海外ドラマ「ザ・シールド」を紹介したいと思います。
このドラマは暴力シーンや過激なシーン、倫理的に問題となるシーンが多いからだと思うのですが、TVCMや宣伝を思い切ってできないので、知名度や人気は今ひとつなんですよね。しかし、アメリカドラマ界のアカデミー賞と言われるエミー賞にノミネートされたこともありますし、主演男優賞をヴィック役を演じるマイケル・チクリスが獲得するなど超メジャーです。
ロサンゼルスの下町ファーミントンは様々な人種が入り乱れ、治安は悪く麻薬取引・殺人・強盗・レイプなどが多発していた。このファーミントン地区で独自のストライク・チームを率いて事件解決にあたるヴィック・マッキー刑事はその業績と手腕から市警本部・犯罪者の両方から一目おかれる存在だった。
しかし、犯人逮捕のためなら違法捜査、犯人への暴行、証拠品の略奪や犯罪者との癒着をも辞さない清濁併せ呑む彼のやり方に目をつけたアセベダ署長は政界に打って出るためにヴィックを告発しようと企む。アセベダの意を受けたテリー刑事はヴィックのストライク・チームに潜入して証拠を掴もうとするが、それを知ったヴィックに現場で射殺されてしまう。さらに、アセベダはヴィック達がコカイン取引の捜査中に証拠品を略奪したのを目撃した新人警官のジュリアンにヴィックを告発させようとするが、ヴィックはジュリアンがゲイであることをつきとめ、取引をして彼の発言を封じる。一方、ヴィックを密かに支援していたギルロイ副本部長がヴィック達ストライク・チームの暴走に手を焼き、彼らとの訣別を宣告してくる。しかし、ギルロイが起こした交通事故の証人の処遇を巡ってヴィック達は再びギルロイと組むことになるが、ギルロイが地区の治安を悪化させて土地買収を企んでいたことを知り、彼を逮捕させるのだった。そんな中、ヴィックの妻と子供が家庭をも危険にさらす彼のやり方に愛想をつかして出ていってしまう…
Season1のストーリーはこんな感じです。
要は悪徳警官の話ですがそう単純ではなく、アメリカ一治安の悪い地域なので、正攻法ではどうにもならない、ならば小さい犯罪は見逃したり協力してやるから、凶悪犯罪を防ごう、検挙しようという話です。
「犯罪に大小はない」とよく言いますが、このドラマの基本的なコンセプトや主人公のヴィック、ストライクチームの立ち位置は、この言葉とは真逆に位置します。ヴィックやストライクチームは、彼らなりの正義感を持って犯罪と立ち向かうわけです。そしてまだここでもこのドラマは収まりません。犯罪を見逃すだけではありません。自ら犯罪にも手を染めてしまいます。内部調査に来た刑事を事件に見せかけて射殺したり、犯罪者の儲けたお金を、ギャング同士の抗争に見せかけて強奪してしまいます。「所詮犯罪者のお金だから奪っても問題ない。寧ろ俺たちが奪った方が、犯罪に使われなくて済むので良いはずだ」と言う、普通の刑事ドラマではあり得ない論理、話です。勿論奪ってめでたしめでたしでは終わらないのがこのドラマ。内部調査の刑事の射殺事件とともに、通称マネートレイン事件も一部警察上層部や同僚が不審に思い、ヴィックたちを執拗に追い詰めます。しかしヴィックたちは証拠を隠滅したり証人を脅したりして、警察内部の疑惑の目から逃れようと必死に工作します。それでもそれを追う同僚や警察上層部。強い権力欲からヴィックと時には協力し、時には反目しあう署長。その間にも凶悪な事件は街で発生し、それらを解決しなければならないヴィックや刑事たち。このような複雑な人間関係と多様な倫理観がカオスを生み出し、前例のない刑事ドラマとなっているのです。
派手なアクションや爆発シーン、スリル満点のチェイスシーンがあるわけではありませんが、このようなジェットコースタームービーとは違う視点から、本当に目が離せないドラマです。
10月からSeason6が始まりましたがとにかく面白い。面白すぎる。もう先が気になって気になってたまりません。現在一週間で一番楽しみなドラマです。
関連リンク
この記事と関係のある商品