アニメ全話レビュー「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 第20話「ラファエロ砂漠へ」」 評価はまだありません

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今回レビューするのは、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOの第20話です。

 

それでは早速レビューを書いていきたいと思います。

 

ちなみに、YU-NOの解説・考察は別記事にまとめましたので、気になる方はご一読ください。

 

先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。

 

あらすじ

セーレスを亡くし、神帝に復讐するため砂漠を越え帝都に向かう決心をするたくやとユーノ。
危機を乗り越え、帝都に近づく2人であったが、突然現れた帝都の兵士に拘束されてしまう。
そしてたくやは採掘場と呼ばれる「収容所」に連れて行かれるのだった…

 

みどころ

  • セーレス死亡

 

初登場人物

  • サラ

 

感想

セーレス死亡

今回セーレスが死亡しましたね…。ゲームでやっている時は衝撃でした。ただ、ここも原作のゲームとはかなり流れが変わっていました。

 

原作だと、セーレスが近衛兵に処女かどうか確認され、プレイヤーの受け取り方によって微妙なのですが、レイプされたようなされていないような際どい描写でした。原典のPC98版だと、セーレスは半裸状態にされており、胸もはだけてそこに近衛兵の手が…。

 

一応、近衛兵はこのときセーレスが巫女としての能力(条件)をまだ持っているかのチェック…つまり、処女かどうかを見ていて、そうではないとわかったので、じゃあせっかくだからやっちまうか…となったのだと、私は当時解釈していました。ここは明確にレイプ描写があったわけでも、絵でハッキリ分かるわけでもないので微妙なところです。そして、たくやの前で辱めを受けたセーレスはその場で舌を噛んで自殺との流れでした。

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アニメではどうだったのかと言うと、処女チェックはしていたようですが、セーレスの服は乱れていなかったのでレイプはありませんでした。その後、たくやが近衛兵を1人倒すも、セーレスを人質に取られてたくやが捕縛されてしまいます。しかし、セーレスが近衛兵の短剣を奪い取りその場で自殺。自殺する意味がわかりません…。また、原作だとたくやは近衛兵を倒すこともなく、為す術もなく多勢に無勢でフルボッコされるだけでした。

 

前述のように原作ではレイプされた、もしくはされそうだったので、辱めを受けての自殺はわかります。しかし、今回はレイプされていませんし、自ら近衛兵から逃れることに成功したのに自殺しました。

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可能性としては、自分がいるとたくやが身動き取れないからでしょうか。しかし、巫女に自殺されたら困るので、近衛兵もこのとき固まったのであって、自身を取り引き材料にたくやも自由にできたはず。それとも近衛兵に自分の存在が知れた時点で終わりと言うことなのでしょうか。もしくは、運命としてユーノが巫女を引き継ぐことを不思議な能力で知っていたか…。

 

正直、この辺はあまり制作側は考えていないような気がします。このときのイベントとしてセーレスが死ぬことが決まっている。だからセーレスはここで死ぬんだ。このような理解である気がします。これまでも動機や背景、登場人物の気持ちを軽く扱っていることが多かったですからね。

 

ちなみに、セーレスが喋ったことに近衛兵は驚いていましたが、巫女は喋ることと引き換えに巫女の資格を得るとが今回のことでわかります。また、近衛兵はケアレスと言っていましたが、帝都ではセーレスではなくケアレスと呼ばれているようです。

 

ちょっとここで笑ってしまったのは、近衛兵がクラッカーのような武器を使っていたところです。たくやと対峙した時に右手でクラッカーをヒュンヒュン回しはじめて「へ?」とちょっと笑ってしまいました。勿論、こんな描写は原作ではありませんでした。この後も色々変な演出があるのですが、その演出が安っぽいと言うかチープです。

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駄目な改変の基準として、以前の記事で『何故変えたのか理由がわからない改変』と書きましたが、最初の数分でこれが連発でした。

 

ユーノとセーレスは一緒

セーレスが自殺した直後場面は変わり、森にいるユーノに会いに来るセーレス。そして、ユーノを抱きしめるセーレス。これもアニオリでした。この後、ユーノは母親のセーレスは心の中に一緒にいると時々言うのですが、それを具現化して見せたかったようです。ただ、心の中に大切な故人がいるとの表現は、巫女云々ではなく、人としてよくある表現なので、本当に心の中にいるんだとの描写はどうなのでしょう。

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巫女の不思議な力のおかげで、本当にユーノの中にセーレスが存在するとして、ハッキリ話さずに臭わす程度の原作の方が想像をかき立てられたり、人による解釈の違いがあり、それはそれで良かったですし、十分成り立っていました。このアニメの場合、仄めかす程度のことや、視聴者の想像に幅を持たせるようなことを、ハッキリ登場人物に喋らせたりし、白黒ハッキリさせることが好きなようです。しかし、このような神秘的なものの場合、白黒ハッキリ付けない方が逆に良いこともあるはず。この辺の演出の拙さや浅さを感じてしまいます。

 

サラとの会話でも心の中にセーレスがいると言い、自分で自分と会話するようなことをしていましたが、この様子だと今後のストーリーにこの設定が出てきそうな予感がします。巫女なので多少不思議要素はあるに押しても、基本的に気持ちの話だと思っていたのですが…。

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リフレクターデバイスの扱い方

さて、今回私が最も注目していたリフレクターデバイスの扱いですが…。近衛兵に収奪されて使えませんでした…となりました。

 

ここも少しおかしくて、命より大事かもしれないリフレクターデバイスを家に放置。しかも近衛兵が速攻見付けると言う…。そもそも、たくやの頭の中にリフレクターデバイスのことは全くなかったようで、セーレスがピンチの時も「リフレクターデバイスを使わなければ!」とは思わなかったようです。

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リフレクターデバイスを見付けた近衛兵は、「帝都の神器だ!」と言っていました。また新たに大きな設定を作ってしまったような気がするのですが…。これはどうするのでしょう。確かに原作では、リフレクターデバイスは、誰がいつどのように作ったのかなんて話はありませんでした。ただの神秘的な道具との立ち位置で、だからこそ説明不要でした。帝都の神器となると、そこに説明が必要になってくるような気がします。何故神器なのか、これまでどうなっていたのか、誰が持っていたのか、どこに保管されていたのかなどなど。

 

リフレクターデバイスの設定には裏設定があり、たくやとセーレスの娘が新たな巫女になることを、事象の間から知った有馬広大がたくやに送ったことになっています。素直に考えるならここをアニメ化するのでしょう。

 

これも以前の記事に書きましたが、ただでさえ複雑な世界の話なのに、そこに自らまた面倒な設定を足し、更に作るのを難しくして大丈夫なのでしょうか。これまでを見た限り大丈夫とは思えませんが…。

 

セーレスの亡骸を帝都に運ぶ?

これもアニオリだったのですが、近衛兵がセーレスの亡骸を帝都に運ぶと言って持っていきました。原作だと、たくやが気絶している間に、近衛兵がセーレスの亡骸を埋めて簡単なお墓を建てていました。

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これも少し考えさせられる部分で、近衛兵はたくやにとっては当然悪なのですが、彼らは彼らで巫女を信仰し、神帝の命(と言うことになっている)により正しいと思うことをやっているに過ぎませんでした。だからこそ巫女が死んだら手厚く…とまではいきませんが埋葬したしたのでしょう。これは、この先の異世界文化の成り立ちや衰退の真実を知るとわかります。

 

たくやは自殺に追い込んだ近衛兵が作ったお墓にセーレスを埋葬しておくのは許せず、自分で新たに花が満開だった崖にお墓を作りました。そして、砂漠を越えて神帝に土下座させることを誓い別れを告げました。このようなセーレスへの思い、神帝への憎悪がわかる象徴的な話もアニメで全部カットです。セーレスとお別れする大事なシーンなのですが、これが完全にカットされたのは実に勿体ないです。アニメの描写だと、セーレスが自殺してその後さっさと砂漠越えとなり、セーレス死亡の余韻もへったくれもありませんでした。

 

セーレスの亡骸を帝都に運ぶと変えた理由はさすがになにかあるのでしょう。このあと帝都に行った時、巫女の亡骸がなにかに利用されていたりして話に絡んでくるのだと思います。

 

神帝がたくやがいることを認識した

原作では最後の最後まで神帝の姿も声もわかりませんでしたが、アニメは異世界編最初から神帝がちょくちょく出てきます。そして、今回も神帝が登場したのですが、そこでボーダーから帰還した近衛兵により、たくやと言う名前の青年がいることが報告されていました。神帝がこの時点でたくやの存在を完全に認識してしまいました。これも当然アニオリなのですが、またまたラストの衝撃が減るようなことをやってしまいました。

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ここから次のオレンジ色マーカーまでネタバレが含まれます。

 

ここは個人的にかなりやっちゃった感のある謎の前倒しだと思います。神帝は物語終盤にたくやと出会い、薄々この世界にいるかも知れないとは気付いていたものの、ハッキリとは分からなかったたくやが突然目の前に現れ、懐かしさ、郷愁、この世界でできてしまった立場の乖離、因縁が複雑な心境をプレイヤーに読み取らせてくれたのですが…。そうですか…。もう亜由美はたくやが異世界におり、セーレスとの間に子供をもうけ、ユーノがたくやの娘だとこの段階で知ってしまいましたか…。

 

これも散々以前の記事で書いてきたのですが、本当にこのアニメは『謎の前倒し発表』ばかりです。非常に難しい話なので、早くに謎を出しちょっとずつ答えを出していく意図はわかります。原作は難しい話の解説が一気に出てきますからね。ただ、このように頭を悩ませ、自分でも考え、理解し、考察するアニメがあっても良いはず。と言うか、それがユーノだったはず。

 

ネタバレはここまでです。

 

砂漠を越えて帝都へ

セーレスが死んだので、その恨みを晴らしに帝都へ向かうたくやとユーノ。…なのですが、たくやはあっさりユーノを連れていきました。原作だと、砂漠越えが命がけで過酷なことを知っているので、ユーノはボーダーに置いていくはずでした。しかし、ユーノがどうしてもたくやと一緒に行くと聞かないので、渋々連れて行くとの顛末がありました。アニメではこの流れも全部カットされていました。ちなみに、クンクンを置いていくのは原作と一緒です。勿論、クンクンはこの後重要な役割を持って出てきます。

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たくやが1人準備万端で行っても越えられなかったのに、大事な娘をなんのためらいもなく連れて行くという…。砂漠越えだけでも過酷なのに、それに加えてこの世界の支配者に反旗を翻そうと言うのですから、ユーノを連れていくかどうかの葛藤がないと不自然です。この制作スタッフは登場人物の動機とか気持ち、その行動になる背景は本当に軽く扱います。原作にあった要所のイベントを、何故それが起こったのかの描写が薄いまま消化している感じです。

 

ちなみに、砂漠越えでは、近衛兵の置いていった馬だかラクダのような動物を連れていきユーノを乗せていました。そして、ラクダのような動物はその過酷な状況で倒れてしまい、その動物を捌いて食べる演出。これはその後のアレに繋げたかったのでしょう。ただ、これも余計と言えば余計なんです。現代編の亜由美と美月の関係に似ています。

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現代編の亜由美は何度救おうとしても自殺を繰り返しました。演出はチープでしたが、ヒロインがこうも自殺するのは衝撃です。しかし、実はその後に本当に救えない美月と言うヒロインがいました。本来、美月の件で初めて『どうやっても救えない死』の衝撃があったのですが、亜由美でこれと似たことをやっているため、美月での衝撃がだいぶ薄くなりました。これをまた異世界編でやってしまったんです。

 

ネタバレなのでボカしますが、今回のと似たようなことがこのあとにあります。おそらくその時の衝撃は現代編の美月と同じく、だいぶ薄れてしまうと思います。これも私が何度も書いている謎や伏線の前倒しです。やらなくて良いんです。いきなりそれが出てくるからこそ衝撃なのに、その前に同じようなことをやってしまっては衝撃がなくなってしまいます。

 

神奈のために砂漠を越える

今回、砂漠を越えることに挑んだたくやですが、その時最初に思ったことが下記でした。

 

「これは最悪の選択かもしれない。それでも帝都には行かなきゃならないんだ。リフレクターデバイスを取り戻し、神奈ちゃんのために超念石を手に入れる!」

 

監督、脚本、スタッフに何を考えているのか問いたいです。これはいくらなんでも酷すぎます。

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セーレスが自殺した。砂漠を越えるぞ。それは神奈ちゃんのためだ。アニメではこうなりました。本気ですか…。4年一緒に連れ添い子供をもうけた妻が自殺し、決死の覚悟で砂漠を越えるシーンで、神奈ちゃんのために砂漠を越えるとハッキリたくやはモノローグで言ってしまいました。4年一緒に暮らした妻を思うより、神奈の方が好きで救いたいと言うたくやの気持ちがこれで確定です。作っている人はここになんの違和感も覚えなかったのでしょうか。

 

まさかとは思いましたが、セーレスが死んでもたくやの目的は神奈ちゃんを救うためなんですね。この一言でセーレスとの4年間、ユーノをもうけたこと。それら全てが嘘くさくなってしまいました。1番好きな女性が他にいて、取り敢えずセーレスとくっつき、流れで子供を作ったくず男に成り下がった瞬間です。私はアニメのたくやに対し、この瞬間から嫌悪感を抱くようになってしまいました。原作はこんな性格でもキャラでもかなったのに…。

 

「男と女が一緒にいて何も起きないわけないだろ」。たくやがユーノが生まれた異世界編2話目に発した言葉ですが、これは原作だと自然の成り行きで、セーレースとの間に愛が芽生えたと言うことでした。しかし、今回のたくやのスタンスを見てからこの言葉を振り返ると白けてしまいます。こんなにこの言葉の意味を、原作とは違って違って受け止めることになろうとは思いませんでした。

 

神奈側から見てもこのたくやの言動はおかしいです。たくやの元にリフレクターデバイスはこの4年間ずっとありました。砂漠を何度も超えようとしては失敗していました。ところが今回、リフレクターデバイスが近衛兵に奪われた途端、「神奈ちゃんのために砂漠を越える」と決意。ならこの4年間なにをしていたんですかね…。

 

更に言及すると、砂漠を越える目的は「神奈ちゃんを救うため」なのですが、そこに関係のないセーレスとの間にできた娘のユーノを連れて行っているんですよね。本当に動機や言動がちぐはぐすぎて違和感しかありません。

 

4年これまで神奈のことをほったらかしだったのに、リフレクターデバイスが奪われた途端、セーレスが死んだ途端、突然神奈ちゃん神奈ちゃんです。

 

今回のことで確信しました。やはりこの監督、脚本、制作スタッフは人の心の捉え方が明らかにおかしいです。初期段階から心の捉え方がおかしいのではないかと書いていたのですが、今回の件はあまりにも人物描写、心理描写、動機付けがおかしすぎます。

 

今どのような状況なのか。今何をしようとしているのか。今の気持ちはどうなのか。キャラクターを生き生きと描くにはこの辺り大事なのではないでしょうか。読者が、視聴者が、プレイヤーが登場人物に共感してこそ作品に愛着が湧き、物語が面白くなるはず。このアニメは心の動きや動機の整合性が全く取れていません。なので、今回の「神奈ちゃんのために」とのたくやのモノローグを聞いて「へ?」となってしまいました。

 

良くできたキャラや物語だと性別年齢問わず、感情移入することも面白さの1つだと思うのですが、ここまでぶっ壊れた心を見せられると、とても感情移入などできまでせん。勿論、共感もできません。それどころかもはや「何言ってるのこいつ…」状態にまでなってしまいました。

 

制作側は今のたくやの状況を見て、たくやがそう思うことはおかしいと感じないのでしょうか。人の心の当たり前の動きとして…です。制作能力だとか構成能力とか見せ方とか、そんな専門的なことや技術を言っているのではなく、人として常識的な心の動きがおかしいです。この心理描写を作っている人が監督なのかわかりませんが、人の心がわかっていなさすぎて真面目な話怖いです。

 

サラが裏切った

オアシスを見付けたたくやはなんとかここで回復するのですが、ここで出会ったのがサラでした。サラは裸で水浴びをしており、キャーキャー言いながらもたくやに襲われることを期待しているような変なキャラで、これは原作と同じでした。

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サラは帝都が反勢力のせいで治安が悪化したため逃げ出してきたのこと。原作だとこのオアシスで帝都や神帝の情報を色々教えて貰い、すぐにサヨウナラでした。ところが、アニメではオアシスを出た後たくやのあとに付いてきていました。この辺りが平川監督が言っていたサラの話を膨らますってところなのでしょう。その前のシーンで、謎の人物が帝都に貼られたお尋ね者のたくやの張り紙を見て持ち帰っているシーンがありましたが、あれがサラだったようです。そして、その張り紙を見てたくやのことを知っていたサラは、近衛兵に連絡し、砂漠の中にある神殿でたくやを裏切りました。

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オアシスでの会話中、たくやは「神帝をぶん殴ってやる」と言っていましたが、前述したようにセーレスとのお別れシーンが全部カットされており、神帝に土下座させてやるとの決意を持つシーンもないので唐突な感じがします。また、砂漠出発時には神奈ちゃんのためとあれほどハッキリ思っていたのに、たくやの目的意識があっちに行ったりこっちに行ったりもう無茶苦茶です。

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神殿で近衛兵に囲まれたたくやは、多勢に無勢であっさり捕縛され、ユーノはどこかへ連れ去られてしまいました。たくやは強制収容所のような所へ連行されていきました。ただ、サラは近衛兵にどうやって連絡を取ったのでしょう。オアシスで初めてたくやに会い、そこから近衛兵に連絡するような暇はなかったと思うのですが、このあとなにかネタばらし…されないですよね。

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しかし、あくまでモブキャラ扱いだったサラの話を膨らませ、裏切り者にする理由はなんなのでしょう。膨らませるまでは分かるのですが、何故裏切り者にしたのでしょう。原作だと、神殿に入るとセキュリティのようなものが働き近衛兵が来るのですが、この砂漠の真ん中で近衛兵がすぐに来るのはおかしいと思ったのでしょうか。

 

強制収容所へ

最後はたくやが強制収容所に連行され、そこに三角山で見た雷を発生させる塔と同じ物があったところで終了。今回も前回に続き、先が気になるクリフハンガーだったので、終わり方、切り方は前回に続き良かったです。

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原作から枝葉はほぼ全部と言って良いくらい変わった

今回、本筋の方向性としては当然原作と同じではあるのですが、本筋とは違う枝葉部分はほぼ全部と言っても良いくらいアニオリでした。取り敢えず私が思い出す限り下記に表としてまとめてみました。思い違いがあったら申し訳ありません。

 

アニメだと… 原作だと… 変えた理由(想像)
セーレスが近衛兵に押さえつけられている 近衛兵が処女チェック
レイプ?レイプ未遂?
放送コード?
たくやが近衛兵を1人倒す たくやは近衛兵に歯だ立たずににやられる ラクダ(?)を1匹ここに置いていく理由作り?
近衛兵に「神帝だか童貞だかしらねえが…」と悪態をつく なし 下ネタがたくやの魅力だと思っている?
近衛兵がクラッカーでたくやを捕縛 なし セーレスの亡骸を帝都に持っていく様を見せるため?
セーレスが近衛兵から逃げて自殺する レイプされそうになって舌を噛んで自殺 セーレスの死を劇的にしたかった?
ユーノとセーレスとの邂逅 なし ユーノの中にセーレスがいるということを明示するため?
リフレクターデバイスが家の中から見つかり近衛兵に奪われる なし ストーリー上おかしくなるのでリフレクターデバイスを使わせないため?
リフレクターデバイスは帝都の神器 なし リフレクターデバイスの成り立ちをこのあとやるため?
近衛兵がセーレスの亡骸を帝都に運ぶ 近衛兵が簡単なお墓を作る このあと帝都でなにかしら亡骸が利用されるため?
近衛兵の残したラクダ(?)と一緒に行く なし このあと食料にするところを見せるため?
砂漠を越える目的は神奈のためにリフレクターデバイスを取り戻す 砂漠を越える目的はセーレスを自殺に追い込んだ神帝を土下座させるため 異世界へ来た目的が神奈のためだから?
たくやにヒゲが生える なし 砂漠の行軍が何日も続いている様子を明示するため?
サラがオアシス出発後も付いてくる サラはオアシスを出たらお別れでその後2度と出てこない サラの話を膨らませると監督は言っていたので?
雨宿りで神殿に入る 怪しい神殿を見付けて探索する 神殿をただ探索して近衛兵が来るのはおかしいと思った?
サラがたくやを裏切って近衛兵に連絡して囲まれる セキュリティのようなものに引っ掛かり近衛兵が駆け付ける サラの話を膨らませると監督は言っていたので?
たくやが強制収容所に連行される様子 なし 強制収容所に連れてこられたと明示するため?

 

正味22分のアニメで16個です。平均して1.4分に1回ほどアニオリが入り、その度に頭の中が『?』になりました。アニオリを入れる自体は以前の記事にも書きましたが良いんです。ゲームとアニメでは媒体が違いますし、放送コードもあるので改編して当たり前です。ただ、このアニメの改変はほとんどが「何故そこを変えたの?」と理由が分からない、もしくは変える意味がない部分です。

 

異世界編は本来選択肢のない一本道なので、そのままアニメ化すれば破綻はないはずでした。YU-NOは非常に複雑に物事が絡み合った物語なので、そこに1つ改変を入れると、その影響であっちも変えなければならず、そしてまたそこが変わったのでこっちも変えなければ…。そして変えたのでおかしなところが出てくる。これの繰り返しになっています。

 

大きな物事だと神奈を救うために異世界へ着たことが挙げられますが、この設定があるおかげで、セーレスの復讐劇と言う素直な話だったはずが、神奈のことが置いてけぼりになるので、いちいちモノローグで神奈のことを出したりなどの説明が必要になってしまいます。しかし、説明したところでセーレスの存在がある以上、どちらかが軽く扱われることになり…。どうやっても収拾が付かなくなっている気がします。

 

総評

原作だと異世界編は選択肢が1つもない一本道なので、アニメも大筋はこれに沿ってはいるのですが、今回は大筋以外の枝葉全てアニオリと言っても良いほどの小さな改変の嵐でした。小さすぎる改変は入れていないので、この記事に書いた以外にもまだアニリがありす。枝葉とは言え、ここまで変えたのはこれまでで1番かもしれません。前述したように、異世界編は一本道なので、逆にここまで変えようと思っても変えるのは難しいはず。原作どおりにやるのが楽で確実なのですが、物凄い労力を掛けてあらゆる部分を改変する謎の努力はなんなのでしょうか。力を入れる方向がよく分かりません。

 

今回1番の驚いたのはセーレスが死亡後すぐ砂漠を越えようと決意し、砂漠に出た途端にたくやが『神奈ちゃんを救うためにリフレクターデバイスを取り戻しに砂漠を越えて帝都に行かなければ』と心に思った事です。これは本当に人としておかしい…。

 

前半はストーリーのおかしな所、見せ方の拙さが気になったのですが、後半になればなるほど、人の心の動きがおかしくて物凄くモヤモヤすることが多いです。どれもこれもアニオリを色々入れて弄ったばかりに出てきた気持ちの矛盾です。アニオリを入れるなら、勿論原作よりも面白くして欲しいのは当たり前ですが、最低限人の気持ちに疑問や嫌悪感を抱かない程度の整合性は取って欲しかったです。

 

原作を越えて面白くしてくれと言っているのではありません。せめて人の心や動機におかしなところや嫌悪感を抱かないようにしてほしいと言っているので、これはそこまで高いハードルではないはず。おそらく普通のクリエイターに言ったら「馬鹿にするなよ」、「それくらいちゃんとやるわ(できるわ)」と怒られるくらいのお願いだと思います。これすらできていないのは本当に残念です。

 

こんな人にお勧め

  • タイムトラベル、タイムリープものが好きな人
  • 異世界ものが好きな人
  • 壮大な話が好きな人

 

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