なのが並行世界説なんですから。なにをしても、「それは世界線が変わった別の世界の話で、自分の世界には関係ない」って物ですね。ドラゴンボールのトランクスの件もそうでした。

 

ドクの黒板によるタイムパラドックスの説明はわかりやすいのですが、図がちょっと問題でしたね。分岐した世界と今までの世界が同時に存在しているように見えてしまいました。このとき元の世界の線を消していれば、更に万人に分かったんですけどね。

 

すれ違い劇の始まり

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2015年のビフ老人が1955年へ行き、マーティとドクもこの1955年に来たことにより、このPART2の最も面白い部分であるすれ違い劇本編へと突入していきます。これは前段でも書きましたが、PART1の自分の行動と絶妙に干渉し合い、また必死で避けるタイミングが絶妙すぎて、ただただもう唸るしかありませんでした。

 

ちなみにこのスポーツ年鑑にもタイムパラドックスの疑問があって、少額のうちなら大丈夫なのでしょうが、ビフが勝つ方に大金を掛ければ、おそらく倍率も変わってきます。すると他の掛ける人の心理にも影響を与え、オッズは大きく変わってくると思われます。そうすると、少なからず選手の心理状況にも影響し、結果が確定していた未来とは変わってしまうかも…。

 

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すれ違い劇の話に戻ると、マーティがビフの手下三人に追われて、魅惑の深海パーティ会場の体育館へ追い込まれたシーンがあります。詳しく説明されてはいませんが、実はこの部分もタイムパラドックスが起こる危機だったんですよね。ビフの手下がPART2のマーティを追いかけて体育館に入るのですが見付けられず、壇上を見るとPART1のマーティが。これをさっきまで追いかけていたPART2のマーティと勘違いしたビフの手下は、PART1のマーティを捕まえに行くのですが…。

 

もしここでPART1のマーティがこのビフの手下に捕まっていたら、PART1のマーティは1985年に戻ることができず、タイムパラドックスが起きていました。その場合、PART2のマーティも存在しないことになっていたのか、はたまた時空連続体の破壊で宇宙が消滅していたのか…。

 

リップル効果

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無事ビフからスポーツ年鑑を取り戻し燃やしたことで、またしても未来が変わりました。しかし今回も実は「元に戻った」のではなく「元に近い形に戻った」んです。1985年αでは起こらなかった、ジョージが名誉市民になるとか、ドクが表彰されるなんてことが新たに起こっているので、いわばこれは1985年β(ベータ)ですね。全く同じ世界には戻ることは不可能なんでしょう。バック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムパラドックスとは少し違いますが、並行世界の話についてだと、アニメに抵抗がなければ、シュタインズ・ゲートが凄く上手く説明されていて、尚且つ面白いのでお勧めです。

 

そしてデロリアンが雷に打たれ、消失する前に「リップル効果で元に戻った」と言っていましたが、これは日本語にすると「さざ波効果」です。要は水面に衝撃を与えると色んな方向に波が立ち変化を与えると言う、バタフライ効果と同じ物ですね。蝶が羽ばたくと世界の裏側で嵐が起こるってあのバタフライ効果です。

 

終わり方も最高にわくわくする

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このPART2のどこがピークかと言えば終わり方でしょう。劇中も勿論ハラハラドキドキが凄いのですが、ドクとデロリアンの消失により、マーティが絶望に打ちのめされ、呆然としているところにウスタンユニオン職員が70年前からの手紙を持ってくる。これにはまさに「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」としか表現のしようがありません。

 

一旦どん底に突き落とされ、そこから希望に満ちた最高到達点まで盛り上がる。この感情の振り幅は凄まじいです。観ていて思わず立ち上がって叫びたくなってしまいました。

 

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そして最後はPART1で1985年にマーティを送り返したドクの元に、PART2のマーティが現れる衝撃の展開。ドクにとっては一大使命が終わり、やったーと達成感を感じていたら、また新たな問題が…。タイムトラベルができるマーティたちにとっては、延々とループできるわけですから、始まりもなければ終わりもないんです。

 

そしてまたもや繋がった

今回のPART2ではPART1の自分とのすれ違いだったりで、密にPART1と繋がった話だったのですが、エンディングでは遂に完全にPART1の最後と繋がりましたね。一体何が始まりで何が終わりなのか、どこから物語が始まりどこで終わっているのか。頭がこんがらがってきますが実に面白いです。本来、ドクはPART1最後でマーティを1985年に送り返して仕事は終わったはずなのに、またその瞬間から新たな物語が始まってしまうんです。もう本当にニヤニヤしっぱなしです。こんな複雑な話を面白おかしく娯楽映画にしてしまうなんて同じ人間がやったこととは思えません。素晴らしいです。

 

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PART2とPART3は同時に撮影したので、今回は最後にPART3の予告が入っていました。これは劇場で観た時もそのままで、この終わり方にはビックリしました。

 

こんな人にお勧め

  • タイムトラベル物が好きな人
  • スピルバーグが好きな人
  • 娯楽映画が好きな人
  • すれ違い劇が好きな人
  • スパイ映画が好きな人

 

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