アニメ全話レビュー「機動戦士ガンダム 第43話「脱出」」

あらすじ

機動戦士ガンダム

相打ちになり、大破したガンダムとジオング。機体を捨てて真に倒すべき敵を認識するアムロの前に、シャアが生身で立ちはだかる。銃や剣で殺し合う、宿命の二人…。妹のセイラに別れを告げたシャアは、兵を見捨てて逃亡するキシリアを葬り去り、戦いに決着をつけた。一方、爆風に流され、絶望的な状況の中でアムロは…。

 

見どころ

  • ラストシューティング
  • アムロとシャアの最終決戦
  • 脱出

 

死亡登場人物

ジオン軍
  • キシリア・ザビ(シャアに撃たれ死亡)

 

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はじめに

遂に最終回です。

 

連邦とジオンの戦争の行方は、アムロとシャアはララァのことについてどう咀嚼するのか、ホワイトベース部隊の行く末は、などなどあらゆる物事に決着が付きます。決着は付きますが、途中で打ち切りが決まったためか、完全に決着を描写して終わらせると言うよりは、ある程度ぼやかしてあとは視聴者の想像に委ねるところもあり、決着と想像でバランスの良い最終回です。視聴者の想像に丸投げしてしまう最終回は大嫌いなのですが、これくらいのバランスは好きです。

 

放送内容

次々と壊れてゆくガンダム

最終回で子供心に何が衝撃だったかと言えば、今まで無敵で頑丈だった主役MSのガンダムが、腕を破壊され頭を破壊されと、いとも簡単にボロボロになっていくところでした。シャアのように、主人公のアムロも次々MSを乗り換えていれば、別にそのうちの一つが壊れても何の感情も無かったんですけどね。初回から最終回までたった1台のMSにしかアムロは乗っておらず、例え機械と言えど、もはやガンダムはアムロと同じように主人公で感情移入してしまっていたので、ガンダムが朽ち果てる姿は悲しかったです。

 

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そして…有名なラストシューティングがやってきます。

 

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アムロがこの物語の主人公は言わずもがななのですが、ガンダムももはや主人公の1人と言っても良いくらいなので、ここで完全にガンダムが破壊され動かなくなると言うことは、主人公が死んだのと同じ思いを視聴者に与えます。人格の無いたかが機械なんですけどね…。ここまで機械一つが破壊されたことで悲しくなったことはありませんでした。

 

しかしガンダムはなおも死なず。朽ち果てたガンダムは最後にアムロを救います。ボロボロになりながらもアムロを救う希望になるガンダムを見ると、悲しくも切なく、それでいて頼もしく思えました。結局この物語は、偶然にもガンダムを見付け、乗り込んで「出撃」することから始まり、最後もまた偶然にもガンダムを見付け、乗り込んで今度は「脱出」することで終わるんです。ガンダム今まで有り難う。

 

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ホワイトベース大破

ガンダム同様なのですが、最初から最後までずっと出てきたホワイトベースも今回大破してしまいました。

 

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アムロ達はもはや家もなく、帰る場所もなく、ホワイトベースで暮らすしかなくなっていたので、まさに家の感覚だったのでしょうね。今までホワイトベースでいろんな事があったなあと感慨に耽ってしまいます。

 

アムロ対シャアの肉弾戦

これまで散々アムロとシャアはMSで戦ってきていたのですが、最後にどう決着が付くのかと思えば、そのMS戦ではなく生身の肉弾戦でした。基本的に子供はロボット格好良い、ロボット同士の戦いが格好良いとのスタンスだったのですが、最後に人間同士の肉弾戦とはある意味地味ですし賭けですね。ただそうしないとまともな会話が出来ず、ララァの事を咀嚼出来ないので必然だったのかも知れません。

 

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この肉弾戦はアムロの判定勝ちです。人間同士の戦闘では訓練をしないと勝てない、つまりシャアは自分が有利だから肉弾戦に誘い込んだのですが、結果的には軍事訓練もまともに受けていないアムロが、士官学校を優秀な成績で卒業し、訓練をしっかり受けている職業軍人のシャアに判定勝ちしてしまいました。判定勝ちとは、アムロはシャアの頭をしっかり狙い、ヘルメットが無ければそれが致命傷になり勝っていたからです。ちなみにこのヘルメットですが、以前ララァが「これからはノーマルスーツを着て下さい」と忠告していましたが、ニュータイプとしてこのことを予見したいたのだと思われます。

 

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シャアはガンダムに挑んでは部下を全滅させ逃走しているので、一部でネタになってしまっているのですが、本来の目的である「打倒ザビ家」との視点で見てみると、ガルマを謀殺し、キシリアを自らの手で殺害しており、デギン、ギレン、ドズルも戦死と、目的は完全に達成しているんです。打倒ザビ家の目標一点で見てみると、シャアにとっては部下が死のうが生きようがどうでもいいとも言えるわけで、ザビ家をほぼ全滅させ目的は達成されているので有能なんです。

 

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集大成

最終回なので当たり前なのですが、今回は今までガンダムで出てきた話の集大成でした。言うのは簡単ですが実際にやるのは難しいです。それは見事なくらいの集大成で感心してしまいます。

 

まずコア・ファイターが分離するシステムであること。

 

アムロは脱出を諦めるのですが、たまたま爆風で飛ばされたその先に、朽ち果てたガンダムがあり、そこからコア・ファイターだけを取り出して脱出したのですが、まさかここでコア・ファイターシステムが生きるとは思いもしませんでした。

 

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ガンダムは途中で打ち切りが決まったため最終回も変更したので、最初からコア・ファイターを利用した話だったわけではないはずで、途中で思い付いての事だと思うのですが、それにしては不自然無く上手いこと使いました。

 

そしてカツ、レツ、キッカの存在。

 

カツ、レツ、キッカは、以前ジャブローで育児施設に預けるか、それともこれまで同様ホワイトベースで連れて行くかの分岐点があったのですが、ここでもしジャブローに彼らを残してきたら、アムロのこの脱出はあり得なかったんです。カツ、レツ、キッカの存在は、結果的にこのためだけにあったと言っても過言ではないくらい重要な役割となりました。

 

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最後にニュータイプについて。

 

作中ニュータイプは、とんでもなく恐ろしい力を持っていて、戦局をも左右しかねず、両軍で研究が進んでいるなんて話がありました。また、シャアはニュータイプが戦争の道具になるのは許せないとも言っており、ニュータイプとは戦争に多大な影響力を持っている者として主に描かれていました。しかし最終回では、人を殺す道具としてクローズアップされたニュータイプ能力ではなく、人を生かすためにニュータイプ能力が使わました。追い詰められたホワイトベース各員に、アムロのニュータイプ能力を使って生きるための方策を指示する。恐ろしいと言われていたニュータイプ能力も、使い方次第で人を生かすことに使えるとの表現です。

 

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このように、今まで作中で出てきたキーワードを、上手く最終回で利用し、今までのストーリーとの繋がりが見え、ガンダムを通して見て良かった、なんて壮大な物語なんだろうと感じることが出来ました。

 

最終回だけ今までの話と切り離して特別にするわけではなく、あくまでこれまでの流れの集大成としての最終回なんです。唐突になにかキーワードや装置が出てくるわけではなく、今まで出てきた物事のまとめなんです。それがこのガンダムの最終回はたまらなく好きです。

 

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シャアの行く末

このテレビ版では、シャアの生死は不明です。これがのちに議論になったようで、その後公開された劇場版では、最後にグワジンの窓に映るシャアの影が追加されました。これは当時嬉しい衝撃だったようです。私はリアルタイムで観ていた世代ではないのですが、この時の衝撃は想像に難くありません。劇場版最後に初めてこの追加シーンを見たら、思わずガッツポーズをしてしまうでしょうね。

 

おわりに

今回も全話レビューなんとか完走出来ました。

 

劇場版が本当に良く出来ていて、こちらはもう何十回と見ています。テレビ版は全43話で、OP、EDを抜いておよそ本編が22分あり、合計約946分、15.8時間、およそ16時間なので、中々通して見る機会は無いのですが、今回細かい部分まできちんと見てみると、新たな発見や気付いていなかったところなどもあり面白く見ることが出来ました。

 

子供の頃見ていた自分の気持ちを思い出しながらも見ていたのですが、ミライとスレッガーのラブロマンスを記憶に止めていた記憶はないので、このような子供には理解出来ないガンダムの深い部分、大人の部分は、「…まあそれはそれとして…MSかっけええええ」で見ていたんだなと、久々に子供の自分を思い出しました。

 

子供は子供で面白いと思う部分だけを脳内に入れて繋げて楽しみ、大人になってからは深い部分まで理解して楽しめる。このような多層構造の物語を作れるのは凄いです。「子供も大人も楽しめる」と言うのは簡単なんですけどね。

 

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また、今のガンダムではわざとらしくなってしまったガンダム独特の言い回しも痺れました。いわゆる富野節と言うやつ。この1stガンダムではギリギリ鼻に付かない、自然とわざとらしいのギリギリの境界線を突くような絶妙の言い回しや、気持ちの良い語感がなんとも言えない味を出していました。この1stガンダムでは、視聴者が勝手にこれは名台詞と認定をしていたように思うのですが、今のガンダムは「どう?これ名台詞でしょ?」の押しつけ感がどうも気になります。

 

やはりガンダムは面白いです。テレビ版は作画やストーリーの整合性に随分粗も目立つのですが、それでも劇場版には無いテイストの人情味溢れる話だったり、シリアスな劇場版とは合わない興味深い話もあり、これはこれで面白いもんですね。

 

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