目次
あらすじ
謎めいた転校生・一社高蔵は、同じクラスの日比野光が持つ超能力に気づいた。そしてその力を、世の中の間違いを正すために使うよう、日比野に強要する! そんな彼が提案した、世直しのための第一歩、それは「携帯電話を使いながら車を運転してる奴を殺せ」!
自分以外皆愚民
この鬼頭莫宏さんは、いわゆる中二病全開の漫画が大得意です。
自分は天才で人とは違う。自分以外は皆愚民。自分の(偏った)考えで世の中を変えてやる、人を導いてやる。一見正論に聞こえる(偏った)理屈。この辺を表現させたらピカイチです。今風に言うとサイコパスとでも言うんでしょうか。中二病とは恥ずかしい事として認識されていますが、その中二病もここまで突き抜けてやり通せば、立派なお話になるんだって見本のような漫画をよく描いています。
中二病と言っても、現在認識されている物にはいくつかあります。「中二病でも恋がしたい!」なんてアニメもありましたが、ああいったアニメの中のキャラになり切る系統ではなく、この漫画は前段でも述べたように、自分は特別で周りはみんな馬鹿って系統の中二病です。
テーマは人間社会のルール
今回のテーマは「人間社会のルール」みたいですね。社会的制裁を受けない小さな決まり事や暗黙の了解から、殺人や強盗など大きなルールまで、人間の社会にはあまたのルールがありますが、果たしてそれは正しいのか?機能しているのか?どこまで守らせれば社会は良くなるのか?守らない人間への罰は?なんて話です。
たまたま主人公の日比野光が、数センチ四方から数十センチ四方の空間を入れ替える超能力を持っていて、それに目を付けた転校生の一社高蔵が、その超能力を利用して世直しをします。例えば、ルールを守らない人間を見つけては、地面のアスファルトと対象の人間の脳を数センチ入れ替えて、遠くから証拠なく、手を汚さずに殺すなんて具合です。勿論警察も馬鹿じゃないので、解剖をしたりして不審な点を見つけ追い詰めていくのですが、いかんせん指紋をはじめとする証拠はほぼありません。今のところ主人公側がやりたい放題をしている状況です。このような理屈ややり方は、前段でも述べたとおり、中二病全開なのですが、その理屈や方法が突き抜けているので、これはこれで楽しめてしまうんです。
デストロイ アンド レボリューション
この「なにかもちがってますか」はさん森恒二さんの「デストロイ アンド レボリューション」とそっくりです。
超能力を使う。その超能力を導くのは能力を持っていない友人。その超能力で歪な社会を変えて理想の社会を作る。話の骨子はまるっきり同じです。ただ、このなにかもちがってますかの方が「突き抜けて」います。言葉で表現するのは難しいのですが、自分を正当化する突き抜け方や、サクサク人を殺していくサイコパス加減なんかが凄くて、カオス度合いだと、なにかもちがってますかに軍配が上がります。
デストロイ アンド レボリューションは、あくまで最低限のリアリティは追求しており、「まあ人間ならこうするだろうな」、「こういう方法も採るだろうな」との話で進むのですが、このなにかもちがってますかは、中学二年生の14歳がやることなので、その辺の歯止めや躊躇、思考がありません。とにかく思ったことをガンガン実行してしまうんです。そうやっていった結果、とんでもないことになり、登場人物皆不幸。どんより後味の悪い終わり方なんてのが、鬼頭莫宏さんのお得意の作風なのですが…。
話の展開はある程度読める
鬼頭莫宏さんの漫画は、ほとんどの場合、最終的にはカタストロフィへと収束していきます。主人公含め、登場人物が偏った正義感で行動したり、理不尽な世界に放り込まれ、ほぼ全員が死んだり不幸になります。いわゆる気分が悪くなる系の漫画ですね。この気分が悪くなる系の漫画が上手い人は、気分が悪くなるのに何故か読むのをやめられない、面白いのが特徴です。この代表的な漫画家が鬼頭莫宏や新井英樹さんです。新井英樹のザ・ワールド・イズ・マインはその最たる漫画です。
カタストロフィが好きな漫画家ですから、おそらくこのなにかもちがってますかも、この後無茶苦茶な世界になっていき、主要登場人物も何の救いもなく死んで行くと思われます。
凄く独特の世界を描く漫画家なのですが、面白く「読ませる」ことが上手いですし、この手の漫画が好きな人にはお勧めです。
こんな人にお勧め
- 鬼頭莫宏漫画が好きな人
- 新井英樹漫画が好きな人
- 中二病が好きな人
- カオスな漫画が好きな人
- カタストロフィが好きな人
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