みどころ
- 出始めのMr.マリックさん
- コンドーム
- 紅一点阿部さんの脱落
放送日時
日本テレビ本放送:1989年11月9日(木)19:30~21:00
少数精鋭
ウルトラクイズも遂に折り返し地点の第3週。ここまでで人数が14人に絞られているため、今週からは挑戦者たちの個性がよく出る濃密な作りになっていきます。
ウルトラクイズは空撮が好き
ウルトラクイズは世界各地の風光明媚な観光名所でクイズをやることもあり、景色を見るだけでも楽しい番組でした。そのせいか、ウルトラクイズに空撮は付きもので、今回もふんだんに空から壮大な景色を撮影していました。こういうところからも、日本とは違うスケールの大きさを感じることができます。
放送内容
第6チェックポイント「ステレオ 二重音声クイズ/ブルーマウンテン」(14人→7人)
勝ち残り条件:2問同時に出題される問題に両方正解
今週最初のチェックポイントは、オーストラリアのブルーマウンテン、スリーシスターズ前での早押しクイズです。しかも名物の難問クイズ形式であるステレオクイズです。福留さんと小倉さんが同時に問題を読み上げ、両方に正解したら勝ち抜けです。前回の第12回でもステレオクイズがありましたが、私には問題を二つ聞くことすらほぼ不可能です…。これって一般人からしたらまず問題を認識することが不可能ですよね。他のクイズ形式は、クイズ知識さえあれば答えに辿り着くことができると思うのですが、これはその問題すらわからないことが多く、ここはどんなに頑張っても1問も答えられそうにありません。
挑戦者の永田さんも言っていましたが、この荘厳なスリーシスターズの景色から、ウルトラクイズをいつも見ている人なら、誰しも大声クイズだと思ったはず。ところが意外にステレオクイズで驚いた記憶があります。
当時のテレビ放送は、ほぼ全てがモノラル音声だったのですが、この二重音声クイズ部分だけはステレオ音声になる力の入れようでした。実際、この番組を録画している方は、音声の右チャンネルと左チャンネルをそれぞれ選択してみてください。きちんと左からは福留さん、右からは小倉さんの音声が流れています。
ちなみに、当時CMスキップなる機能があるビデオデッキが好評でした。これは本編ではモノラル音声、CMではステレオ音声との特性を利用した物で、ステレオ音声になったら早送りし、モノラル音声になったら再生するという仕組みでした。ただこれは、CMスポンサーになっている企業などから抗議に遭い、すぐに消えてしまいましたけどね。今は本編もCMもステレオ音声なので、もうこの仕組みではできませんね。
第6チェックポイント「モノラル 一問二答クイズ/ブルーマウンテン」(7人→6人)
勝ち残り条件:1問につき正解が2つある問題で2つとも正解
そして7人勝ち抜けた時点でクイズ形式が変わり、今度はステレオ音声クイズとは対極にある、「モノラル一問二答クイズ」です。これは今までとは全く逆で、福留さん1人がクイズを読み上げるのですが、答えが二つあるので、その両方を答えるという物。今までと真逆なので混乱します。
ステレオ音声クイズは、福留さんが「超難問クイズ」と言うほど、公式に超難問であることを認めています。この段階の挑戦者に最後までステレオ音声やってしまうと、いつまでたっても勝ち抜けが決まらない事態になるのではないかとの危惧から、ステレオ音声クイズは良きところで切り上げたんじゃないかと思います。ハッキリ言ってステレオ音声クイズを答えられる人は(良い意味で)おかしいです。
ここで落ちるのは1名のみだったのですが、最年長の小室さんが落ちてしまいました。小室さんは、そもそも東京ドームの第一次予選を、クイズに正解したから突破したのではなく、ウルトラクイズ皆勤賞との条件で抜けたわけで、ここまで来られただけでも十分の健闘だったんじゃないでしょうか。一方、唯一の紅一点だった阿部さんは残りました。
今回落ちた小室さんは、この時40歳でした。全13回皆勤なので、初めて参加した第1回の時は27歳。第1回の時は、他の挑戦者たちと同じくらいの年齢だったんですよね。当たり前ですが、そんな若者も13年たてば40歳になります。
今回の罰ゲームは、スリーシスターズの険しい山道を歩いて空港まで行くという物。勿論、本当そこまではやらせていないのでしょうが、当時構成作家をしていた萩原さんの今だから話せるウルトラクイズブログに、当時の罰ゲームの様子がちょくちょく登場するのですが、国境警備隊に発砲されたり、数時間本当に罰ゲームをやらせたりしていたとのことで、これも平気で1、2時間放置くらいはしていたでしょうね。
ウルトラクイズでは、番組が公式に「敗者こそが主役」と言うだけあって、この時間だけは敗者のただの素人が、ゴールデンタイムで高視聴率の番組の画面を独占できるので、罰ゲームをやりたいなんて人も当たり前にいました。
そして、この「帰国?」の「?」に当時笑いました。こんな細かいジョークがウルトラクイズの面白さの一つであり、番組作りが丁寧な証拠でした。
第7チェックポイント「日豪親善 超インスピレーションクイズ/シドニー」(13人→10人)
勝ち残り条件:2ポイント獲得
今回のクイズは背景にあの有名なシドニーのオペラハウスを従えてのクイズです。毎回ウルトラクイズはこのように凄い背景の中クイズをやるんです。このクイズの背景も番組の楽しみの一つでした。
この頃、オーストラリア最大の輸出国は日本でした。ウルトラクイズは色々な土地に行くのですが、クイズの内容そのものだったり、クイズ前の紹介VTRで、その国や土地の文化を紹介するので、バラエティ番組でありながら、ちょっとした勉強にもなるんです。こういったところが家族向けであり、親もこのウルトラクイズを見ることに何も言わなかった理由でしょう。
今回のクイズは、知識を競う純粋なクイズとは少し違って、日本独特のある物をオーストラリアの人々に見て貰い、その感想を聞いて、それが何か当てるという、クイズと言うよりバラエティ向けのゲームに近いクイズです。こういったところで、クイズだけに強い、悪く言えば頭でっかちな人を落としていくんです。こうやって知識「だけ」の勝負にならないので、一般視聴者も一緒に楽しめるんです。
そしてこのクイズの中で、物ではなく人を当てる問題がありました。Mr.マリックさんがオーストラリアの人々にマジックを見せ、その表情から誰なのか当てる問題なのですが、Mr.マリックさんはこの年大ブレイクした人で、まさに時の人でした。マジックではなくハンドパワーと言っていましたが、この言葉も当時大流行しましたね。Mr.マリックさんが大ブレイクした切っ掛けが日テレであり、特番も同じ枠の木曜スペシャルでやっていたので、その宣伝も兼ねていたのでしょう。
また、もう一つ面白い問題があって、VTRを見せた反応から、何を見ているのか当てる問題なのですが、実は正解がウルトラクイズのVTRだったんです。ウルトラクイズの問題で、ウルトラクイズのVTRを見せて問題にする。面白いです。ちなみにこの問題で、JFKだと言っている人がいましたが、その発想はありませんでしたが、言われてみれば確かにオープンカーに乗って、観衆に手を振っているところだけを切り抜くとそう見えてきます。
そしてここで落ちたのは永田さん、伊藤さん、山本さんでした。
第7チェックポイント「敗者復活戦/シドニー」(3人→1)
勝ち残り条件:最後の1名まで勝ち残り、不正解は即失格
今回3人落ちて罰ゲーム直行かと思いきや、この罰ゲーム自体が敗者復活戦になっているという、趣向を凝らした演出でした。Mr.マリックさんの魔術を習得した者が敗者復活という、クイズに全く関係ない要素です。とは言っても、それぞれ数字に関連付けた物事を覚えていくという物なので記憶力勝負ですね。
罰ゲームはこれに関連して、敗者は記憶力が足りなかったとのことで、問題で出た数字と物の関連付けを、超魔術を使い、一生忘れられないようにするとの物。催眠術の一種でしょうか。
結局、永田さんが復活し、伊藤さんと山本さんが落ちました。果たしてこういう催眠術ってどこまで本当なんでしょうかね。
第8チェックポイント「Mt.Nicholas まァ! うんと憎らし早押しクイズ/クイーンズタウン」(11人→10人)
勝ち残り条件:3ポイント獲得
今回のクイズ形式も少し変わっていて、1問正解すると対決席で指名した人と対決ができ、そこで指名した人と対決して勝つと、指名した人のポイントを総取りできるという物。3ポイント先取で勝ち抜けなので、効率良くやれば2問正解で勝ち抜けられますが、逆に対決席で負けてしまうと、いつまでたっても勝ち抜けできないことになり、サバイバル要素と駆け引きの要素を含んだクイズ形式です。
今回落ちたのは1人だけなのですが、紅一点の阿部さんが落ちてしまいました。これで残る挑戦者は全員男性に…。アメリカの地を踏む女性は今回0という特異な状況になってしまいました。
そして罰ゲームは、南半球で唯一残る蒸気船のお手伝いとのことで、石炭運びなどの男性でも大変な力仕事をやっていました。
テンポの良さ
ウルトラクイズは、途中でブツッと切れてスタジオに行き、芸人がワイワイ喋るパートがないので、見ているこちらも集中して番組を楽しめます。
突然スタジオに戻って全く違う空気を感じたり、一番盛り上がるところでCMなんて山場CMもないので、ひたすら目の前で起こっていることに、なんの雑念もなく集中できるのは非常にありがたく、そして番組を楽しむことだけに注力できるので、本当に見やすい番組です。
老若男女が楽しめる番組
今のバラエティは下品すぎたり暴力的だって事で、クレームがすぐに付いてしまいますが(こういうクレームもどうかと思いますが)、このウルトラクイズは老若男女全てが楽しめる内容でした。
「老若男女楽しめる」と言うのは簡単なのですが、これは改めて凄いことなんだと見て思いました。どこかにターゲットを絞れば、どこかのターゲットは外れるのが普通です。若者向けに作れば高齢者はあまり楽しめませんし、高齢者に向けて作れば若者はあまり見ません。ところがこのウルトラクイズは、本当に老若男女が見て楽しめるんです。これは番組作りの上手さもありますが、クイズ番組という特性も大きいんでしょうね。
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