目次
全体のあらすじ
平凡な高校生である泉新一は、ある日突然飛来してきた「パラサイト」の襲撃を受ける。間一髪で脳への寄生は免れるが、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活が始まることに―。周囲に真実を話すことができず悩んでいた新一だが、やがて新一とミギーは友情に近いものを感じるようになっていく。
しかし、新一とミギーの前には他のパラサイトが現れ始め、次々に人を殺し、また人がパラサイトを殺す事態に発展。新一の同級生・里美にも危険が迫る。その中で、高校教師として目の前に現れた田宮良子らパラサイトたちにもそれぞれの価値観が生まれ始める。 「われわれはなぜ生まれてきたのか?」
地球を壊し続ける人間たちを淘汰するために生まれてきたというパラサイトたち。そのパラサイトを殺し、生き延びようとする人間たち。「果たして生き残るべきはどちらなのか?」それでも、地球を、そして愛する人を守らなければいけない。ゆらぐ価値観の中で、新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく。
今回のあらすじ
パラサイト側のリーダーである広川も仕留め、残りは残党を始末するのみと思いきや、最強のパラサイトである後藤の手によって、窮地に追い込まれる特殊部隊!後藤だけは仕留められなかった事実を前に、その影に怯える新一・・・。そんな新一にも最後に勇気をくれる人が!!
原作漫画だと
- 第55話 「寄生獣」途中から
- 第56話 「首」
- 第57話 「ヒーロー」途中まで
サブタイトルの元ネタ
サブタイトルは書籍名から取っているのですが、今回はこちら。
原作漫画との違い
山岸の首が落ちてくる所、新一が夢で見た自分の首が切り落とされたシーンがマイルドに。
新一が村野を道ばたで抱きしめていたときに、オバさんが痴漢だと勘違いするシーンがカット。
その他若干台詞の改変がありました。
人間広川市長
広川市長は、選挙時から散々パラサイトだと思わせる見せ方をしてきたのですが、実は人間でした。人間がパラサイトと仲間になって同じ価値観、目的で行動していたんですね。
この寄生獣は、一貫して何が正しくて何が間違いなのか、誰が味方で誰が敵なのか、人間とパラサイトの違いとはなんなのか。こんなテーマがあるのですが、今回はそれがわかりやすかったです。実際にこういうことが起こったとして、間違いなくパラサイトの思想に共感して、味方をする人間が出てくるでしょう。
山岸の最後
山岸はパラサイトと変わらぬ化け物のような描写はあったもののの所詮は人間。後藤にあっさり殺されてしまいました。狭い空間では跳躍戦法使ってくるパラサイトに勝ち目はないと見て、跳躍できない広い空間である屋上へおびき寄せたつもりだったんですけどね。後退している間に部下が全て殺されてしまいました。以前、新一が火炎放射器を薦めましたが、それこそ狭いところで広範囲に攻撃できる火炎放射器は理にかなっていたのも知れません。しかし、海外ドラマの「24 -TWENTY FOUR-」のジャック・バウアーと声が同じ小山力也さんだったのいで、どうも死ぬって事とは無縁に思ってしまいますが。
浦上の脱走
今回、やはりと言う他ないのですが、浦上が脱走してしまいました。そりゃあ連続殺人鬼の手錠を取って、そこら中に銃があっちゃねえ…。
ここでも少し考えさせるシーンがあって、浦上は「どうせ死刑になるんだから」と言って、あっさりと真面目に応対してくれていた刑事を撃ち殺し脱走してしまいました。死刑の是非が議論される時に、この理屈は良く取り上げられて、そしていつまでたっても結論が出ないんですよね。
死刑があると、それが恐れになり犯罪の抑止力になるのか、それとも、重大犯罪を犯すと、捕まったらどうせ死刑になることが確定してしまうので、より暴走してしまうのか。死刑制度が抑止力になるのかどうかで、この議論は終わりが見えません。こんな事も作者は問いかけているのかも知れません。
普通このような社会的メッセージを作中に入れると、説教臭くなって面白さ半減なんてこともよくあるのですが、寄生獣はそれでも面白さが減らないどころか、更に面白くなっている珍しい漫画です。
新一と村野
今回、新一と村野が結ばれましたが、恋人同士なのでいずれこうなって当然ですね。恋人同士で付き合っているのに、一切こういうことがないと、逆に不自然に感じてしまいます。
絵もBGMも演出もやはり軽い
やはり絵もBGMも演出もどうしても軽く見えてしまいます。ズシンと重いテーマーであり、陰影がある不気味な絵こそが寄生獣だったのですが、絵は陰影がなくのっぺりとし、非常に薄味になってしまっています。BGMも山岸が死ぬときに、アップテンポの軽妙な曲でした。BGMは根本的に曲数が少なすぎるような気がします。たった数曲を色んなシーンで使い回しているんじゃないでしょうか。また、人が次々に殺されていくプレッシャーや重みもあまり感じられない見せ方で、ここ最近のアニメのできには正直がっかりしています。
そして。その岩明均さん独特の絵柄、陰影、不気味さを表すためたのか、アニメの表情はやたらとわざとらしいです。わざとらしすぎて逆にもの凄く軽く、チープに見えてしまいます。凄く気になります。
広川とシャアには通じる部分がある
広川市長は人間なのにパラサイト側に立っていたので、一見すると人間の敵であり、人間の滅ぼそうとしているのかと思われるでしょうが多分違います。
広川市長の今回の演説を聴いていると、あくまで人間が生き残るためにはとの視点で語っており、そのためには人口を減らさなければならないと言うのが基本線です。決して人間なんて滅びれば良いなんて言っていないんです。そのためには、食物連鎖の頂点に60億の人間がいる歪なピラミッドを、パラサイトがその頂点に立つことで、正そうとしているのではないかなと思います。
これって「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のシャアと被ります。人類、地球を救うため、人間を地球から一旦追い出す、人数を減らす。シャアの過激な思想や方法も、最終的には人類を救うためでしたからね。アムロと方法は違えど人類の未来を考えてのことだったんです。
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