目次
みどころ
- 後楽園球場と東京ドームが並ぶ姿
- 趣向を凝らしたクイズ形式
放送日時
日本テレビ本放送:1987年11月05日(木)19:00~21:00
待望の第11回放送
なにげなくファミ劇で番組を見ていたところ、このアメリカ横断ウルトラクイズの番宣を見掛けました。何回か見ていたのですが、よく確認もせず、「ああ、また再放送ね」と思ってスルーしていたのですが、いつやるのか知りたくなり、気まぐれで画面を注視して見たら…「第11回」との表示が目に入り…。「ん?第11回…?第11回!新作だ!」と、この時初めて12回と13回ではない、新たな11回を放送すること知りました。これを知ったのが番組を放送する約2週間前。危なかった…。下手したら見逃していたかも知れません。
実はこのウルトラクイズ再放送は大反響を呼び、第12回はスカパー!アワード2014を取っているんです。また、スカパーの枠に捕らわれず、スポーツ新聞でも結構大きな扱いでこの再放送を取り上げていました。「ウルトラクイズは再放送をしない(できない)番組」と言われていたので、この再放送は驚きを持って迎えられたんです。
このように、放送すれば間違いなく人気がある(加入者が増える)ことが確約されているので、ファミ劇のキラーコンテンツになっているんです。権利さえクリアできればやらないわけがないんです。今のところ順調のようで、半年ごとに権利をクリアできているようです。
この手の素人参加型番組の場合、一番難しいのが素人の権利、肖像権だそうです。25年以上前の番組ですから、行方が分からない方もいます。「じゃあその場合許諾はどうするんだ?」ってのが一番難しいんです。ところが最近、この権利クリアのハードルが低くなりました。まあ権利をクリアしたかどうかは、結局番組を放送する側の判断なので、勝手に放送側がハードル低くしました感はあるのですが、BS/CS全盛のこの時代、昔の番組の再放送は最早欠かせない貴重なコンテンツになっているので、業界側が緩くしたみたいです。こんな類いの話を、何人かの業界関係者がネットで話していました。
記憶が曖昧な大会
個人的にはこの第11回大会以前はどうも相当忘れているようです。見ていたとは思うのですが、誰が優勝したとか、どのようなクイズ形式があったとか、ほぼ完全に忘れていました。そのおかげで初めて見るような感覚で熱中して見ることはできましたけどね。どうも私がハッキリと見た記憶が残っているのは、東京ドームの第12回からみたいです。
放送内容
今回は一つ注目なのが、高島忠夫さんと石川牧子さんのスタジオが復活したことです。復活と言うのは日テレ本放送の時系列的ではおかしいのですが、ファミ劇的な視点で見ると、第12回スタジオあり→第13回スタジオなし→第11回スタジオありと、一応復活と言うことになるんです。
このスタジオパートは蛇足でもなんでもなく、ウルトラクイズと言う番組の一部としてしっかり機能していました。今のような、VTRとVTRの合間に、芸人やモデルがダラダラ意味のない感想を喋るわけではなく、きちんと番組情報の説明と補足をするんです。これこそがスタジオの意義なんです。
そしてなんと言ってもルート紹介です。これから始まる冒険を想像してワクワクします。軽妙なトークと軽快なテンポとのBGM。たまりません。これでワクワクしないわけがありません。
そしてもう一つ注目したいのが、第1問が始まる前にたっぷりとあるイベントです。
ウルトラクイズは第1問が始まる前にも各所でイベントが盛りだくさんで、時には徳光さんが何の根拠もない正解予想をしたり、コント赤信号のリーダー渡辺さんが持論を展開したり。そこに人集りができて、藁にもすがる思いで予想を聞く。こんなところも含めてウルトラクイズであり、お祭りであり、イベントなんです。
ただ球場に入って問題を出されて不正解で終了、はいさようならではないんです。ウルトラクイズに参加すると1日楽しめるんですね。こんなところにも、遠方から来る参加者をできるだけ長いこと楽しませようとする制作者側の意図が見えて、参加していない私でも嬉しくなっってしまいます。ウルトラクイズは本当に視聴者や参加者を楽しませてあげようとのおもてなし精神が凄いんです。
第一次予選「○×クイズ/後楽園球場」(18017人→100人)
この第11回は後楽園で行われる最後の大会でした。背景には建設中のの東京ドームがあり、なんとも言えない不思議な風景になっていました。この東京ドームは当初、「ビッグエッグ」との愛称でメディアが広めようとしたのですが、結果的に今は誰も使わず普及しませんでした。山手線をE電、教育テレビをEテレと呼ぼうとしていたのと全く同じですね。
そしてなんと言ってもこの頃のウルトラクイズを見て思うのは、全国規模のお祭り感が凄いってことです。この全国規模のお祭りとバブル期が丁度合致し、とてつもない浮かれた空気が、画面からでもハッキリと伝わってきます。この頃の大学生や社会人で、ウルトラクイズに参加した人は、バブルも経験できて、ウルトラクイズも経験できて、さぞ良い思いをしたんでしょうね…。見る度に思うのですが、この国民的お祭りごとに私も経験してみたかったです。
実は今回、福留さんはこの大会で後楽園球場引退と共に、ご自身もウルトラクイズを引退すると、第一次予選中に宣言。場内が騒然とする一幕がありました。ところが今回、敗者の味方徳光さんと、総合司会のの高島忠夫さんが登場して説得。引退を撤回しました。これは以前の記事でも何回か書いている、いわゆる「茶番」なのですが、この後楽園や成田空港の茶番は、今までの経緯や歴史など、起こってきた事実を元にした寸劇、舞台でもありました。つまり、ここで何の根拠もない創作は基本的にやらないんです。なので、この福留さんの引退は本人が本気で考えていたものと思われます。
この時の福留さんは45歳。今でこそ45歳を過ぎても、プロ野球選手やプロサッカー選手で現役がおり、46歳の森高千里さんは可愛かったりして、まだまだ現役の世代なのですが、当時(約30年前)は今より見た目が10歳から15歳老けていて、この年齢で世を忍んでもおかしくなかったんです。
同じくファミ劇で放送している80年代の歌番組である「トップテン」や「ベストテン」を見ても、30を過ぎた歌手やタレントは、「私の世代はもう世の中心ではございません。ひっそり生きますよ」的空気をバリバリ出していて驚きます。これこの言葉で伝わりますかね…。本当に「自分はもう年寄りですから」、「若い人は良いねえ」との達観した空気が凄いんです。そんな時代ですから、45歳の福留さんが引退を考えるのも不思議ではないんですね。今では到底考えられませんが、30年前の年齢による立ち位置ってこんな感じだったんです。
この「昔の人は老けて見える」をウルトラクイズで如実に実感する最初のパートが、毎回恒例の成田空港のジャンケンでもあります。今回も29歳なのに40歳以上に見える人が出てきたりします。この、昔の人が老けて見える、また逆に言うと今の人が若く見える理由はなんなんでしょうね。食べ物や生活環境で、本当に生物的に若くなったのか、髪型やファッション、メイクでそう見えるだけなのか、はたまたどの年齢だろうと楽しめる要素が世の中にいっぱいあるので皆生き生きしているのか。
少し横道に逸れてしまいましたが、総合司会の高島忠夫さんは、今年が規定年齢リミットとのことで参加をしていました。そして当然のように第1問目で敗退です。
この○×クイズでは、最初の問題を参加者が回答する前に歴代優勝者が登場し、早押しクイズのエキシビションをやっていたのですが…当たり前ですがこれがもの凄くレベルが高いです。これを目の当たりにした、ウルトラクイズをイベントとして楽しみに来た人たちにとっては衝撃でしょうね。まあそういう人たちにとっては、これすらイベントでありショーの一つとして楽しめるとは思いますが、あまりの凄さに皆笑っていました。
そしてこの第1問目ではその歴代王者が全滅してしまいました。これは以前にも書いていますが、この一次予選の○×クイズが一番難関なんですよね。この○×クイズと成田のジャンケンさえ抜けてしまえば、あとは基本的にクイズが強い人が残りやすいような作りにはなっているのですが、この○×クイズとジャンケンは、両者とも運の要素が強すぎるんです。まあこういうところでクイズだけしか取り柄のない、人間味のない人を振り落としに掛かっているので、制作者の思惑通りなんですけどね。最初に運の要素を強くして、クイズだけしか取り柄のないような頭でっかちを落とす。そういう作りになっています。当然運が強い人の中にもクイズに強人が残るので、このあと徐々にクイズに強い人をふるいに掛けて残していけば良いんです。
第一次予選「敗者復活戦/後楽園球場」(17917人→4人)
ここは毎度のことですが、クイズに関係のない要素で敗者復活戦です。今回は徳光さんが好きにテーマを決めて良いとのことで、「敗者とは勝者に縁のない人」から敗者→歯医者で、「歯医者に縁がない人」。そう、虫歯のない人が敗者復活です。これはハードル高いですね。
しかしこれでも結構な人数が出てきました。そして次は何で人数を絞るかと言うと、ゆで卵と生卵を用意してわからなくなるように混ぜ、額で割ってみて生卵だった人は勝ち抜けです。ね?クイズに全く関係ないでしょ。でもこういうのがあっても良いんです。この敗者復活組以外にクイズに強い人は含まれているはずですから、ここは盛り上がるようなお遊びで良いんです。前述もしましたが、遠方から来た参加者を楽しませるイベントの側面が強いですね。誰でも楽しんで参加できますから。
第二次予選「凶のでき事クイズ/久伊豆神社」(104人→103人)
本来第二次予選は成田空港でのジャンケンなのですが、この11回は趣向を凝らしていて、104人からたった1人落とすためだけに、この第二次予選を成田空港前に行いました。もうここから他の大会とは違う、趣向を凝らした大会であることがプンプン臭ってきます。
埼玉県岩槻市(現・さいたま市岩槻区)にある久伊豆(ひさいず)神社でおみくじを引き、凶が出なければ勝ち抜けで、凶が出た人が敗退です。凶が出た人は3人いたので、その3人で早押しクイズを行います。
ウルトラクイズを見ている人なら、この久伊豆神社を「クイズ神社」と当然のように読みますよね。しかし本当はこの読みは「ひさいず神社」です。当たり前ですよね。しかしウルトラクイズからしたらこれはクイズ神社に他ならず、この久伊豆神社での第二次予選となりました。
こんな初期の段階でウルトラハットを被り、福留さん司会で早押しクイズができるなんて、ある意味もの凄く贅沢なことなんじゃないでしょうか。ただやはりこの時点、もっと言えばほぼ運だけでも勝ち残れる初期の段階での早押しは、皆やり慣れない感が出ていて、声が小さかったり、そもそもクイズに中々正解できなかったりで、かなり拙い戦いになっていました。しかし逆にこれを見ると、後半の早押しクイズのレベルの高さがよく分かります。やはり残る人たちは普通じゃないんです。一般人が走る100m走と、オリンピックの100m走の違いを見ているようで、良い比較になっていました。この人達の拙さが普通なんですよね。
ただここも興味深い部分があり、出題が進むと回答者も大きい声でハキハキと答え、きちんと早押しクイズになっていくんです。やはり経験なんでしょうね。
ここでのクイズ問題や答えも凝っていて、問題や答えが全てネガティブになるものでした。答えが「もう終わりだね」だったり、「厄日」だったり、「背水の陣」だったり。これは、おみくじで凶という運の悪いくじを引いてしまった事と掛けています。クイズ形式から出題から、第二次予選段階で本当に凝っていて感心するしかありません。
ここで負けた古市さんは、きちんと敗者としての演出とテロップがなされていました。ただ少し違ったのは、テロップが「帰国」ではなく「帰宅」だったこと。これは当たり前で、日本を出ていませんからね。帰国じゃなくて帰宅で当然なんです。しかしこのような、そんなこと誰が気付くんだって細かいところまで凝っている番組作りは感心してしまいます。気付かれなければスタッフの工夫や努力は水の泡ですからね。見ている人が気付くか気付かないかわからない。それでも細かい部分に拘る。これこそ職人です。この少し違ったテロップを見たときには吹き出してしまいました。
第三次予選「ジャンケン/成田空港」(103人→52人)
この成田空港でのジャンケンでは、いつも通りの茶番が繰り広げられました。後楽園での福留さんと徳光さんのやり取りだったりもそうなのですが、この茶番は良い茶番なんです。茶番の結果どうなるかってことはどうでもよくて、これは言わば立派な舞台であり演劇なんです。その舞台を見ているだけで楽しめるので、それが茶番だろうと予定調和だろうと良いんです。面白い舞台や演劇はお金を出してわざわざ見に行きますよね。あれと全く同じです。このウルトラクイズの茶番は、非常に面白い舞台であり演劇の要素も含んでいるんです。
ここでは、前回の10回大会で腕相撲を行ったとのことで、またしても腕相撲になるのかと思いきや、日高直人アナが登場し、参加者の柳井さんとの腕相撲対決で、柳井さんが勝ったらジャンケンに戻すとのこと。この柳井さんは呼ばれることは全く知らされていなかったようで戸惑っていました。また紹介文が凄くて、鋼鉄の男だとか散々強そうな前振りをしておいて、実際に出てきたのはヒョロヒョロで眼鏡の若者でした。勝負の結果は…案の定日高アナが勝つんです。
そしてやはり腕相撲なのかと思いきや、突然日高アナが血迷って、プラカードをジャンケンに戻してしまい、結局例年通りジャンケンへと戻りました、こういった一連の流れが良質の舞台並みに良い茶番であり楽しいんです。
ところでこの日高直人アナですが、ウルトラクイズ好きではちょっとした話題の人でして、この頃日テレでバリバリの人気アナだったのですが、のちに上層部と対立して日テレを辞めてしまったそうです。その後、テレ東でニュースキャスターをしていたとか、早稲田司法試験セミナーで働いていたとかの情報は散発的にあるのですが、その後どうしたのか定かな情報はありません。
実はこの日高アナの日テレ内でのトラブルにより、日高アナへの肖像権の確認や許諾が取れず、第11回大会は放送できないのではないかと、ファンの間ではまことしやかに囁かれていました。ところが今回その第11回が放送されました。こうなると、権利クリアのハードルは相当下がっているのか、それとも担当者が粉骨砕身しているのかのどちらかなので、一気に他の大会の放送まで現実味を帯びてきます。この第11回放送はこう言った意味でも大きいんです。
そしてこのジャンケンは言わなくても分かると思いますが完全に運です。クイズ知識なんて一切関係ありません。ある意味最強の平等な勝負事ですね。年齢、性別、容姿、知力、体力。どれに依るところもありません。大学のクイズ研究会は、このジャンケンでも対策を練っていたらしいのですが、それで対策できるなら、もはや現代のジャンケンは成り立っていないので、こればかりは無駄な努力と言わざるを得ないでしょう。
今回は女性のクイズ愛好会が来ていました。このクイズ愛好会はそれほどガチというわけではなく、まさに愛好家とのレベルのようですが、それでもジャンケンでマニュアルをギッシリ書いてきていました。しかし…それを見せて貰う福留さん、1回ごとにじゃあ次はどうするのと聞く福留さん。するとこの高橋和巳さんの回答は、「負けたときのことは書いてない」、「引き分けの時のことは書いてない」と、穴だらけのマニュアルだったことが判明。面白かったです。福留さんはこういう所を探り当てて面白く弄るのが本当上手いです。そこに嫌みが見えないんです。これが家族で楽しく笑って見られる理由の一つでもありますね。ちなみに女性の高橋さんは2人いて、クイズ愛好会のこの人が高橋和巳さんで、機内ペーパーテスト女性1位が高橋麻里子さんです。
今回のジャンケンは全体的に見てもキャラが濃い人が多かったです。先ほども述べた明大クイズ愛好会の穴だらけマニュアル高橋さん。元気が有り余っている農協のの平松さん。フジテレビ関係のキーパンチャー矢野さんなどなど。
敗者復活戦「名古屋縦断ミニトラクイズ/クイズ&パチンコ」(52人→7人)
久伊豆神社に続き、またしても趣向を凝らした敗者復活戦です。本来ジャンケン敗者の敗者復活戦も、ジャンケン終了後に即成田空港で行うのですが、今回は名古屋まで飛行機に乗って移動しての「名古屋縦断ミニトラクイズ」です。
パチンコ店「ニューヨーク」前で早押しクイズを行い、クイズに正解するとパチンコ玉200発が貰えて、それを元手にパチンコを打ち、2000発に達したら敗者復活です。いやあ本当に凝ってますね今回。ウルトラクイズは第13回が伝説として語られることが多いので、昔の番組ですし見直す機会もそうそうなく、私も長い間そう思ってきたのですが、参加者のレベルの高さや、準決勝の伝説の戦いなどの参加者を見ると、確かに第13回は伝説なのですが、純粋に番組の作りとしては、この第11回はとんでもなく趣向を凝らしていて素晴らしです。
そしてこのパチンコ屋で稲川さんを発見!こんな所から復活したんですねえ。ちなみに稲川さんは大学生ではなく一般の社会人です。大学のクイズ研究会と言う、セミプロと言うか、時間と労力の多くをクイズに掛けられる人たちではなく、こういった一般社会人が勝ち上がっていくと応援したくなってしまいますね。
ちなみに稲川さんはこの時一番抜けでした。そして抜けたときのBGMが軍艦マーチ。本来ここはいつも同じ勝ち抜けBGMなんですけどね。パチンコ屋なので勝ち抜けBGMに軍艦マーチを使っていて笑ってしまいましたよ。
第1チェックポイント「機内400問ペーパークイズ/成田空港→グァム」(52人→40人/復活組7人→3人)
遂に機内ペーパーテスト400問です。遂にと言うのは、これまでのイベント感、お祭り感が一気にシリアスになり、ここからが本格的なクイズ番組であるウルトラクイズの始まりだからです。ここでは、これまで散々参加者を煽り、笑顔で乗せてきた福留さんが、一気に声がトーンダウンし、表情も真面目になるところが印象的で、この記号で「ああここはシビアなポイントなんだな」と伝わってきました。
ウルトラクイズは知識だけでも運だけでも残れません。時には荒野を走らされ体力が必要とされたり、裏切りや信頼がポイントとなる人間関係が必要だったりして、これらをミックスした総合力が高くなければ勝てません。機内ペーパーテストまでは、運だけでも抜けられますが、逆にクイズに強いだけでは残れない作りになっています。しかしこれからグァムへと向かい、本格的なクイズ番組として始動するウルトラクイズで、クイズはてんで駄目な人に残られても困るんです。それはウルトラクイズと言うクイズ番組の根幹が揺らいでしまいますからね。そこでこの機内ペーパーテスト400問で、「運だけでここまで来たクイズにてんでダメ」な人を落とすんです。ここで「運だけ」の人はほぼ消える仕組みになっています。
機内ペーパーテストまでは運だけでも来られるよ。でも機内ペーパーテスト以降はクイズできない人は行けないよ。もの凄く考えられた上手い構成だと思います。この時点で最低限のクイズ知識があり、運がある人が残っているんです。単純に運がある人を見ていると面白いですからね。運がある人は乗っているわけで、どんより暗い人もおらず、人として最低限テレビで見せて楽しくさせるパーソナリティは備えているんです。
そしてこの機内ペーパーテストで1位になったのは…女性の高橋麻里子さんでした。意外です。若い女性だったのですがクイズ知識1位だったんですね。ただこれはのちの稲川さんに抜かれ、その後は女性1位との呼び名に変わってしまいます。
この機内ペーパーテストは、なんと名古屋ミニトラクイズの敗者復活組7人にも適用され、復活組の7人中3人しかグァムに降り立つ事はできませんでした。これは、勝者機ペーパーテストの平均点以上を取らなければならなかったからで、勝者機組よりもはるかにハードルが高いんです。逆に言えば、敗者復活組でグァムに降り立った人は、勝者機より基本的に強いことになります。ここを通過した稲川さんは、勝者機組の高橋さんより点数が上で、機内ペーパーテスト総合1位の称号は稲川さんへと移りました。
この稲川さんは一般社会人であると前述しましたが、実は立命館クイズ研究会創設者であり初代会長でもあります。要はクイズ研OBですね。とは言え、クイズに掛けられる時間は大学生に遙か及ばず、不利な社会人であることは確かです。
-「深夜トレード早押しクイズ/グァム」(6人→3人)
ここで行われたのは、勝者機組の機内ペーパーテスト下位3人と、敗者復活組の3人の早押しクイズです。定員は決まっているので、言ってみれば入れ替え戦ですね。深夜1時に勝者機組の機内ペーパテスト下位3人は叩き起こされていました。叩き起こされた挑戦者も災難ですが、それ以上にスタッフは大変です。
この6人中3人がグァムに残れるのですが、前述もした通り、勝者機組よりも高いハードルをクリアしてきた敗者復活組ですから、機内ペーパーテスト下位3人が敵うわけもなく…。敗者復活組3人が全員勝つ総入れ替えとなってしまいました。
今回は泥んこクイズに行かずに第1週終了
今回は今までとは少し違い、趣向を凝らしたクイズ形式が初めから満載だったので、泥んこクイズに行かずに、2時間もあった第1週が終わってしまいました。通常だと、泥んこクイズの最初数人をやり、次週への期待を持たせて終了との構成なんですけどね。第二次予選や敗者復活戦に工夫を凝らし時間を使ったので、そこまでは行きませんでした。
しかしだからと言って不満は一切ありません。寧ろファミ劇再放送の第12回と第13回よりも満足度が高いくらいです。最初にも書きましたが、私はこの第11回は非常に記憶が曖昧で、流れも勝者もクイズ形式もほとんど覚えていません。まるで初めてこのとてつもなく面白いウルトラクイズを見ている感覚なんです。
子供の頃初めてウルトラクイズを見て、「なんだこのとんでもなく面白い番組は!」との感覚が、大人になってハッキリと蘇ったんです。見ている間中終始ニヤニヤしてしまいましたよ。端から見るとさぞ気持ち悪いでしょうね。
実際の放送時間
今回の放送スケジュールを見ると、全4回の放送だったので、「あれ?今まで5週だったのに…1週少ないよ…ガッカリ」なんて思っていたのですが、第11回は本放送が2時間だったんですね。第12回と第13回は1時間半の5回。第11回は2時間の4回ってことです。しかし放送時間的に考えると、第12回と第13回は450分の7時間半。この第11回は480分の8時間。全4回で短い印象はあるのですが、放送時間的に考えると、この2時間4回の第11回の方が、第12回と第13回より長いんですね。
もう少し掘り下げて、実放送時間(CMをカットした正味の放送時間)で比べてみましょう。第12回と第13回は実放送時間が1回あたり約72分。これが5回なので丁度360分の6時間。この第11回は実放送時間が1回あたり約98分。これが4回なので392分の6時間32分。この4回放送の第11回の方が、第12回と第13回より実放送時間が32分間多いことになります。枠の時間で考えても、実放送時間で考えても、第11回の方が第12回と第13回より長いんですね。
趣向を凝らした第11回
この第11回は本当に趣向を凝らしていて、国内からもうこの趣向の凝らし方が他の回とは違います。もうここまででもお腹いっぱい。満足感いっぱいです。この2時間はあっという間に過ぎてしまいました。
ただ変化球のみを狙っただけのものではなく、変化球でなおかつ面白いので、次はどうなるんだろう、なにがあるんだろうと番組に釘付けになってしまいました。
「面白い」よりも「楽しい」
今回、ほとんど忘れていた第11回を見て、新たに思い出した感覚があります。それはこのウルトラクイズを見ていると、「面白い」よりも「楽しい」気持ちになると言うこと。
個人的な感覚ですが、「面白い」は客観的に見ての状態だと思っています。「あの人は面白いよね」、「あのジョークは面白いよね」、「あの映画面白かった」など、なにかを客観的に見て表現する感じでしょうか。
翻って「楽しかった」だと、「今日はサッカーをして楽しかった」、「ディズニーランド楽しかったね」、「文化祭楽しかった」など、自分が何かに触れたり経験したことを表現する感じでしょうか。
このウルトラクイズを見ると、後者の自分が経験をした「楽しかった」の感覚に近いことを改めて感じました。本来、テレビの前で座って見ているだけなので、客観的に見て面白かったとするのが普通なのでしょうが、さも自分が経験して楽しかったとの感覚まで襲ってくるんです。
福留さんが「ニューヨークへ行きたいか-?」とシュプレヒコールをして、参加者が「おーーーー」と呼応するのを見て、自分も心の中で「おーーーー」と叫んでいたり、趣向を凝らしたクイズ形式や冒険に翻弄される参加者を見て自分と重ねたりと、参加者と自分がシンクロしてしまうんです。
これは何故かと考えると、まず参加者が俳優やモデルではなく、自分たちと同じ素人であることが一番に挙げられるんじゃないでしょうか。大学生だったり社会人だったり、普段は社会の一員として埋もれており、表に出てくる事のない自分と同じ一般人が、ちょっとした勇気と運で、大人気番組の画面を独占し楽しんでいる。ここに親近感が湧き、自分と重ねてしまうんだと思います。
また、素人の危ういところで、調子に乗ってしまうと痛い言動をすることがあります。今でもニュースの生中継や、生放送の素人などは、「うわ~痛いな~」なんて言動を時折見るのですが、このウルトラクイズではそれが全くと言っていい程ありません。
一つは番組の特色として、基本的に知識のある人が集まる番組と言うこともあり、参加者の質的にそういうことは少ないのはあるとは思いますが、それでも全く無かったとは思えません。ところが番組的にはこれが全く無いんです。これは、番組の編集で上手くカットして構成しているであろうことが一つ。そしてやはり福留さんの素人弄りの上手さなんじゃないでしょうか。悪いところは出ないように、良いところだけを引き出す。これが神業的に上手いんです。
そのおかげで愛さずにはいられない素人キャラクターが、福留さんの手によって生み出されるんです。誰しも人間ですから、嫌な部分もあるでしょうし、裏の顔もあるのでしょうが、別に視聴者はそんなところを見たいわけでも、暴露して欲しいわけでもありませんからね。楽しく見たいだけなんです。その視聴者の意図を汲み取り、極限まで視聴者を楽しませる作りにしたウルトラクイズには頭が下がります。
さて、今回も懲りずに第11回ウルトラクイズの全話レビューをやることにしました。自分が見た備忘録や記録として、何を思ったのかを書き留めるために始めた全話レビューですが、好きなことを書いてるとついつい長文になってしまいます。ここまで読んで下さった方。お付き合い有り難うございました。
「勝てば天国!負ければ地獄!知力、体力、時の運!早くこいこい木曜日」
それではまた来週。
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