アニメ全話レビュー「めぞん一刻 第06話 「春はショッキング!響子さんの秘密!!」」 評価はまだありません

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今回レビューするのは、めぞん一刻の第6話です。

 

思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。

 

それでは早速レビューを書いていきたいと思います。

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先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。

 

あらすじ

季節は春。無事三流私立大学に合格して大学生になった五代君。相変わらず響子さんとの関係が深まらないことに悶々としています。そんな中、一刻館に大家の音無老人と姪の郁子ちゃんが来訪。響子さんとともにどこかに出掛けると言うので、五代君も半ば強引に付いて行きます。到着した先はお墓。響子さんたちが真剣にお墓参りをしていたそれは、響子さんの亡夫惣一郎さんだったのです。

 

みどころ

  • 郁子ちゃん登場
  • 惣一郎さんが何者なのかわかる
  • 響子さんが未亡人だと分かる

 

初登場人物

  • 音無郁子

 

感想

無事大学生になるも…

前回、無事三流私大に受かり、今回から大学生になりました。とは言え、五代君なのでバリバリ勉強するわけでもなく、サークル活動に精を出すわけでもなく、無気力に過ごしている様子。大学の授業では隣に坂本がいましたし、喫茶店でも一緒で、その他名無しの2人と喋っていました。

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五代君は「響子さんが眠らせてくれない」と言い、それ聞いた坂本たちは驚くのですが、なんのことはない「夢に出てきて良いところで終わってしまう」からとのこと。手を握ってみたいと言っていましたが、今の五代君の目標はこの辺りのようです。

 

五代君はモノローグで、「そうなのだ、僕が大学生になったというだけで、春が来て桜が咲いたって、季節が変わっただけで、他はなーんも変わったわけではないのだ」と言っていましたが、現実もそうなんですよね。自分の中で何か大きく変わったことがあったとしても、世界はいつもと変わりません。特に五代君の場合、なにを変えたいかというと、響子さんとの関係性なわけで、当然こちらも全然変わっていません。相変わらず管理人と住人です。

 

と、ここまでが今回はアニオリです。ちょっとだけ五代君の大学生活と友人を出しました。前回五代君が大学に受かることを描いたので、きちんと大学に行っている様子を出したかったのだと思います。

 

また手を出そうとする五代君

五代君は先ほどせめて手を握りたいと言っていたように、偶然散歩中の響子さんに会った際、手を握ろうとするのですが、惣一郎さんに響子さんが引っ張られて失敗。手を握ろうとしたのはアニオリですが、その後漫画と同じように肩を抱こうとしてまたも失敗。拒絶されている気がするなと言っていましたが、今の関係性で肩を抱いたらまたビンタさる気が…。

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手を握るとか、肩を抱くとか、それを許してもらえるまでの関係になっていないのに、なぜそんな無謀なことにチャレンジするのか…。一つ屋根の下にいるのですから、失敗して気まずくなったら大変でしょうに。

 

響子さんと一刻館に帰ってきた五代君は、一の瀬さんと賢太郎と会うのですが、相変わらず浪人扱い。五代君は浪人の方がしっくりくるようです。また、大学合格発表以来、響子さんとほぼ接点がない模様。

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今回のうる星やつらネタ

今回もうる星やつらネタがありました。響子さんとせめて手を握ってみたいと願う五代君。そこを無邪気に走り去る手を繋いだ男女の園児。この園児があたるとしのぶでした。

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懐かしの黒電話

響子さんが使用していた電話はいわゆる黒電話です。留守電機能もなければプッシュ式でもない、今は絶滅しそうなダイヤル式です。

 

電話の横にメモ用紙が置いてありましたが、昔はこんなスタイルでした。コードレス電話でもないので、電話を取ったらその場から動けません。録音機能も当然ないので、その場で大事なことを言われたらメモるしかありません。

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さらに黒電話にはレースのカバーを被せるのも流行るというか、一般家庭で当たり前に行われていました。もうなくなった文化ですが、そのうちまた何十年かたつと、スマホにデコってただの、手帳型のケースをしていただのが、このようになんだそりゃ的文化になるのでしょうか。

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豆知識だと、110番や119番もこのダイヤル式だからできた番号です。1、1、そして1番遠い0や9に指を移動してダイヤルが回るのを待つことにより、冷静になってもらおうとの意図からです。今のプッシュ式だと110や119の意図はわかりませんよね。また、黒電話は非常に小さ電力で通話できるため、停電中でも電話回線から流れてくる微弱な電力で動きます。災害に強いんです。

 

一刻館緊急会合

先ほどの電話は音無老人からのもので、お墓参りの日程を決めていただけなのですが、響子さんはいたずらっぽくわざとそれを言わず、大家さんが来るとだけ伝えて一の瀬さんを牽制。これで少しは大人しくなってくれればということのようです。

 

狼狽するのは不良住人たち。一の瀬さん、四谷さん、朱美さんは、家賃の取り立てか、部屋代値上げか、改築かと悩みます。そして、この会合が行われていたのが何故か五代君の部屋でした。その話に加わる五代君は不良住人の追い出しじゃないかと言うのですが…。

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正直、五代君も十分不良住人の気がします。悪気はないですし、自ら悪いことをするわけではないのですが、結果的に一刻館を引っかき回し、騒動の中心にいつもいるわけで…。不良住人の追い出しと言うなら、その中に十分五代君が含まれていても不思議ではありません。

 

四谷さんたちは真剣に悩んでいたので、怒られる心当たりありまくりなんですね。まあそりゃそうですよね。四谷さんは隣の部屋に大穴を空けて自由に侵入。加えて覗きが趣味を公言してはばかりません。朱美さんは半裸で歩き回るので住環境を悪くしています。一の瀬さんは酒乱でいつも宴会で騒いでいます。普通いつ追い出されてもおかしくない人たちです。

 

郁子ちゃん初登場

惣一郎さんのお墓参りには響子さんと大家の音無老人だけではなく、音無老人の孫であり、まだ籍が入っているこの状況だと、戸籍上響子さんの姪となる郁子ちゃんが初登場。このときの郁子ちゃんは12歳の小6です。小6にしては幼い描写です。

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郁子ちゃんは響子さんのお義父さん(五代君は実父と思っている)に気に入られようと、郁子ちゃんに優しく接するのですが、これがあってかあっと言う間に五代君に懐いてしまいます。

 

郁子ちゃんは初期のめぞん一刻では重要キャラです。後半はこの年代の登場人物で八神が出てきてしまったため、ほとんど出番はなくなってしまうのですが、初期にこの引っかき回しの無邪気キャラは使い勝手が良かったのでしょう。時には五代君を引っかき回したり、時には賢太郎の憧れのお姉さんになったり。

 

お父さん(義父)とお父さん(実父)

音無老人と郁子ちゃんが一刻館に来訪したところを、響子さんが正装して「おとう(義父)さん!」と出迎えます。これを聞いた覗き見していた住人たちは「おとう(実父)さん!?」と驚きずっこけます。何故かというと、それまでは大家が来てなにか怒られたり、困った契約の変更をされると警戒していたのに、『ただ単に娘を訪ねてきた実父かよ!』と。

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めぞん一刻はすれ違いと勘違いでできていると書いてきましたが、ここはその中でも細分化すると『同音異義語のすれ違い』です。『お義父(とう)さん』と『お父(とう)さん』です。響子さんは義理のお父さんと呼んでいるのに、同音異義語なので、詳しい事情を知らない者にとっては、その音通り実父だと思ってしまったんですね。

 

めぞん一刻は現実的な舞台とキャラなので、突拍子もないギャグで面白さは出せません。その代わり、このように言葉の細かい齟齬で笑いを出します。漫画の文字で見ても面白いですし、良くで来ているなあと感心するのですが、アニメの音で聴いてもやはりこの言葉の勘違いは面白いです。

 

響子さんが大家の娘だと勘違いした住人は、響子さんが不良住人をチェックしていたスパイだと思い、一方五代君はここぞとばかりに距離を詰めていきなりお父さん呼ばわり。しかし、この五代君の呼ぶお父さん呼びは、勿論他人なので義父の意味です。本来、他人の親をお父さんお母さん呼ばわりするのは、結婚して血縁になってからです。これは五代君の『それだけ自分はあなたの娘さんと親密なんですよ』アピールです。

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ここも面白くて、誤解が1周回って解消されてしまっています。響子さんは音無老人のことをお父(義父)さんと呼んでいるのですが、周囲はお父(実父)さんだと思っています。五代君も勿論そうなのですが、距離を縮めるために響子さんと同じ意味のお父(義父)さんと呼びます。誤解しているのですが、何故か五代君だけは本来の意味の義父になっており、響子さんと使い方が同じになってしまいました。しかし、当然そのことには誰も気付かず…。誰もこの誤解に気付かないまま話が進んでしまいます。これがめぞん一刻なんです。

 

響子「おとう(義父)さん!」

五代、一の瀬、四谷、朱美「お父(実父)さん!?」

五代「(響子さんの実父に取り入ろうとして)おとう(義父)さん!」

 

誤解が一周回り、結局響子さんと同じ『おとうさん』の使い方をしている五代君。

 

今日は何日?惣一郎さんの命日は?

ところでこの日は何日かと言うと、漫画全話レビューでも書いていますが、おそらく1981年4月12日の日曜日です。これは漫画の一コマを見るとわかります。響子さんがカレンダーに印を付けているのですが、それが4月の前半あたりを指しています。そして、大学が始まって少したってからということを考えると、4月5日は除外し12日になります。

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このときは惣一郎さんの一周忌です。つまり1年前のこのあたりに惣一郎さんは亡くなりました。一周忌のお墓参りは、皆が休みでお墓参りしやすい日曜日になっただけなので、厳密な命日はわかりません。それを踏まえて、惣一郎さんの亡くなった日は、1980年4月上旬から中旬だと思われます。

 

響子さんが一刻館の管理人に就任して引っ越してきた日が1980年10月。つまり、夫が亡くなって半年足らずで社会復帰に向けて動き出していました。半年だとまだ悲しみも癒えない頃だと思うので、あの第1話の響子さんがしていた笑顔の裏にはこんな事情があったんです。

 

しかし、桜という象徴的なアイコンを見る度に、愛した夫を亡くしたことを思い出すのはきつそうです。桜は日常でも春にはそこら中で咲いていますし、テレビでも取り上げられます。その度に悲しいでき事と関連付けてしまいそう…。

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テンパると周りが見えなくなる五代君

五代君はテンパると普通は分かることすらわからなくなる傾向があるようです。響子さんの年齢を郁子ちゃんに聞いたところ、自分の年齢を聞かれたと思って12歳と言うのですが、これでも五代君は気付かず、「響子さんってそんなに若いの?」と。「いやいや、これわかるでしょ五代君」と突っ込んで笑ってしまいます。

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五代「(響子さんの)年はいくつ?」

郁子「(私は)12」

五代「え?そんなに(響子さん)若いの?」

郁子「私そんなに若く見える?」

 

これも短いですが凄いと思います。会話たった4回です。しかもその1つ1つはご覧の通り凄く短いです。基本的にめぞん一刻の会話の法則は以下に要約できます。

 

  1. 重要なキーワードが入っていないことにより誤解が生じる
  2. お互い違うことを話しているのにお互い誤解に気付かない
  3. 会話のすれ違いに気付かないまま最後まで会話が成立する

 

めぞん一刻を穴が空くほど見たり読んだりしている方なら、この『めぞん一刻会話の法則』の構造を分析することはできます。そこまではできるのですが、ではこの条件で例文を作りなさいと言われたらそう簡単にできません。

 

適当に例文を作っただけではダメで、きちんとストーリーに沿い、なおかつそのキャラが言いそうなことでなければダメです。これを毎回と言って良いほど出してきます。高橋留美子さんの言葉のセンスが凄いと感心せざるを得ません。しかも、このとき作者は20代前半です。信じられません。

 

郁子ちゃんとは社会人になってからなら結婚の許しが出るらしい

響子さんとの距離を縮めるため、郁子ちゃんは五代君に優しくされたのですが、これを誤解した郁子ちゃんは、「お兄ちゃんは私のことが好きみたい」と響子さんに打ち明けます。それを聞いた音無老人は、「社会人になってから挨拶に来なさい!」と怒ります。

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「社会人になったら12歳とお付き合いしても良いのかい!」と突っ込んだ方も多いはず。音無老人は開明的なのか、はたまた本人の意思を尊重するのか…。

 

今だとこのあたりの下りや、郁子ちゃんがあっと言う間に五代君に懐くあたり、ロリコンだなんだおかしな視点で見られそうですよね。しかし、五代君に視聴者がその余計な思いを抱かなくて良い理由は単純で、作中ずっと『響子さん!響子さん!』だからです。

 

その後漫画だと合コンだと北海道旅行だの、少し誘惑に負けそうなりますし、こずえちゃんとキスしそうになったりもしますが…。まあ取り敢えず子供に手を出すようなキャラではないです。

 

惣一郎さんの正体がわかる

音無老人がぎっくり腰になってしまったため、介助として五代君が付いていくことになります。

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五代君はお墓の前に来てやっと響子さんたちの目的がお墓参りだったと知ります。どこに行くかも知らずに付いていったんですね。そして、折角だからと手を合わせ、誰のお墓か聞いたたところ…響子さんの口から「主人です」と言われて仰天。

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以前、一の瀬さんにお見合いを勧められたときも、惣一郎さんのことを言ってしまおうか迷っていましたし、今回も五代君が付いてくることを全く拒否しなかったので、おそらく自分が未亡人であることを隠すつもりはなかったのだと思います。ただ聞かれなかったから言わなかっただけ…と。21歳の女性に「未亡人ですか?」などまず聞きませんし、そもそもそんな想像もしません。

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亡夫の名前もこのとき音無老人の口から惣一郎だと聞き、あのダメ犬の名前の由来や、これまでの不可解な惣一郎さん呼びだったり、犬に謝っていることに合点がいった様子。また、結婚して半年たたずに死別したことも知らされます。

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いやあ、しかし結婚して半年での死別はキツイです。好きな状態での死別です。嫌いで別れたわけでも、30年連れ添ってから死別したわけでもなく、まだこれからってときに死別です。気持ちに整理が付かないのは当然です。

 

前を向かなきゃダメだ

今回、響子さんが未亡人であること。名前が惣一郎で、犬の名前は亡夫から取っていること。結婚して半年たたずに死別したこと。これらのことがわかったので、終盤はシリアスになりました。…が、シリアスなまま終わらないのが初期のめぞん一刻。

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五代「生きていれば色々な欠点も見えてくるだろう、でも死んでしまった人は無敵だ。それにたった半年の暮らしじゃ、思い出は彼女の中で理想像になってどんどん広がって…。いけない、響子さん、現実に背を向けちゃいけない。あんたの惣一郎さんは死んだんだ。俺、きっと良い男になってあんたを守ります。だから、だから…しっかりと前を見て…響子さん、響子さん。前を見て歩くんだ。しっかり前を見て…。」

~五代君側溝に片足落ちる~

響子「五代さん、しっかり前を見て歩かないと」

五代「はい…」

 

漫画の五代君のセリフはもう少しコンパクトだったのですが、オチを強調したかったようで、前を見てをやたら強調して少ししつこかったかなと感じました。

 

原作漫画では

一部オリジナル

 

総評

今回は五代君が大学に受かったことを視聴者に最初見せ、その後音無老人と郁子ちゃんが訪ねてきて惣一郎さんのお墓参りに行き、響子さんが未亡人であることがわかる衝撃的な回でした。このシリアスな空気のまま終わっても問題なかったのですが、初期のめぞん一刻はギャグに近いコメディなので、最後はきちんとドジな五代君でオチました。

 

ここから本当のめぞん一刻がスタートです。物語の区分としては、ここまでがプロローグ(序章)で、ここからが本編です。響子さんは未亡人で心に傷を抱えている。ではその響子さんとどうやって付き合っていくべきなのか。どう心を開いてもらって信頼してもらえるのか。惣一郎さんではなく自分の方を向いてほしい。

 

響子さんのバックボーンが明らかとなり、五代君がどうすべきか、どこを目指すべきなのかが今回で明確になりました。

 

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