目次
80年代ドラマの代表格
このドラマは江戸川乱歩の小説を1977年からドラマ化した物で、毎作美女が出てきてそこにスポットが大きく当たることから「美女シリーズ」と言われています。
77年開始ですが、大雑把に言って80年代を代表する日本のドラマです。
天知茂の明智小五郎。毎回出てくる美女。美女の入浴シーン。グロい死体。明智小五郎の変装。見所が満載、お約束が満載の実に面白いドラマです。
ファミリー劇場ではまる
このドラマはかすかに見た記憶があるのですが、子供過ぎてほとんど覚えていませんでした。ところが最近、たまたまファミリー劇場でこのドラマをやっていて、「あーそういやこんなドラマあったなあ」と思い、なんとなく見ていたら、色んな意味で面白くてはまってしまいましたよ。
エログロ満載
エロ満載なのは、美女の入浴シーンでもう当たり前なのですが、実は結構グロもあります。と言うと、グロ耐性のない人は敬遠すると思いますが、そこは安心して下さい。言っても80年代です。死体のグロ描写と言っても、思いっきり作り物だってわかるチープな作りですからご安心を。
エロはもうわかりやすすぎて、毎回笑ってしまいます。毎回何の脈絡もなく、唐突に美女が入浴するんです。しかも十中八九襲われるのは素っ裸の入浴中です。そして何故か意味が分からない乳首のアップ。意味が分かりませんがこれで良いんです!
シリーズ名の通り毎作美女が
美女シリーズと言うだけあって、毎作そのドラマで中心になる美女が出てきます。その時代輝いていた本当の美女ばかりで、当時の女優とはどんなんかな~と言う観点からでも、わかりやすい「女優紹介ドラマ」 でもあります。
特に印象の残っているのは、あまりにも綺麗すぎて、見ていて惚れてしまいそうになる岡田奈々の「魅せられた美女」。
叶和貴子が、これでもかってほど入浴する「天国と地獄の美女」あたりです。
その他、今でもご活躍中の女優さんの若かりし頃なんかも見られます。夏樹陽子、由美かおる、古手川祐子、片平なぎさ、松原千明、萬田久子、岡江久美子なんかですね。若い頃はみんな美人で、今はもうその若くて美人な人は存在しないのに、うっかり好きになっちゃいそうになります。
ちなみに関係ありませんが、小川真由美と五月みどりの区別が未だに付きません…。
ジェームス三木の狂気
この美女シリーズで一番の衝撃作と言えば、当然「天国と地獄の美女」でしょう。
300億円掛けてパノラマ島という、欲望の塊、おっぱいだらけの島を作ってしまいますし、最後は叶和貴子が花火の打ち上げ台にスーッと沈んでいき発射され、空中でバラバラになり肉塊になるという衝撃的(爆笑物)ラスト。そしてエンディングテロップに燦然と輝く「脚本:ジェームス三木」。良い意味であんた馬鹿だろと。
これは何度見ても涙を流して笑ってしまう唯一のドラマです。
矛盾がどうした!
はっきり言ってこのドラマは矛盾だらけです。
最後に犯人が自殺する素振りをありありと見せているのに、浪越警部や明智先生は、一切犯人を確保しようとしません。ヘリに乗り込まれた時点で「やられたー」と言って追跡は諦めます。結構無茶苦茶なところがあります。…が、これでいいんです。
設定や話に詳細にこだわってつまらない話と、設定や矛盾がどうしたと言った面白い話、どっちが見たいですか?私は即答で後者です。矛盾があっても、それを乗り越えるだけのパワーや出演者の魅力があればそれで良いんです。
漫画で言えば、キン肉マンなんかは矛盾だらけでした。超人はみんな空を飛べる、宇宙を飛べる設定なのに、リングアウトがあったり、落下してダメージ受けたり、当たり前のようにします。でも面白いからそんな矛盾はどうでもいいですよね。鬼の首を取ったように、ここに突っ込みながら読む人はいませんでした。
時代と言えば時代なのですが、こういう良い意味で馬鹿なドラマ、パワーがあるドラマがあっても良いんじゃないでしょうか。
出演者とキャラクターの見事なマッチング
これは触れておかなければならないのですが、この天知茂の美女シリーズは、出演者が濃いです。そしてその出演者とキャラクターが物凄くマッチしています。
天知茂の美女シリーズののちに、北大路欣也の美女シリーズがあったのですが、これは違うんです。
天知茂の明智小五郎が余りにも合いすぎていたというのもあるのですが、やはり明智小五郎は天知茂なんです。二枚目…とも言い切れないけど良い男。しかし少し抜けているところがあり、美女に弱く、家賃滞納なんかもしてしまう。アシスタントの文代君に突っ込まれて、たじたじになるなんてお茶目なところもある。この絶妙なバランスは、天知茂でしか表現できませんでした。北大路欣也は格好良すぎてスマートすぎて、この辺の抜けたところやお茶目なところが、どうも嘘くさくなってしまったんです。
浪越警部の荒井注も抜群でした。浪越警部はかなり抜けた部分が多く、コミカルな演技や描写もあるので、愛嬌のある荒井注がピッタリでした。こちらも北大路欣也版では、坂上二郎になっていましたが、これも違うんです…。
坂上二郎ではコミカルな部分が表現し切れていないんです。どうしても喜怒哀楽では「怒」の演技、キャラが強すぎて、浪越警部に一番大事な可笑しい部分が出ていないんです。
ドラマ版は原作と大分違っていますし、天知茂版でこれらのキャラクターが確立しすぎてしまったと言うこともあるのですが、それにしても天知茂版美女シリーズは、本当に出演者とキャラクターがマッチしていました。
こんな人にお勧め
- 80年代のドラマを見たい人
- 古き良きドラマを見たい人
- 矛盾がどうしたというパワーのあるドラマを見たい人
- 今のベテラン女優の若かりし頃を見たい人
こういうパワーが懐かしい
もう時代が時代なので、こういった矛盾がどうした!というパワーのドラマや、入浴シーン満載のサービスカットなどは、無理なのは分かっているのですが、こういうドラマもやっぱり良いもんですね。
古い物だから駄目。昔の物だからつまらない。そんなことは全くないんだと、再認識させられたドラマでした。
関連リンク