目次
みどころ
- ウルトラクイズ史上唯一の3人決勝
- 優勝賞品
放送日時
日本テレビ本放送:1987年11月26日(木)19:00~21:00
最終回が始まってしまった
遂に第11回ウルトラクイズ最終回です。ワクワクすると共にやはり終わってしまうのは寂しいです。このウルトラクイズは、自分でもハガキさえ出せば全員参加できるハードルの低さや、毎週テレビの画面を独占する挑戦者が、自分たちと変わらない昨日までは素人であることにより、視聴者ののめり込み度度、シンクロ率が他の番組とは段違いなので、見ているだけの自分が、福留さんや挑戦者とアメリカを冒険しているような感覚になってしまいます。
そんな感覚が4週続いてきて今週で終わってしまいますからね。クライマックスで盛り上がるのでワクワクドキドキではあるのですが、一方でこの感覚が今後は味わえないさみしさもあります。
この最終回は、楽しい時間が終わって欲しくない気持ちから、「終わりが始まってしまった」との感覚が強かったように思います。
ウルトラクイズ史上唯一の3人による決勝戦
この第11回は、ウルトラクイズ史上唯一の3人による決勝でした。ウルトラクイズには各回に特徴があって、第13回は伝説の準決勝が記憶に刻まれていますが、この第11回は3人の決勝が記憶に刻まれていますね。それぞれ特徴的なでき事が思い出のインデックスになっています。
4週は早い
今回のウルトラクイズは全4回なので、これは短いなと思うのですが、子供の頃はこの4週間はもの凄く長く感じた記憶があります、時間の感覚も子供と大人では変わりますね。
放送内容
第11チェックポイント「爆走エアーボートカルタクイズ/マイアミ」(6人→4人)
このクイズ形式は変わっていて、福留さんがクイズを読み上げて答えるのは基本的に今までと同じなのですが、答えるには大湿原にばらまかれたいろはカード48枚のうち、答えの頭文字になるカードを、エアボートに乗って拾ってこなければなりません。そしてこの答え方が変わっているんです。
答えるときは、拾ってきたカードの文字から始まる文章でなければなりません。例えば答えが「王貞治」ならば、王貞治の頭文字である「お」を拾ってきて、そのまま王貞治と答えるのが一番簡単なのですが、始まりの文章は何でも良いので、「ほ」を拾ってきて「ホームラン王の王貞治」でも良いんです。これは頭の柔軟さがタメされるクイズですね。
ここは3ポイント先取で勝ち抜けなのですが、エアボートで1km先にばらまかれたカードを拾ってこなければならず、それだけでも時間が掛かるのですが、おそらく1問ごとに、挑戦者が持ってきたカードをスタッフが配置し直しているので、もの凄く手間と時間の掛かるクイズ形式です。
また、ここではそれぞれが乗るエアボートに結構スピードの差や、ドライビングテクニックによる差が目に見えてありました。更にハプニングがあり、稲川さんが乗るエアボートが途中で故障してしまい、スタッフが乗るボロボロのエアボートに乗り換えたため、他の挑戦者のエアボートの半分くらいしかスピードが出なかったそうです。
しかしこれは結構致命的なトラブルですね。思い切り勝負を左右してしまうところでした。こんな圧倒的不利な状況からも勝ち抜ける稲川さん。強いです。
ここでは2名落ちるのですが、落ちたのは中村さんと柳井さんでした。ここに来て6人中2人落ちるのは厳しいなと思っていたら、「しかし」のテロップが…。
第11チェックポイント「敗者復活戦(日本・米国早起き連想クイズ)/マイアミ」(2人→1人)
先ほど落ちた中村さんと柳井さんですが、ここで敗者復活戦です。この段階で2/6落ちるのは厳しいですからね。
この敗者復活戦も変わっていて、本人のクイズ知識は全く関係ない物でした。
このマイアミから早朝の日本に電話を掛け、家族にクイズを出して、90秒の間に多く答えられた方が勝ちと言うもの。ただこれは、クイズと言うよりは連想ゲームでした。挑戦者が家族に向かって答えを連想するワードを言い家族が答えるというアレです。
例えば答えが「茶碗蒸し」の場合、「玉子、美味しい、肉が入ってる、蒸す」などと、挑戦者が連想するワードを羅列し家族が答えます。一昔前のクイズバラエティなんかでよく見た方式ですね。これは、挑戦者本人のクイズ知識は全く関係が無いのですが、敢えてこじつけると、挑戦者がいかに家族にまでクイズを啓蒙しているかどうか…でしょうか。
ここで本当に落ちたのは柳井さんなのですが、柳井さんのワードのチョイスが抽象的で上手くありませんでした。「俺の好きな物」「俺が昔やったこと」「それの悪い方」なんて抽象的なワードを連発していたので、答えられないお母さんより、柳井さんのワードのチョイスがよろしくなかったのかなと…。
勝ち抜けるかどうかの瀬戸際なので、パニックになるのはわかるんですけどね。一応この辺の心理的落ち着きだったり、相手に分かりやすく伝える伝達能力だったり、クイズに通じる物は一応あるような気がします。
そして落ちたのが柳井さんの罰ゲームも少し裏話があります。
ここでの罰ゲームは強い雨の中、子ワニを背負っての帰国だったのですが、本来は違う罰ゲームを用意していたそうです。雨が降らなければ、家で待機していると、先ほどクイズで使用したエアボートの突風に、家が吹き飛ばされる罰ゲームだったそうです。
今回は泥んこクイズでに台風が直撃し、急遽ブルドーザーを使用して会場を整備したりと、スタッフも臨機応変さが求められますね。罰ゲームはウルトラクイズのメインイベントだと言ってもいいくらい重要なポイントなので、本来の罰ゲームができないときの焦りは大変なものだったでしょう。
今回の柳井さんの罰ゲームが温く感じたのは、こんな理由があったんです。
第12チェックポイント「ワシントンつぶし合いクイズサミット/ワシントン」(5人→4人)
このクイズはウルトラクイズでは非常に珍しい室内でのクイズです。
ウルトラクイズは広大なアメリカ各地を旅し、その雄大な景色を背景にクイズをするのも一つの特徴なので、このように室内でクイズをすることは珍しいんです。
今回のクイズもかなり趣向を凝らしており、福留さんの読み上げるクイズに正解すると指名権獲得。この指名権が重要で、指名権を持っている人は、挑戦者の中の1人を指名し、各挑戦者に予め配られたクイズが書かれたカードの中から1枚を選び出題します。そのクイズに指名された人が答えられないと、指名した人に1ポイント入るんです。また、指名した人が答えられた場合は、指名された人が1ポイント獲得し同時に指名権も移ります。非常に凝ったクイズ形式です。
このような、挑戦者を指名して答えさせるクイズ形式はたまに出てくるのですが、これは挑戦者同士の間で、誰が評価が高く、誰が評価が低いか如実に分かるので面白いんです。もっと言えば人間関係がわかるんです。
ここで集中的に指名された人は中村さんでした。挑戦者同士の間では、明らかに中村さんが一番弱いとの評価を受けていたことが分かります。
そしてここで落ちたのは、やはり集中攻撃されていた中村さんでした。
罰ゲームはドーベルマン2匹を引き連れて空港まで行くという物。犬に引きずられ、空港まで行く罰ゲーム。
第13チェックポイント「ニュージャージー封鎖クイズ/ニュージャージー」(4人→3人)
この準決勝前日夜は、各挑戦者が勤務先や通う大学などに連絡をしていました。結構厳しいことを言われる人がいたりして胃がキリキリしてしまいます…。このような理由で、途中でわざと負ける挑戦者もいたそうです。
このウルトラクイズは、いつ終わるのか分からない旅で始まり、最後の決勝まで残ってしまうと、約1ヶ月の旅になってしまいますからね。会社も大学も1ヶ月休むわけで、普通は良い顔をしません。ただ挑戦者を気遣って、ウルトラクイズは挑戦者の通う会社や大学の宣伝をしたり持ち上げたりして、クビにならないように、またはできないように持っていこうとしています。
さて、遂に準決勝ですが、ここでは第1回ウルトラクイズ優勝者の松尾さんが登場です。このシーンはインパクトがあるので、覚えている人も多いんじゃないでしょうか。
残っている4人の挑戦者が松尾さんと5問の1対1の対決をし、松尾さんに勝ち越したら(3ポイント取ったら)決勝へ進めます。
このクイズ形式だと、誰も抜けられない可能性もありますし、逆に4人全員通過の可能性もあるんですよね。結果的に3人抜けて、ウルトラクイズ史上唯一の3人決勝になりました。
ここでは、松尾さんが優勝したウルトラクイズの第1回の映像が流れていましたが、もし第1回の映像からきちんと残っているなら是非やって欲しいです。さすがに第1回は見たことありませんからね。
今回流れた映像は、この第11回に元々挿入されていた映像でしかなく、本当に第1回の映像がフルで残っているかは定かではありませんが…。
この準決勝ですが、他の回の準決勝に比べ、いささか緊張感が欠けていたような気がします。
松尾さんは勝っても負けても正直どうでも良いですからね。そこに鬼気迫るものや真剣さはあまり感じられませんでした。本来この準決勝は、挑戦者同士での単純な早押し対決であったり、お互い潰し合う形式なので、全員が真剣で鬼気迫る緊張感があったのですが、今回はシステム上どうしても緊張感は出てきませんでした。
そしてここで松尾さんに勝ち越せなかったのは宇田川さん1人でした。
罰ゲームは水上歩行器を付けて日本まで歩いて帰ること。海に入ってはいましたが、まともに立つことすらできない欠陥装置で笑ってしまいました。また、ここでは東武百貨店店歌が流れていましたが、前述もしたようにウルトラクイズは、会社をぶっちぎって参加している人も少なくなく、勝手に長期間休むので、会社からクビになったり処分されたりしないように、このように会社の宣伝をしてあげて、クビにならない(できない)ようにしていたんです。
ウルトラクイズのスポンサーと同業種だったり、もっと言えば他のテレビ局関係者などもいたので、本来宣伝は不可能なのですが、このようなことができるのもウルトラクイズと特別なところでした。今では映像に出てくる缶ジュースやペットボトルにまでいちいちボカシを入れますからね。その辺はこのウルトラクイズのように大らかになっていいのになと思います。そのような心の広い企業は、視聴者も馬鹿ばかりではないので、好感を持つ層も確実に居ると思いますからね。
今のテレビは基本的に、大きなテロップの「ここ笑うところ!」のような例を見ると、視聴者は馬鹿だってことを前提に作っていますからね。逆に馬鹿ではない視聴者には鼻に付いてしまうのではないでしょうか。
ちなみに、この時宇田川さんに「帰国」のテロップは付いていませんでしたが、それはのち程のお楽しみ。
決勝「早押しクイズ/ニューヨーク」(3人→1人)
この決勝前のヘリでの空撮、福留さんのナレーション、壮大なマンハッタンの景色。たまりません。もの凄くテンションが高まります。
今回は少しここで変わったことがあり、先ほど準決勝で敗れた宇田川さんの海で四苦八苦する様子が、この決勝前のヘリから映っていました。単純に考えれば、準決勝後すぐに決勝が行われたのかなとも思いますが、少し捻くれて見ると、宇田川さんは遠目にしか映っていないので、同じ格好の別人で、決勝はやはり後日にやったのかなと。まあどちらでもいいんですけどね。
そしてこの時やっと宇田川さんに帰国のテロップが。正確には「帰国中」でしたが…。この辺の細かい冗談が本当にウルトラクイズは気が利いているんです。
この決勝戦のメンツは面白くて、なんと全員敗者復活組です。山賀さんは泥んこから敗者復活。稲川さんは成田のじゃんけんから敗者復活。高橋さんはハワイから敗者復活です。全員敗者復活戦勝ち上がり組みなんです。
ウルトラクイズでは大概そうなるのですが、今回も決勝は優勝者の圧勝。稲川さんがぶっちぎりで優勝しました。
これまではクイズ知識外にも運や体力、人間関係の要素が入った、趣向を凝らしたクイズ形式が行われてきたのですが、決勝だけはなんの工夫もないシンプルな早押しクイズです。ここでは完全にクイズ知識のみの勝負になり差が出やすいんです。
逆に言えば、ここで圧勝する人は単純のクイズに強い人なのですが、相手の人はかなりの部分それ以外の要素に助けられていたことの証明でもあります。勿論それでもここまで来るだけもの凄いんですけどね。
ここで敗者の罰ゲームは無いのですが、優勝者を称えるシーンで完全無視されていることこそが罰ゲームです。準優勝の罰ゲームは、テレビ画面を独占するような面白いことするわけでもなくただの放置なので、これが本来の意味での罰ゲームですね。
そして優勝者の最後の罰ゲーム…もとい優勝賞品は煮ても焼いてもどうにもならない島でした。島と言っても、満潮時にはほぼ沈んでしまい、干潮時でもやっと島の表面が顔を出しているかな?程度の島。
ウルトラクイズは罰ゲームが主役とは福留さんも言っていたのですが、この優勝賞品もその主役である罰ゲームなんです。
じゃあなんのためにウルトラクイズに?と思われるでしょうが、それはここまで旅をしてきた1ヶ月間の冒険が、何にも変えられない優勝賞品なんです。そしてこの優勝賞品はなにも優勝した稲川さんだけが得られる物ではありまでん。ウルトラクイズに参加した人は皆、この貴重な体験が賞品となっているんですね。
半年後にまたお目に掛かりましょう
遂に楽しい楽しいウルトラクイズが終わってしまいました。
以前の記事でも書きましたが、今のところ第12回、第13回、第11回と、約半年ごとの綺麗な間隔でこのウルトラクイズを放送しています。この前例に倣えば、次は来年2106年1月あたりに放送となりますが果たして…。とは言え、これだけ未だに人気だと分かっている以上、やらない手はないので、一番難関の権利問題さえクリアできればやるはずです。放っておく手はないんです。
これだけ人気なのがわかっているのですから、このままもう他の回はやりませんとはどう考えてもならないと思うので、多分次も他の回を放送します。なので、また半年後にお目に掛かりましょうと最後は締めておきます。
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