漫画全話レビュー「めぞん一刻 第142話「ワンモア・ピリオド」」 5/5 (3)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1986年10月27日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1986年9月 三鷹瞬、五代君に最後に会いに行く
  • 1986年9月 三鷹瞬、明日菜さんとともに人生を歩むことを決意し、響子さんと完全に決別する

 

この頃のでき事
  • 10月1日 - 近鉄東大阪線の長田駅(大阪府) - 生駒駅(奈良県)間が開通。大阪市営地下鉄中央線との相互乗り入れを開始。
  • 10月1日 - 本田技研工業が「NSR250R」を発売。
  • 10月1日 - 住友銀行が平和相互銀行を救済合併(平和相互銀行事件も参照)。
  • 10月1日 - アメリカ合衆国フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートが開園15周年。
  • 10月3日 - ソ連海軍の戦略原子力潜水艦K-219が、バミューダ沖で哨戒中、原子炉の暴走事故を起こす。
  • 10月11日 - 米ソ首脳会談。アイスランドのレイキャビクでレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が会談。
  • 10月12日 - 広島が、2年ぶり5度目のセ・リーグ優勝決める。
  • 10月24日 - テレビ朝日の音楽番組「ミュージックステーション」が放送開始。
  • 10月25日 - 本田技研工業が「インテグラ」4ドアセダンを発売。
  • 10月27日 - 日本シリーズ第8戦、西武が3連敗から4連勝で日本一。

 

あらすじ

明日菜さんの妊娠だと思って結婚を決めたのが、実は犬の妊娠だったとわかり落ち込む三鷹さんは、キャバレーでバイトをする五代君に会いに行きます。そこで三鷹さんは自分の思いを吐露し、自分にはできなかった響子さんを幸せにすることを五代君に託します。その後、三鷹さんの家に来た明日菜さんとの会話の中、明日菜さんと人生を歩むことを決意します。

 

みどころ

  • 三鷹さんが五代君に響子さんを託す思い
  • 三鷹さんが明日菜さんと人生を歩むことを決意する様子

 

はじめに

今回は遂に三鷹さんが退場する話です。もう最後の結婚式後の1シーンとエピローグ以外、このめぞん一刻の世界には二度と出てきません…。いつかはこういう日が来ることがわかっていたのですが悲しいです…。だって三鷹さんですよ。五代君、響子さん、三鷹さんと言う、めぞん一刻の物語の中心を成していた三角関係であり、三大登場人物の一角がここで退場なんです。…これがどのような意味を持つかと言うと、もう終わりはすぐそこってことなんです。そりゃ当たり前ですよね。最も重要な3人の登場人物のうち、1人がいなくなるわけですから、もうゴールがすぐそこに見えるんです。

 

無理なのはわかっているのですが、永遠にこのめぞん一刻の世界を楽しみたい自分がいるので、ゴール=嬉しいわけじゃないんです。面白い物語ほどこの感覚襲ってきますね。

 

最後の五代君と三鷹さん

犬の妊娠だとわかった三鷹さんは、今回は響子さんではなく五代君に会いに行っていました。一応気持ちの整理としては、響子さんとのお別れは前回きっちり済ませましたからね。こうなると大好きだった響子さんが幸せになれるかどうかに関心が移ったようで、不本意ながらその相手はもう五代君しかいないので託すしかありませんでした。

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1人の女性を5年追い掛けるってのはなかなか凄いことだと思うのですが、三鷹さんはこの5年ずっと響子さんを争ってきた五代君だからこそ、響子さんを思う気持ちは本物だとわかっているのでしょう。どんなに立場の差があろうと、三鷹さんがアプローチしようと、五代君は一切引きませんでしたからね。もしかしたら、響子さん自身より、五代君が響子さんを好きなことは三鷹さんが一番知っているのかも知れません。

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準優勝

五代君への叱咤激励を済ませた後、明日菜さんが三鷹家へ来ていましたが、そのとき三鷹さん中学時代の準優勝の写真が…この話は凄くよくできていて印象に残っています。

 

 

三鷹さんは準優勝でも写真では笑顔でいたのですが、どことなく寂しそうだと感じた明日菜さんは、自分との結婚に対する態度と似ていると感じていました。これって要は、優勝=響子さん、準優勝=明日菜さんってことですよね。そして準優勝で笑って写真に写っていた三鷹さんに、「嬉しくなくても笑えるんですよね…」と。この優勝、準優勝、準優勝でも表向き笑える三鷹さん、そして自分が優勝カップではないことを感じる明日菜さんの下りは、本当に上手すぎて感心してしまいます。何度読んでもこの流れは綺麗です。

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そしてくだらないギャグだけど必死で三鷹さんを笑わそうとする明日菜さん。そんな健気で、自分を愛してくれる明日菜さんを見て、「ゆっくり幸せになりましょう、ずっと一緒なんだから」と。この辺はもう気付いたら毎回涙ぐんでしまいます。なんて良い話なんでしょう…。そして心の中で本当に響子さんにさようならと決別する三鷹さん。この三鷹さんの内心のセリフは、誰に向かって言ったわけでも無く、自分の心の中だけで思ったことなので、嘘偽りなく、飾る必要もない場面なので、ここで本当に心の底から響子さんに別れを告げたのでしょう。これで本当にさよならですよ三鷹さん…。

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犬の妊娠がとんでもなく良い話になった

しかし思い返せば、三鷹さんと明日菜さんが結婚したのは、犬の妊娠を三鷹さんが勘違いしたことでした。発覚当初、三鷹さんはやっちまった感満載で、物凄くショックを受けていましたし、読者も「あ~あ、やっちまったなw」と、半分笑いながら読んでいたと思うのですが、あれよあれよという間にこんな泣けるほど良い話になるとは思いもしませんでした。犬の妊娠を勘違いして結婚ですよ?何故これをこんな良い話に着地させることができるのか…。高橋留美子さんの発想力や展開力恐ろしいです…。

 

もし犬の妊娠を勘違いして結婚しました、チャンチャンでは、読者の中では三鷹さんが本当に幸せなのか心に残ることになり、めぞん一刻が完結しても少し心に引っかかる部分ができたと思います。しかし三鷹さんも納得ずくで、完璧に響子さんにケジメを付け、そして幸せになることを明確に予感させる退場のさせ方だったので良かったです。この三鷹さんと明日菜さんの遣り取りは、たった8ページなのですが、この8ページがあるかないかでは雲泥の差です。この8ページに三鷹さんも明日菜さんも、そしてなにより読者も救われました。

 

 

総評

遂に主要登場人物であった三鷹さんが退場してしまいました。三鷹さん退場はかなり衝撃でした。勿論いつかは来ることはわかっていましたし、退場しなければならなのですが、前述もしたように、三角関係の一角であった三鷹さんの退場は確実にゴール(完結)が見えたことを意味しており、「遂に終わりがもうすぐ来てしまう…」との思いでショックでした。永遠に続くわけがない、そんなことはわかっているんですけどね…。

 

そして五代君のライバル三鷹さんが退場したとなれば次はそう、響子さんのライバル(?)こずえちゃんの退場に話が移ります。めぞん一刻はこうやって主要登場人物皆に退場シーン、言ってみればそれぞれの最終回が描かれているのも素晴らしいことのひとつです。

 

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